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surre_gather - シュールゲイザー

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ヴィブラフォンの愉しみ

ヴィブラフォンの愉しみ.jpg

ヴィブラフォンの愉しみ
VIBRAPHONE GROOVE A to Z


涼やかな音色とともに、脳内にフェロモンが響きわたる。ヴィブラフォン(ヴァイブとも略されます)とは鉄琴、木琴に似た構造をもちヴィブラートを調節できる特徴をもつ楽器だそうです。ヴィブラートとは音の心地よいゆらぎであり、弦、管、ハモンドオルガン、声楽などの伸びやかなフレーズ、時には張りつめた緊張感を表現するのに多様されている気がします。ゆらぎの空間、音の渦に包みこまれる瞬間はやはり至福。それに輪をかけて、ヴィブラフォンの使われる曲は夏の暑い時期は清涼剤に、冬の寒さには包みこむじんわりした音響効果で、このハイトーンな音色は大好きな「音」です。やはりジャズの分野によく登場しますが、「ソウルジャズ」、「ラテンジャズ」と呼ばれるもの、またブラジル音楽にも素晴らしいヴィブラフォン楽曲がたくさんあるように思えます。ただ、しっかりとしたディスクガイド、リーダー作以外のヴァイブ作品などが一望できる本、ページがないようにも思えますので、こちらで少しずつ更新していきたいと考えています。
リーダー作以外でも、ヴィブラフォン奏者がフィーチャーされる作品をどんどんメモしていきたいと思っています。ピアノやオルガン、管楽器と大変相性がよいだけに脇役に徹しがちなのですが、その優美な世界を改めて再確認し掘り起こすことができれば。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX A

Garoto + Sexteto.jpg
(1966)
VIBES:Altivo Penteado
"Garoto"
★★★★
Garoto
Garoto + Sexteto
ジャケットにも大粒のマレットを模した正真正銘のヴィブラフォンジャズサンバ。全体的に乾いたリズム隊にお馴染みのサンバクラシックスがズラリ、非常によく馴染む涼しげな音色が最高!お手軽な覆面カヴァーコンボというには余りにも惜しい、1粒1粒の陽気な完成度が楽しすぎる一枚。第1声から元気いっぱいの"Estamos a?"、アッパーでぶっきぶらぼうなヴォーカル付き"Gente"、"Garota moderna"など。
IzioGrossIstoeBossa.jpg
Mocambo(1964)
VIBES:Arnoldo
★★★★
Izio Gross e seu Conjunto
Isto e Bossa
ピアニストのIZIO率いるボサノヴァの作品は幾つかありますが、ヴィブラフォンを花形としてフィーチャーした作品といえばこちら。Edison Machadoの高速かつダイナミックなドラミングが起爆剤となり、全く気の抜けない疾走感溢れる演奏です。Oscar Castro Nevesの傑作"Menina Feia"でいきり立つ衝動を感じ、"Samba de Perroquet"の爆発するジャズサンバなどヴァイブが凶器にもなる過激な一枚となっています。

1964AecioFlavioMelhorNoite.jpg
Polydor(1964)
VIBES:Aecio Flavio
★★★☆
Aecio Flavio e Seu Conjunto
O Melhor da Noite
流れのよいダンスのための正統派ブラジリアンジャズ。リーダーはマエストロ、アレンジャー、現在はピアニストとしても活躍しているようです。全編にピアノ、サックス、トランペットがブロウするにぎやかな作品です。カルロスリラの高速ボッサ"Voc? e Eu"はスリル満点ですし、"Flor Que Cheira A Saudade"ではToninho Hortaをヴォーカルに迎え、ミナスの甘いサウダーヂを讃える。緩急極めたバランスよい12曲。




VIBRAPHONE PLAYER INDEX B

billy wooden lost tapes.jpg
(1972)
VIBES:Billy Wooten
★★★★☆
The Wooden Glass featuring Billy Wooten
LIVE
ライブアルバムならではの泥臭く荒削りの興奮を存分に味わうことのできる本当に素晴らしい作品。ギター・オルガン・ドラムトリオのバランス感覚があるからこそ、自由にぶったたける奇跡的な演奏。"monkey hips & rice"の疾走感溢れるスリルや、やはりドラマティックス名バラード"In The Rain"、擬音混じりでドシャメシャの気分を体現するテイクなどは他のプレイヤにはない唯一無二の存在感。
lost tapes.jpg
P-VINE (2007)
VIBES:Billy Wooten
★★★★★
BILLY WOOTEN
Lost Tapes
世界初登場音源として突如発表された感じのあるお蔵入りライブ音源やスタジオテイクなど。特に前半3曲のカヴァーはオーディエンスの興奮が直肌、凄まじい熱気と情念が痛いほど伝わる。"Let's Stay Together"、"Betcha By Golly, Wow"、"You Are Everything"と、どす黒く唸るオルガンと、乱反射するワウギター、そして耳をつんざくヴァイブが「音」を貪りあう神がかったプレイ。
BRENO SAUER 4 NA BOSSA.jpg
(1965)
VIBES:BRENO SAUER
★★★★
BRENO SAUER
4 NA BOSSA
ムジカロコムンド2にも掲載のブラジルのヴィブラフォンプレイヤーですが、彼のリーダー作はざっと手に取れるだけ5枚ほど散見され多作のアーティスト。ボサノヴァの焦点をあてた本作は彼のデヴュー作とあり、マルコスヴァリ、エヂリンコルンなど大好きなカヴァー集といった趣。"Sambossa"という純正ハードバップが聴きどころと思えば、ゆったり墜ちるバラード"Amanha"も聴かせるという幅広い魅力の1枚。




VIBRAPHONE PLAYER INDEX C

CAL_TJADER_Last_Bolero%20AL.jpg
USA,1973
奏者:CAL TJADER
★★★
CAL TJADER
LAST BOLERO IN BERKELEY
ラヴェルの"BOLERO"を渋くねちこいカヴァーにすると思えば、"Where Is The Love"の五月薫風が吹き抜ける爽やかなソウルポップスまで音色とともに多彩な展開をもつ作品。そしてやはりジャクソン5の奇跡がかったポップスに命を息吹かせるような"NEVER CAN SAY GOODBYE"、"I WANT TO YOU BACK"はカヴァー作品随一。ただ、駄作も多い印象のカルジェイダー、ベスト盤が無難なのかな。




VIBRAPHONE PLAYER INDEX D

DAVE PIKE SET NOISY SILENCE-GENTLE NOISE.jpg
MPS(1969)
VIBES:DAVE PIKE
★★★
DAVE PIKE SET
NOISY SILENCE-GENTLE NOISE
フリーソウルでも取り上げられ、Dave Pikeの傑作とされる作品。アコギとハイハットが鳴り止まないインストポップ"Regards From Freddie Horrowitz"については、少し暗いメロディも相まってうっ屈した疾走感ネオアコにも聴こえる大好きな一曲。シタールの"Mathar"がよく取り上げられ、他にもワウギター、変拍子、プログレ風と捉えどころのない作品群かも。結局ポップで馴染みやすい"I'm On My Way"なんかが好感度上げます。




VIBRAPHONE PLAYER INDEX F

FREDDIE McCOY - LISTEN HERE.jpg
Prestige(1968)
奏者:FREDDIE McCOY
★★★☆
FREDDIE McCOY
LISTEN HERE
まずA1"Don’t Tell Me That"の高らかなホーンに煽られる疾走感溢れたヴァイブプレイ、興奮を隠しきれない吐息などフリーソウル的にも合格点。お馴染み"Love for Sale"、粋な"Stone Wall"などリズム爽快。プロデュースはCal Lampleyという方だそうで、もともとはマンボ、チャチャチャなどのオーケストラマスター。ラテンの血が混じってこそ珠玉のヴァイブプレイが曲に馴染みますね。
zumba cinco.jpg
(1964)
VIBES:Fernando Maxnuk
★★★☆
Zumba Cinco
Zumba Cinco
ブラジリアンハードバップと名高い傑作。単のバップスタイルなら世話ないが、ヴィブラフォンが大胆に駆け巡る編成はブラジリアンジャズの中でも珍しい。あくまでラウンジの体は崩さず、スタイリッシュかつ過激な音運びは痛快。特に"A Hard Day's Night"は独自のメロディを組み入れつつ、素晴らしいカヴァーテイクを魅せる。続く"Tema Feliz"はオリジナルかな、ピアノとのかけあいがスリリングな佳作。
Orchester Roland Kovac TRIP TO THE MARS.jpg
SABA(1964)
VIBES:Francis Coppieters
★★★
Orchester Roland Kovac
Trip to the Mars
全17曲という手数の多さは置いておいて、豪傑オーケストをスパイ映画のサントラ風味に愉しむことができるドイツのジャズコンボ。熱いサックスと絡むヴァイブの"Heat"、"Power Start"など、音は素晴らしいですがCMスポットのように短発で少々残念かな。中でも別格扱いの永年色褪せないハードワルツ"Blue Dance"はヴァイブ好きには必ず押さえたい一曲。
FATS SADI ensadinado.jpg
SABA(1966)
VIBES:Fats Sadi
★★★★
FATS SADI
ENSADINADO
太っちょサディが叩くとありますが、豪快な吐息とともに繰り出す野太い打音から、細い線の繊細な演奏まで緩急利いた色彩豊かな作品。自作曲である2曲はその対極を録音しており、"THE SAME"はメロディも起伏に富みお茶目にも聴こえるプレイ、一方の"BLUE SUNRISE"は大人びたトーンで真夜中に深酒しながら最高に高揚する雰囲気が楽しめる。MILT JACKSONなどという正統派ヴィブラフォンプレイヤからは外れた印象もある、異国の国の遣い手。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX H

平岡精二とブルーシャンデリア ナイトクラブの片隅で.jpg
(1970)
VIBES:平岡精二
★★★
平岡精二とブルー・シャンデリア
ナイトクラブの片隅で
冷やかで覚めたようなヴォーカルと、カクテルジャズを基調としたムード歌謡の妖しさが非常に魅力的なヴィブラフォンの演奏。熱い演奏はないし、全体に漂うクールなヴェールに飽きもくるが、美しい日本語で端正に歌いきる清潔感が好印象。「幻の名盤解放同盟」頻出、"謎の女B"オリジナルの収録、"あいつ"など踊れなくともじっとり泣ける名曲が多い。彼の過去何枚かあるどジャズ作品も確実に押さえたい。
The Harvey Averne Dozen Viva Soul.jpg
ATLANTIC(1968)
VIBES:Harvey Averne
★★★
The Harvey Averne Dozen
Viva Soul
モータウン風女声コーラスを従えた、埃っぽいアレンジが続くソウル作品。フリーソウルでも取り上げられた一作ですが、ソウル諸作にヴィブラフォンがいまいち根付かないのは、その打音だけで華やかに浮足立つからでしょうか。それでも、"Think It Over"や"Wishing And Hoping"なんかはハーヴェイアヴァーンのハスキーなバリトンと、華やぐ女声コーラスがダイナミックに噛み合う、素晴らしい一枚ですね。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX J

the village caller!_cover.jpg
Riverside(1964)
奏者:JOHNNY LYTLE
★★★
JOHNNY LYTLE
THE VILLAGE CALLER!
じわじわとクライマックスに昇り詰める感動のバラード"Can't Help Loving Dat Man"、塞ぐメロディを重く刻みインストながらも雄弁に語る"You Don't Know What Love Is"、どれもがミルト・ハリスのオルガンあってこそ幽玄に鳴るといった趣きで、カクテルジャズここにありきという名盤。重厚なオルガンの合いの手によりほとんどファンクかと思う"kevin devin"なども聴きどころ。
Jerzy Milian Trio Baazaar.jpg
Muza(1969)
VIBES:Jerzy Milian
★★★☆
Jerzy Milian Trio
Baazaar
ポーランド国営スタジオってNHKよりも気味悪い気がしますが、フリーキーな前衛ジャズを基調にしながらも、こもったような冷たい女声ヴォーカルが輝くモーダルで心地よい"tempus jazz 67"、テンポ不在で燃え上がるバップジャズ"rewelacyjny luciano"など瞬間瞬間を惹きつけるようで。全体を奏でるヴィブラフォンは氷の国の音楽にとても甘く響きます。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX L

harold johnson everybody loves a winner.jpg
REVUE (1969)
VIBES:Larry Nash
★★★☆
HAROLD JOHNSON SEXTET
EVERYBODY LOVES A WINNER
ピアノとベースのどっしりとしたフレージングで、強烈な「男気」を感じずにはいられない。ヴァイブは決して主役ではないが、曲によく馴染み低音域中心のジャズに華を添えます。ただ曲によっては鮮烈なメロディを奏で、"be quiet man"、"nature boy"などにはピアノに迫る負けん気。どの器楽も前に前に、結果としてこの泥臭い存在感が作品全体に漂っています。FREE SOUL 2001掲載"we're a winner"も非常にメロディアスなカヴァー。
lionel hampton quintet-1954-the lionel hampton quintet.jpg
(1954)
VIBES:Lionel Hampton
★★★
The Lionel Hampton Quintet
The Lionel Hampton Quintet
ヴィブラフォンジャズ奏者の重鎮とのこと。特に17分間に及ぶ"flying home"、力強いヴァイブ打音が楽団と渦を巻き、10分を過ぎたころから唸り声とともに禍々しい興奮のるつぼとなるさまは圧巻です。作品はその他、ジャズのクラシックとしてあまりにも有名なカヴァー曲が多いですが、丁寧なビブラートを這わせた"These Foolish Things"というバラードは必殺。楽器の美しい息遣いが目に見えるような巧さ際立つ、さすがの演奏。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX M

Blues On The Other Side.jpg
MCA(1962)
VIBES:Mike Mainieri
★★★
The Mike Mainieri Quartet
Blues On The Other Side
一聴して洒脱なラウンジ。マイクマイニエリさんは現在はフュージョン畑で活躍中とありますが、本作はストレートなカクテルジャズとして安心して楽しめます。ヴァイブ特有の煌びやかな粒と、決して軽くはならないタッチで天の川を疾走するような自作曲"B.R.Blues"、徐々に熱気を帯びてくる"Waltzin' In And Out"などは複雑な変拍子が後のフュージョン化を予見しますね。脇役に徹しがちなヴィブラフォンをメインリードで聴かせるだけの実力が裏付けされた作品。
MILT JACKSON OPUS DE JAZZ_.jpg
SAVOY(1955)
VIBES:MILT JACKSON
★★★
MILT JACKSON
OPUS DE JAZZ
大物ヴァイブ奏者のミルトジャクソンだが、本当にたくさんのCD、レコードがありリーダー作でも90作品は下らないようです。何を聴いても安定した演奏、また他のプレイとのバランスなど楽しめるものが多い。この作品はFRANK WESSというフルートとねっとり絡み、極上のバラード"you leave me breathless"などで継ぎ目なく行われる即興の応酬はさすが。一流のプレイヤーが集まった作品だけに聴かせどころは多く、じっくり耳を傾けたい。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX P

SHIRLEY SCOTT.jpg
1960
奏者:PHIL DIAZ
★★★★
SHIRLEY SCOTT WITH THE LATIN JAZZ QUINTET
Mucho, Mucho
ファンキーなShirley Scottのオルガンに全編いい感じで絡みつくヴィブラフォンの音色。オルガンは女性とは思えない歯切れの鋭さで、呼応するピアノやヴァイブも疾走感最高です。コールポーターの美しいメロディを過激にプレイした"I Get a Kick Out of You"や、cafe apres-midiでもお馴染みエキゾチックラテンキラー"Tell Me"がスリリング。




VIBRAPHONE PLAYER INDEX R

ROY AYERS UBIQUITY RED, BLACK AND GREEN.jpg
POLYDOR(1973)
VIBES:ROY AYERS
★★★☆
ROY AYERS UBIQUITY
RED, BLACK AND GREEN
ニラミを利かし緊張走る顔ジャケからは想像できない昇る高揚感、色彩の拡がり、そしてじわりと多幸感が。特にAフランクリン"Day Dreaming"、自作曲のハードグルーヴ"COCOA BUTTER"など個性が表れた粒立ち金属質なVIBESの調べについてはロイエアーズを堪能できるプレイなのではないでしょうか。手数の多いクラブ寄りの楽曲よりも、やはりヴィブラフォンジャズとしてのシンプルな起承転結が個人的には美しく聴こえます。
NAT BIRCHALL Sacred Dimension.jpg
GONDWANA(2011)
VIBES:Rachael Gladwin
★★★☆
NAT BIRCHALL
Sacred Dimension
"ancient world"は重く思慮深い演奏はよく云われる「スピリチュアルジャズ」という趣きですが、それに輪をかけて、霙のように降り積もる鈍いヴァイブの響きが非常に印象的な作品。シンプルな体制ながら、複次元の異世界を堪能できる新しいジャズ。また"peace in nineveh"は3連の揺るぎない静かなビートにメインのサクソフォンとヴァイブがミステリアスに絡み長尺で熱を帯びだすさまが生々しい。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX T

a jazz band ball 1957 2nd set.jpg
(1957)
VIBES:Terry Gibbs
(Victor Feldman &
Larry Bunker)
★★★☆
Jazz Band Ball
2nd set
テリーギブス、ヴィクター・フェルドマン、ラリー・バンカーというヴァイブ奏者3人の競演ということで奇盤の類に捉えられがちとのことですが、全く衒いのない純粋なカクテルジャズ。即興要素の強いヴィブラフォンだからこそ、お互いの旋律に呼応するかのような奇跡のフレージングを聴かせる"the dipsy doodle"、"broadway"などが痛快。3台のパートリレーが華麗に移りゆく"tangerine"など他では絶対聴けない演奏ですね。
TED COLEMAN BAND TAKING CARE OF BUSINESS.jpg
JSR(1981)
VIBES:Ted Coleman
★★★☆
TED COLEMAN BAND
TAKING CARE OF BUSINESS
締まりのあるリズム感に緩いヴォーカルが漂う、ハワイアンフリーソウルと言われれば納得してしまいそうな風通しのよさ。ニュージャージーのヴィブラフォン奏者がカクテル風ソウルの珍しい作品を残しています。"What A Lovely Way To Spend A Lifetime"のタイトなヴォーカルや、"Samba de"はインストですがラテンの血が騒ぐ狂喜乱舞といったアレンジ。全体にいまひとつパンチがないのはヴォーカルの緩さからもうかがえます。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX U

Roberto Menescal P.JPG
Imperial(1964)
VIBES:Ugo Marotta
★★★★
Roberto Menescal e Seu Conjunto
Bossa Nova
ボサノヴァという文化を創り支えたホベルトメネスカルの全盛作品。誰が聴いても「極上」と唸る名曲を、圧倒的なオーケストレーションを遣いながらボサノヴァらしいタイトな小品に仕上げるアレンジは流石。主役ではないにしろメロディを豪快に這わせるUgo Marottaのヴァイブが光り輝く"influencia do jazz"、"s? dan?o samba"、地味ながらもパートリレーが冴える"N?s e O Mar"など、自作としてスタンダード化した作品含み名曲・名演揃いぶみ。
Sylvia Telles, Lucio Alves, Roberto Menescal.jpg
Elenco(1964)
VIBES:Ugo Marotta
★★★☆
Sylvia Telles, Lucio Alves, Roberto Menescal
Bossa Session
シルヴィアテリスの作品には必ずといっていいほどヴィブラフォンがコンボの中に参加しており、日差しの強い灼熱のなか涼しいボサノヴァの演出には抜けるような爽快感たっぷり。ぶっきらぼうな男女のデュオ、可憐なデオダードのピアノプレイ、ボサノヴァ界のヴァイブ・アレンジ関連百戦錬磨のUgo Marottaの参加ときたら、悪いはずがない。"Telefone"のグルーヴ、"Cinco por Oito"のクールネスに感動を覚えます。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX V

victor feldman - the arrival of victor feldman.jpg
Contemporary(1958)
VIBES:Victor Feldman
★★
Victor Feldman
The Arrival Of Victor Feldman
英国白人の奏者らしい、非常にタンパクなプレイ。ヴァイブ演奏の"WALTZ"なんて少し期待しますが、少しもたつく。あのビルエヴァンストリオのスコットラファロというベースが聴きものだそうですが、それもどこか浮足立ち、リードに華がないような印象が続く作品かもしれません。ヴァイブBPM番付1位とされそうな"BEBOP"で聴かれるトリオによる攻防と、お馴染み"Satin Doll"でもそれぞれのパートを刺激しあうスタイルがまずまず。
salsoul+orchestra+magic+journey.jpg
Salsoul Records(1977)
VIBES:Vincent Montana Jr.
★★☆
The Salsoul Orchestra
Magic Journey
LPを楽しむというには駄作が多いディスコもの。中でもやはりLoleatta Hollowayのはち切れるヴォーカルの魅力を引き出し、フリーソウルらしい溌剌としたお馴染みキラー"RUNAWAY"がベスト。後半には摩天楼のストリングと絡み合うファンキーなヴィブラフォンプレイが堪らなく美味。後にあるDJがリエディットして8分の尺に引き延ばした12インチもありますが、ヴォーカルとヴァイブの継ぎ足しにより演奏の素材自体は同じです。


VIBRAPHONE PLAYER INDEX W

Waltinho e Seu Conjunto.jpg
(196X)
VIBES:Waltinho
★★★★
Waltinho e Seu Conjunto
Magi Ritmo
雨後の竹の子的な60年代ジャズサンバコンボの一つと思われるが、詳細は謎。Waltinho(ワルチーニョ)と呼ばれるピアニスト兼ヴィブラフォンプレイヤが主軸となり、男女のユニゾンコーラスが華を添え、素晴らしいボサノヴァがそうであるように弾ける肉体的な躍動で聴かせる。ヴァガメンチもイパネマも板につくし、"O Que Eu Gosto de Voc?"、"RIO"などリズムに居ながら甘くとろける。こういうエゴのないジャズコンボは欲がなくて本当に楽しく気持いいですね。
walt dickerson - this is walt dickerson !.jpg
New Jazz(1961)
VIBES:Walt Dickerson
★★★
Walt Dickerson
This is Walt Dickerson!
陰気なジャケット写真から窺えるような湿ったジャズ。一打一打がどっしり弾かれ、それでいて透明感を保つようなトーンが特徴的です。軽やかなカクテルジャズというか、全体的には思考的なハードバップ、モダンな正装ジャズという印象。手数の多いシーツオブサウンドさながらの"The Cry"は興奮あおりまくるし、後のスピリチュアルジャズスタイルに十分伏線を張る"Death And Taxes"はワルツともとれない武骨な3拍子が個性的。



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