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ある研究者の脳内開示

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March 13, 2008
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カテゴリ:論文・最新知見
 現在の生命科学において、なくてはならないツールとして活用されているものが、蛍光物質や蛍光タンパク質を用いたイメージング技術である。タンパク質やカルシウムなどの小分子の挙動・濃度変化などをモニターし、リアルタイムで観察することが可能になっている。

 最近特に発展著しいのがin vivoイメージングである。in vivoとは”生体内の”という意味の言葉(反対はin vitro、”試験管内の”の意味)であり、in vivoイメージングとは文字通り、「生体内でイメージング技術を用いて解析を行う」ことである。最近発表された2つの論文は、技術的にも知見としても最先端を走るものであり、大変興味深かった。

 1つめは、Hyman T. Bradley博士らがNature誌に発表した論文で、アルツハイマー病のプラーク形成過程を2光子顕微鏡を用いてリアルタイム(経時的にある対象を観察してデータを取得すること)で観察したという、個人的には「どビックリ」な論文である。アルツハイマー病などの神経変性疾患では、プラークというタンパク質の凝集物を主な成分とする凝集体が形成されていることが知られている。問題となっていたのは、これが「原因」なのか、「結果」なのかというところである。つまり、凝集体によって神経の変性が励起されたのか、神経が変性したから凝集物ができたのか、というところが議論の的となっていた。

 Bradley博士らは、2光子顕微鏡という、生体の深部(といっても1mm弱の深さであるが、透明でない物体をこれだけの深部まで観察できるというのは大変なことである)を観察できる特殊な顕微鏡を用いて、プラークの形成をリアルタイムで観察した。その結果、プラークの形成は2日程度という短期間で起こり、引き続いてミクログリアの集積、神経軸索の変化が生じるという過程を明らかにした。このように病態の進行を経時的観察することで、因果関係が明らかでなかった現象に確かな証拠を与えることが可能となってきている。

 この論文だけではなく、2光子顕微鏡技術はいまや神経科学の世界においてはなくてはならないツールとなっている。ある神経細胞の活動をin vivoでリアルタイム観察したり、上記の例のように組織内の変化を観察することが可能なため、これまで組織培養など人工的な方法に頼ってきた解析に大きなパラダイムシフトを与えている。今後は神経のみならず、さまざまな領域での応用が進むと考えている。

 もう1つの論文は、日本が誇る蛍光タンパク質研究の雄、理化学研究所の宮脇敦史博士らの成果である。彼らはサンゴやクラゲなどから数多くの蛍光タンパク質を同定し、蛍光タンパク質の研究ツールとしての可能性を飛躍的に発展させた。その技術を駆使して構築したのが、Cell誌に発表された細胞周期の「色分け」である。彼らは細胞周期依存的に分解制御を受ける2つのタンパク質(Cdt1とGeminin)に蛍光タンパク質を結合させ、G1期(細胞周期が止まっているか、または始めようとしている時期)及びS~M期(細胞分裂を行う準備期~細胞分裂期)をそれぞれ赤・緑の蛍光で色分けすることに成功、発生中のマウス個体での観察などに応用できるという。実際にマウスの写真が掲載されていたが、赤と緑が入り混じる写真は非常に美しく、整然と発生プログラムが進行していくさまを髣髴とさせた。

 蛍光タンパク質を用いた技術としては、FRETやBiFCなど、タンパク質間相互作用を検出するための方法や、上述の例のように“Tagging”する目的で使用される方法などがある。種類としても、色の変化や蛍光のon/offをコントロールできるものなど多くの有用な蛍光タンパク質がツール化されている。今後もさまざまな応用例が考えられ、生命科学における極めて重要なツールとして発展していくと思われる。常にup to dateな情報をフォローしていく必要があると考えている。


<参考>
http://ja.wikipedia.org/wiki/2%E5%85%89%E5%AD%90%E5%8A%B1%E8%B5%B7%E9%A1%95%E5%BE%AE%E9%8F%A1
(2光子顕微鏡の解説・少し専門的)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E8%83%9E%E5%91%A8%E6%9C%9F
(細胞周期の概説)
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~tlong/Japanese/probes/PeT_FRET/FRET.html
(FRETについて)

<参考文献>
Meyer-Luehmann, M., et al. Nature vol.451: 720-, 2008
Kerr, J. and Denk, W. Nature Review Neuroscience vol.9: 195-, 2008
Sakaue-Sawano, A. et al. Cell vol.132: 487-, 2008

●本文章中に掲載される内容には万全を期しておりますが、その内容及び情報の正確性、完全性、適時性について、著者本人は保証を行なっておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。転載に当たってはご自身で原著を確認されることをお勧めします。





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Last updated  March 13, 2008 08:00:55 AM
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