2回目です・・・THIS IS IT!
正直に告白すると、1年前にマイケルが、ロンドンツアーを発表した時には、「まさか、冗談でしょう?」と思ってしまいました。 だいぶ長い間、ステージに立っていないし、しかも50歳という年齢では、せっかくライブをやってもブザマな姿を晒すだけじゃないのかな・・・? まあ、でもファンはどんな出来でも、マイケルが歌って踊れば満足なんでしょうけど・・・ ・・・などという失礼なことを考えていた私ですが・・・・・・ご、ごめんなさい 「長いブランクに加えて50歳という年齢もあるし、まともなパフォーマンスは出来ないだろう」と、私だけでなく、多くの人がそう思っていたのではないでしょうか? でも、この映画は、そうした私達の素人考えを、一瞬で吹き飛ばしてしまいました。 マイケル・ジャクソンは本物のプロでした。 彼が中途半端な事をするはずがなかったのです。 その事を、いやというほど見せ付けられた映画でした。 1回目に観た時は、とにかく年齢やブランクなど、微塵も感じさせないほどの、完璧なパフォーマンスに、ただただ驚き、まるで奇跡を見ているような感動を覚えたのでした。 そして涙があふれてしまって、どうも冷静には観られませんでした。 2回目の今回は、もうちょっと冷静に、じっくりと観ることができました。 しかし、冷静に観れば見るほど、マイケル・ジャクソンの偉大さが分ってくるのです。 ファンにもスタッフにも、そして自分に対してもまったく微塵の甘えも無い、完璧な仕上がりを求めるマイケルのその姿勢が、まるで求道者のような真摯なまでのその心が、観る者の胸を打つのでした。 表現者はこうであるべき、というその魂のあり方を、マイケルは見せてくれました。 そしてそういうマイケルを身近に見たスタッフやダンサー、歌手、プレイヤー達の魂から、より高いレベルの表現への欲求を引き出し、最高のステージを創り出そうという大きなエネルギーが生まれてくる・・・、その現場を私達は追体験させてもらったのです。 少しでも創作の世界に身を置いている方なら、必ず得るものがあると思います。 映画でのインタビューで、キーボードプレイヤーのモー・プレジャーさんがこのように話していました。 「僕はこれまでたくさんの一流の人達と一緒にやってきたが、これが頂点だ!」 彼のような一流プレイヤーをして、そのように言わしめるマイケル・ジャクソンは、まさにKING OF POPにふさわしい人だといえます。 たら、れば、は言ってはいけない、と分ってはいますが、もしマイケルが生きていて、ロンドンツアーが実現していたなら・・・・・・・・・・と考えずにはいられません。 今回は、本編は泣かずに、冷静な眼で観ることができました。 ・・・・が、エンドロールが流れ始めたら、やっぱり涙が出てきてしまいました。 それはなぜか? それは、この映画のなかには、マイケルの愛があふれていたからです。 マイケルは、このライブをとおして、たくさんの人たちに愛を伝えようとしていたのではないでしょうか? マイケルは生きている間ずっと、たくさんの酷いバッシングを受けて、身も心もボロボロになるまで追い詰められていたと思います。 でも、彼は自分を痛めつけた人々に対して、何の仕返しもしていないし、彼らを非難するようなこともしていない。 歌うことも出来なくなるほど心を破壊した相手に対し、本当なら八つ裂きにしても消えないほどの憎しみを抱いても当然だと思う。 でも、マイケルはきっと、世界を愛することで、憎しみを乗り越えようとしていたんだと思います。 だからいつも、I LOVE YOU と言っていたのかもしれません。 その I LOVE YOU がどれほど深いものなのか、どれほど血の滲むような苦しみの中から生み出された宝石のような輝きだったのか・・・ そんなことを思っていたら、涙があふれてしまったのでした。 最後に・・・・ 精密機械のように繊細で完璧で美しいマイケルのパフォーマンス・・・・ それは、ほんの少しの傷が付いただけで、すべてが狂ってしまうほど、繊細で壊れやすいものでした。 彼が長い間、ステージに立つことができなかったのは、あの事件が原因であることは間違いありません。 でも彼は、すべてを許して、旅立っていったのだと思います。 心より、ご冥福をお祈りします。