16 再評価?どん底・・・再評価?朝刊に天皇皇后両陛下がリトアニアの杉原千畝記念碑を訪問されたと報じられている。 杉原千畝氏は、1940年(第2次世界大戦)当時のリトアニア領事代理である。 時の外務省の命令を無視して、ナチス・ドイツの迫害から逃れる6千人に上るユダヤ人に日本の通過査証(ビザ)を独断で発給したと云う。 『いのちのビザ』と知られる杉原千畝氏が私は大好きである。 けれども・・・ 不思議に思うことがあった。 それは、当時の日本国(大日本帝国)の対応である。 杉原領事代理からユダヤ人へのビザ発給に関する要請を拒否した。 この外務省の対応は理解できるのだ。 同盟国ドイツとの関係から当然とすら思ってしまう。 だが・・・ 杉原領事代理は日本の『通過査証(ビザ)』を発給しただけである。 何で当時の日本国が『ユダヤ人』を通過させたんだ? 確かに『査証(ビザ)』は領事が発給する。 しかし、入国を許可するか如何かは『入国管理官』の職権である。 『入国管理官』の判断で、『査証』なんて幾らでも拒絶出来るのだ。 ネットで調べてみた。 先ず何故、リトアニア・・・なのだろう。 迫害を受けた多くのユダヤ人は、寛容なポーランドに入国していた。 ポーランドは1939年のドイツ進攻、旧ソ連侵略により消滅。 そこで・・・ ポーランドを占領したナチス・ドイツの迫害から、ユダヤ人はリトアニアに逃れたらしい。 そのリトアニアを旧ソ連が併合。 在リトアニアの各国領事館に閉鎖を求めたが、『日ソ不可侵条約』のお陰で在リトアニア日本領事館は最後まで業務を許された。 そのため・・・ ユダヤ難民が『在リトアニア日本領事館』に殺到したらしい。 そこに杉原千畝領事代理の登場。 独断で、やたら滅多に日本の通過査証(ビザ)を発給してしまう。 通過ビザの発給を受けた6千人のユダヤ人達は・・・ シベリア鉄道ウラジオストク経由で『敦賀港』へ入港。 そしてユダヤ系ロシア人コミュニティがあった『神戸』に辿り着く。 うち千人程は、米国やパレスチナへ。 残り5千人程は、日本に留まった。 そして・・・ 通過査証(ビザ)の滞在期限が切れると、当時、査証(ビザ)の必要がなかった上海租界に移動せざるを得なくなった。 上海にもユダヤ難民コミュニティが在り、日本が降伏する1945年まで、彼らは、そこに留まった。 ・・・生活は酷かったようだが。 その頃のリトアニアは・・・ ナチス・ドイツの進攻により、ユダヤ人犠牲者は20万人近くに上るとされる。 また、旧ソ連領内でも多数のユダヤ人難民がシベリアなど過酷な入植地に送られ死んだ。 何と日本は・・・ 杉原領事代理が『通過査証(ビザ)』を発給した、6千人以上のユダヤ難民を守り抜いたのだ。 かつてNHKで日本敗戦に伴う米軍進軍の特集番組があった。 米軍の安全確保のために道路両側数m毎に配置される旧帝国陸軍兵士。 みんな荒廃した『田んぼ』を見てた。 進行する米軍に『尻』を向けていたのである。 ・・・全員が! 冒頭のように・・・ 天皇がリトアニアの杉原千畝記念碑を訪問したぐらいで自称平和主義者は大喜びしている。 漸く、外務省など『戦争当時の政府の過ち』を日本国が認めたなんて・・・ 確かに天皇の行動は、この国では『象徴的な出来事』を意味することがある。 でも。 安倍首相の『従軍慰安婦に強制なんて狭義の証拠はないんだもん!』発言以来・・・ 『戦争に対する天皇自身の謝罪声明』を求める声が米国を中心に広がっている。 カモフラージュか? 天皇も『平和主義者』だって! ・・・アピールしたいのか? 私は自称『皇室が好きな社会主義者』である。 『天皇』も『平和』も好きである・・・一応。 でも。 意味の無い『アピール』や・・・ 『国民総白痴』状態は好い加減に勘弁願いたい。 『戦争』なんて『愚行』の極致。 『戦争』を賞賛することも、 『戦争』の準備に賛同することも、 『戦争』に加担・参加することも。 私は一切拒絶する。 『愛国心』なんて真っ平御免だ! それでも・・・ 『知らぬ顔』をして6千人のユダヤ難民を救った当時の日本政府。 米軍進行に『尻』を向けた日本の旧兵士達。 『杉原千畝』の再評価には大賛成であるが・・・ 今は無き、戦前・戦時の日本人の『誇り』と『矜持』。 もう一つ『大切なもの』の『再評価』を忘れていませんか? |