ひろっさんのムラマメ日記

今月の８日に生まれて初めて彼の生のステージを観てきました。
会場は悪名高き東京フォーラムA。
いわゆる我々コンサートスタッフには評判の悪い会場です。
大体がキャパが5,000とホールにしては大きすぎて、ステージが遠い。
お客さんが可哀想。武道館の方がまだ見やすいと云う
スタッフもちらほら。まぁここでこんな事を云ってもね。

Joao Gilberto（ジョアン・ジルベルト）1931年生まれと
云うから、今年で75才。
今から50年程前にボサノバという音楽を作った男。
世界中の人達が認める偉大なる音楽家。孤高の人。
彼の作った曲を聴いた事が無いと云う人はまずいないでしょう。
そんな彼の初来日が2003年/一昨年と云うから愕きです。
その時は都合で観に行けず涙を飲んだのだが、コンサートに
行った人は涙を流していた。
たった一人で生ギターと唄のみでのコンサート。その時から自分の
仕事仲間である音響ミキサーのK君が彼のミキサーを毎年やっている。
そして、ナンと初来日の時のライブ盤があるのだが、それはちゃんと
ライブレコーディングされた物ではなく、ジョアンが資料用にとDATで
録られたPAミキサーK君の2Chミックスアウトの物。
所謂、卓アウトと呼ばれる代物。しかし、そのクオリティの良さは
抜群で演奏も良く、滅多にない彼のライブ盤となった次第。
これは凄い事で、当時はこの話題で持ちきりでした。
こんな例は世界でもあまり有りません。
あの頑固者と云われる彼が認めたのですから。
まるで山下達郎のオヤジみたいな人です。
ぜひぜひ、一度聴いて観て下さい。

今回初めて彼のステージを観て音楽の持つ力に改めて感動を。
高齢の彼がギター片手にすーっと静かにステージに現れ、
一言「コンバンワ」と云ったきりその後、終演するまでの
２時間３０分位の間、一言も喋らない。
40曲程演奏し、唄ったのでは。もう愕きとしか。驚愕。
アンコールも10曲程やってた。「イパネマの娘」で終わるまで。
どこかの国の歌い手みたいに歌詞を見るとか、プロンプターを使うとか
そんな事など全くなく、完璧にさらりと唄い演奏する。
とにかく、肩の力が抜けてとか、そんな次元じゃなく、とにかく凄い。
そして、淡々と唄う彼のヴォーカルと、とてつもなくえぐい？ギターが
静かに静かに時間を刻んで行く。ギター凄いです。
滅茶苦茶難しい事を何も無かったの如く、さらりと弾く。もう降参。
演奏中は殆ど目を閉じているのにもびっくり。
ギタリストが観たらもっと違う事を云うのでしょうが。
ちょうど、山弦のおぐちゃんも見に来てたんで今度、彼に尋ねてみよう。
とにかく、もう職人とかそんな域はとうの昔に越えていて、オレには
神様が演奏しているのではと、思えたしそう感じたのです。
あの日、あの会場にいた5,000人が息をこらして集中し、ただ彼だけを見つめ、
あの音楽に打ちのめされ、感動したのは紛れもない事実。
凄い人が世の中にはいるもんです。

そう、あの日の模様がDVDになるらしく、カメラも廻っていたが、実際
彼が気にいればのお話。いつ出るのやら。
まぁ、気長に待ちます。
今まで、映像作品が無いだけにね。
しかし、PAの音良かった。始まった当初、少し音が小さいかな？なんて
思ったのでしたが、それが良かった。次第に耳が馴染みいい案配。最高。
何も足さない、何も引かないという見本の様な音響でしたよ。
Kon-Chan素晴らしい。


Joao Gilbertoさん。ありがとう。
またいつの日か。