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「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

11 『貧困層』への考察

 『貧困層』への考察

 今日、NHKスペシャルで『働く貧困層』と題したドキュメンタリーを『妻』と一緒に見ました。
 私は、『明日から休業』となりますので、『明日は我が身』という気持ちが、殆ど見ることのないテレビを見るキッカケになったのかも知れません。

 番組では、何人かの『生活保護』受給者よりも少ない収入で働く人々が映し出されます。
 ある人角館町で仕立て屋を営む老紳士
 ある人子供2人を抱えてリストラされ、深夜のガソリンスタンドで働く中年の方。
 ある人中学生時代に親が蒸発し、アルバイトをしながら高校を卒業したものの、独りきりの生活を維持するため、アルバイトに忙しく就職活動が出来ずに30歳過ぎまでプータローを続けざるを得なかった若者

 皆、一所懸命に働こうとしているのに職が見つからない。
 見つかっても、臨時の仕事で生活を維持するためには、とても充分な賃金が得られない。

 それを社会は救えないのか。
 という趣旨に貫かれた番組でした。

 途中、貧困層と呼ばれる彼らの社会への復帰を助ける立場の女性学者は、『生活保護』の仕組みを変える必要があると発言します。
 そして、村尾関西学院大学教授『才覚で多くのお金を得た人から、彼ら貧困層にお金が廻るという大きな仕組みは必要だが、才覚で高収入を得た人が攻撃されるべきでない』
と発言します。

 世界を代表する自動車メーカー『トヨタの社長報酬』と、『生活保護の年間支給額』30倍の格差もありません。
 これほど所得格差の小さな国は、世界の何処を探してもないということで、『日本国は世界中で唯一社会主義を実現した国だ』賞賛だか揶揄だか知りませんが、そう見られているようです。

 先日、竹中平蔵大臣『機会平等は必要だが、絶対に結果平等の国に戻してはいけない』と発言していたと『妻』から聞いていました。
 村尾関西学院大学教授も、かつて知事選で破れた元大蔵省キャリアですから、同じ『政治屋』同志、何処かで結ばれているのかも知れません。

 以前に私は、『日本国は資本主義国家である』と書いた覚えがあります。
 『個人の才覚によっては、『大金持ちになるチャンス』と『全てを失って首を吊る自由』が保障されている資本主義に則った国家』です。
 
 ですから、門地富裕貧困関係なく『機会平等』は必ず保障されなくてはならないと考えていますし、労働組合など結果平等を求める考え方には疑問を持ってきました。

 しかし、竹中氏や村尾氏に言われると少し癇に障ります。
 ある意味で人生の成功者からの発言には、少しも貧困者層の悲しみが感じられないからです。

 努力しても報われないことも多々あるでしょうし、生活を維持することだけで精一杯の人間に、成功するための機会が均等に保障されているとは如何しても考えられません。

 「うつ」人で、将来に多大な不安を抱える私には、『明日は我が身』の貧困層と呼ばれる方々の悲鳴が聞こえてきそうです。

 でも言い切ってしまいます。
 矢張り日本国『個人の才覚によっては、『大金持ちになるチャンス』と『全てを失って首を吊る自由』が保障されている資本主義に則った国家』ですと。

 これは仕方のない事実です。
 意思薄弱者の私ですが、最低の矜持を持って言い切らざるを得ません。

 では、何が問題だったのでしょう。
 私は休職する予定ですが一応未だ公務員です。

 行政の立場に立っていた者からは、死んでも『国や社会が悪い』などとは言えません。
 実際、救いの道は幾らでもあるのですから。

 先述した『仕立て屋』を営む老紳士です。
 奥さんアルツハイマー病9年前から入院していて、月に6万円の入院費用を払えば、年金や二十数万円の年間所得は殆どなくなってしまうので税金が払えないということでした。

 月に5万円を超える医療費高額医療として処理されるので、月に5万円以上の医療費は有り得ないと思うのですが・・・曖昧な知識で申し訳ありません。間違っていたらゴメンなさい。

 また、そういう家庭状況なら市町村の福祉課が、率先して『特別養護老人ホーム』を斡旋するでしょうし、その費用は奥さんの介護保険や年金受給額の範疇で支払える筈です。

 老紳士が市役所に向かう部所が映し出されていましたが、税務課等じゃなく福祉課に行くべきだったと思います。

 また、二人の子供の学資のために深夜のガソリンスタンドで働く方にしても、アルバイトで独りきりの生活を維持するのに忙しく就職の機会を失った若者にしても同じ事が言えます。

 何故、学校の授業料免除市町村または育英会奨学金制度を利用しないのか不思議です。
 中学生と小学生のお子さんでしたが、将来、大学に行きたいのなら学費免除奨学金制度がある、だから『大学に行く、行かない』は、『真剣に勉強するか如何かだけだ』言い聞かせれば子供の不安も少しは軽減するでしょうに。

 独りで生活するためのアルバイトに忙しく、就職する機会を失ったという若者は、何故、市町村の福祉課に連絡しなかったのでしょうか。
 電話一本で福祉課職員が飛んできます。

 そして、児童福祉施設に入るのかどうか検討されると考えます。
 (高校生では、施設入所の対象にならないかも知れません。不勉強をお許しください。)
 施設に入りたくないのなら、アルバイト『新聞配達』に変えれば『特別奨学制度』があるので、就職面接に着て行く服がなかったなんて事態には、ならなかったのではないかと考えます。

 「日々の生活に追い詰められていたら、そんなことを考える余裕なんてないよ!」
 『妻』が呟きます。

 確かに、そうかも知れません。
 ですが、誰かが、「こういう方法があるよ」教えてあげれば、今日放送されていた方々の殆ど全員救われていたと思われて仕方ありません。

 本の少しの情報が足りません。

 そして、その事には一切番組は触れず、『社会的な解決を求める』と空虚に繰り返すだけです。
 NHKにしては、物足りない、そして、余りに稚拙な番組構成でした。

 今、全国に400万世帯を超える上記のような『働く貧困層』がいるそうです。
 その一部の方々でしょうが、『悲痛の叫び』は確かに聞きました。

 ですから、せめてNHKなら『今の事態を解決するために、一度、役所に行け!』再度放送されることを望みます。

 駄目かもしれませんが、『役所(福祉関係部所)に行けば、救われる多くの方々がいる』筈だと思われてなりません。
 
 それが、何よりも哀しく感じた番組でした。



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