カテゴリ:おたべやす 京都 和菓子編
木守というのは、柿などの果樹を、来年の豊作を願って、一個二個お守りとして残しておくことや残された果実のことをいうのだそうだ。 焼き印の具合といい、寒天の赤い果実といい、なんともシンプルだけど、品のある意匠。 これも見ていて飽きないし、ごたごた言葉を並べるのも野暮ったい。 そういえば、利休七種、赤楽に「木守」という銘の茶碗があったなんてこともにもちょっとだけ、思いを馳せるのもいいかも。柿色のような古い赤楽の色あいが響きあって、なんとも。 種は黒漉餡。 薯蕷はしっとり、ふっくら。しっとり感はみずみずしい感じさえする。 同様に、餡もふっくら。 でも、ちょっと驚きなのは、この澄んだ感じ。 薯蕷の上澄み、とでもいうか。薯蕷といえば結構山芋っぽさ、山芋のクセというかコクのようなものが生きているものが多いが、これはそういう山芋っぽさを濾して、上澄みだけをつかってあるような味わい。 やっぱり、思うのは、寒天で感じた、あの、ふっくらとした、やわらかい、澄んだ水。そんな水で煮炊きしたもの、つくったお菓子などを代々にわたって食べていると、こういう味覚が磨かれてくるのだろうかと、そんなことにまで思いが及んでいく。 餡にしても同じ。 不思議な薯蕷。 ただ、べつの見方もある。 一緒に食べた北山時雨とこの木守。こなしと薯蕷なのに、こなし、薯蕷それぞれが持っているそのものといった雰囲気がまるで感じられない。別々の素材をつかった、別々の形をした同じお菓子を食べたような、そんな気になってしまう。 素材をも越えて、それほど、ここのスタイルは一貫しているとも言えるわけだが。 薯蕷を食べた、こなしを食べた、という後味にはほど遠いものがある。 ここの上生を初めて食べたときのあの「水」の印象がとても強かったからかも知れないが。 *** 原材料 小豆 砂糖 米粉 山芋 水飴 寒天 トレハロース 着色料(赤3) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/12/12 10:46:37 PM
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