8 『優曇華の華』咲く家蹊・・・『優曇華の華』咲く家(真冬の不思議な出来事)私は「うつ」の40を越えたオッサンである。 でも。 嗜好(このみ)は・・「乙女チック」と云うか「ガキの頃から少しも進歩してない」と云うか。 だから。 我がプレハブの「ひきこもり」部屋には。 Auguste Renoir「Mlle Irene Cahen d’Anvers」の「jigsaw puzzle」や Marie Laurencinの「lithography」(某Yahoo Auctionで入手。絶対「Fake(バッタもん)」や Johannes Vermeerの「Girl With a Pearl Earring」なんてのが印刷された「Calendar」や 出演映画「1941」で、John Belushiが「意味無く特攻服でガンを構えたphotograph」なんかを飾ってる。 まぁ。 何とも不可思議な方面に突っ走ってしまってるのだけれど。 そーして。 我が家は築後40年以上経過した骨董品。 地震がきたら・・考えるのも恐ろしい。 こーんな居住環境なので。 十数年前から施錠なんかしたことがない。 と云うか・・「鍵」自体が・・ない。 これが前提である。 先週木曜日の深夜(既に金曜日?)。 また・・「金縛り」になった。 今回は非常に短い時間だったのだけれど。 でも。 見える筈がないのに。 うつ伏せで寝てた背中に。 鋭い牙を剥き出した野獣(けもの)が乗っかかる気配を強く感じた。 「金縛り」は。 何時もの事なので。 そのままグッスリ眠ってしまった。 今回は・・上半身の見えない子供も出現しなかったしっ! そーして。 金曜日の朝。 おー急ぎで出勤の準備をして。 イザ出発って時に部屋を見渡したら。 憧れの女性、Renoir「Irene嬢」jigsaw puzzleの「1ピース」が外れてた。 ふつーの方なら。 jigsaw puzzleを組み終えたら。 台紙に貼り付けて、表面に「ニス」のよーなモンを塗る。 ガサツな私は。 組み上げて・・そのまま「パネル」に放り込んでる。 それでも。 一応「パネル」に入れてるのは。 以前、別のjigsaw puzzleを剥き出しのまま画鋲で貼り付けてたら。 煙草のヤニで真っ黒(真っ茶?)になってしまった・・から。 それからは。 一応、飾ってあるモンは全て「パネル」に入れることにしてる。 だから。 jigsaw puzzleの「1ピース」が外れたからって床に落ちて失くす心配はない。 それ以上に。 「パネル」のネジを廻して、そおっと表面のプラスチック板を取り除いて 再び「パネル」に戻すのには・・十分以上かかるので。 面倒だし・・時間も無い。 そのまま「Irene嬢」に「バイバイ」言って部屋を出た。 職場では。 すこおしイレギュラーな事故があって。 帰宅が・・1時間ほど遅くなった。 すこおし疲れて。 部屋のドアを開け、「Irene嬢」を見ると。 ・・・ 全てのピースが整然と並んでる。 当然。 「ひきこもり」部屋にも・・「鍵」はない。 それに。 毎日「お弁当屋さん」が「野菜たっぷりのお弁当」を置いてってくれる。 そーして。 「お弁当」が1つしか残ってなかったので。 腹を空かせた「早番」の弟が、自分の分を持ってったのだろう。 だから。 少なくても2人は。 我が「ひきこもり」部屋に入ったことは確実なのだけれど。 我が弟は、多分「私と同じ血」が流れてるので。 ワザワザ「パネル」を弄(いじ)って外れた「ピース」を直す。 なんて、めんどーなコトを・・する筈がない。 給料日直前に千円渡したら・・してくれるかも知んないが。 ・・ガキか。 「お弁当屋」のオジサンは。 何時でもネジを外せるよーに「ドライバー」なんかを持ち歩いてんだろーか? 考えられるコトは2つ。 我が「ひきこもり」部屋、南側の壁は・・「重力」が狂ってる。 これが、一番可能性が高いのだけれど。 果たして「1ピース」だけ都合良く元の場所に納まるのだろーか? それだけが・・すこおし納得できないでいる。 もう1つは。 「盗むもの」が何も無かった「ドロボーさん」が 暇つぶしに「パネル」を外して「ピース」を直してくれた。 「ドロボーさん」なら「ドライバー」は必需品だろーしっ! でも、それって。 すこおし失礼じゃないのかっ! 一応、買ったばかりの「電子レンジ」や「DVDプレーヤー」くらいはあるのに。 重くて・・すこおしばかり目立つけど。 それに。 キチンと探せば。 500元(中華人民共和国通貨)の現金や 800USドルのトラベラーズ・チェックが見つけられた筈だ。 日本国で、如何すりゃ現金化出来るのか?・・は知んないが。 日本円がないだけじゃないか。 書いてて・・すこおし情けない気がしてきた。 我が家は。 屋根が乗り、後は仕上げを待つだけって時に 台風が直撃したらしい。 未だ親父は未婚。 完成直前の家の中で、祖母(親父の母)や叔母(同妹)と一緒に寝てたらしい。 暴風の中。 「(早世した)父親が表から呼ぶ声が聴こえた。」 不審に思った親父が、祖母と叔母を叩き起こして、一緒に玄関から飛び出した。 その直後・・「家」が倒壊した。 って親父が話してくれたことがある。 「祖母」が彼岸に旅たった時。 「家」の「梁(はり)」に『優曇華(うどんげ)の華』を見た。 親父が話してくれた。 その1年後、「母」が早世した時にも。 『優曇華の華』が咲いた。 ずっと「プレハブ」部屋で寝起きしていた私は見たことはない。 でも。 北を枕に「母」が眠る隣の部屋で、私が寝ていた夜。 家中の「柱」や「梁」がギシギシ鳴いた。 それを、我が地方では。 「家の中から魂が離れていく時に、彼方此方にぶつかる音だ」と伝えられている。 「某真光教(おかね・が・いちばん・だいじ)」なんてモンを妄信した祖母と親父。 床下まで浸した大雨の時に、急いで「その教会(まぬけ・が・あつまる・ところ)」に駆けつけた。 そのため、「母」は独り、泣きながら重い「畳」を上げていた。 それ以降。 我が家では、一切の宗教は許されていない。 「御先祖様を拝んでいれば、それで充分。」 「母」の強烈な思いである。 そんな環境で育った私が、「既存宗教(まやかし)」なんて信じられる訳がない。 そーして成長する中で。 「自然科学」は、「物質を構成する最小単位」や「最大単位である宇宙」、「生命の起源」なんてのを何一つ証明することなんか出来やしない。 所詮は「自然現象」を「言葉(数式)に置き直す」が精一杯じゃないのか? なんて考えるよーになった。 まぁ。それでも大したモンだとは思うのだけれど。 だから私は。 「科学」も「宗教」も「同じもの(もうそう)」だと思ってる。 「信じる者だけが救われる」って・・か? そんな私なので。 「科学」が万能なんて全く考えちゃいない・・が。 「病人」が居るのなら「窓」や「扉」を「開けっ放し」にするなんて・・普通はしない。 それに「入院」すりゃ「家人」は看病するだろーから、必然的に「家」は「閉められがち」になる。 そんな中。 「田舎の葬式」は、「家中」の「襖(ふすま)」や「引き戸」を取り外して「一つの広い部屋」を作る。 「閉められがち」だった「家」が、全て「開け放たれる」のだ。 そー云う状況を考えれば。 「『優曇華(うどんげ)の華』は真っ白い綺麗なものだった」と親父は云っていた。 「梁に咲く」なら「植物」ってコトはないだろう。 「菌類」なら、「閉められがちな家」ってのは「絶好の環境」じゃないか。 そして。 昔の「木造家屋」は釘(くぎ)なんか使わない。 「柱」や「梁」は、それぞれが組み合わされて、「瓦(かわら)屋根」の「重み」で安定させている。 「閉められがちだった家」が、突然「開け放たれ」れば、湿った「柱」や「梁」は、急激に乾燥する。 そうなりゃ「如何なるか」なんて・・誰にだって見当が付く。 でも。 『優曇華の華』は。 本当に心の底から愛した人を失った人にだけ見せる「彼岸と現実の境に咲く幻の華」。 彼岸に旅立つ人が、最愛の人にだけ送る最期の贈り物。 そして。 愛する者を残して彼岸に旅立たねばならぬ「無念さ」を、「家」が慈(いつく)しんで鳴いてくれる。 そう思っていたい。 今回の「金縛り」は。 屹度「すいみん・やく」の副作用だろーし。 「Irene嬢」から外れた「1ピース」が勝手に戻ったってのも。 「すいみん・やく」の「記憶障害」に間違いないっ! だから。 お願いだから。 もう・・来ないでっ! ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|