周防 灘の凪を望んで

リンゴの無農薬栽培を成功させた、
いま話題の木村秋則さん。

それに取り組む前には、リンゴの栽培と並行してトウモロコシの栽培もされてい
ました。

頭を悩ませていたのがタヌキの害。
収穫間際になると、トウモロコシをごっそりタヌキに食べられてしまうのです。


なんとかしなければと、畑に大量の虎鋏をしかけます。

すると、ある朝、虎鋏に仔ダヌキがかかっていました。

傍には心配そうに見守る母ダヌキの姿が。
母ダヌキは、木村さんが近づいてもその場から動こうとしません。

木村さんは暴れる仔ダヌキを押さえつけて、虎鋏を外してやりました。
すると、母ダヌキは子ダヌキの傷口を一生懸命舐めてやっていました。


母ダヌキの懸命な姿を見た木村さんは、
出来が悪くて売り物にならないトウモロコシを、
畑の端に置いてやることにしました。


翌朝……。
　

木村さんが畑の端に置いておいたトウモロコシは、ひとつ残らず
なくなっていました。
そして、売り物のトウモロコシは荒らされてはいませんでした。
以来、売り物にならないトウモロコシを畑の端に置くようにしたところ、
タヌキの被害はほとんどなくなりました。

　

木村さんは言います。





「人間がよ、全部持っていくから被害を受けるんではないのかな」





「鬼は内。福は内」ｂｙ天河大弁財天



これは、奈良県天川村にある神社、
天河大弁財天での節分の掛け声です。


「鬼は外！」ではなく、「鬼も内！」なんです。


鬼をも、ねぎらうんです。
やさしさをもって受け入れるとき、鬼は鬼じゃなくなるんです。


すべてを受け入れたら、みんなが幸せになる方法が、きっと見つかります。