豪奢なレース飾り シャルツホーフベルガー リースリング・カビネット 2004 エゴン・ミュラー モーゼル・ザール・ルーウァー 2007/4/7
グレープフルーツ果汁のような淡いレモンイエロー。微発泡。 なんとなく生臭みのある生葡萄、そのなかに甘みとスパイスの感じられるアロマ。 スワリングすると、むわっと濃厚になり、トロピカルフルーツっぽいニュアンスも。 風味は、まるみがあり、葡萄を思わせる。 やわらかく、深く、厚みのあるソフトな酸味。スポンジのようなイメージ。この酸味の中に琥珀を連想させる甘みがしみこんでいる。 フィニッシュは複雑で、とくにオレンジ色の柑橘類のニュアンス。 酸味、甘み、その他のエキス分とのバランスがとてもよい。 2004年というファインなモーゼルをストレートに感じさせてくれるよいワイン。 時間が経つにつれて、白檀の香り(2杯目)、動物的な雰囲気や沈香の発酵した樹液のような香り(3杯目)なども加わり複雑なアロマ。 ブーケは、伽羅っぽくなり、カレーのようなスパイシーな香りも見え隠れする。(ワインが回ったままで匂いを嗅ぐと、なぜかお好み焼き((ソースとカツオ))のような匂いも) 風味も、リースリングのエッセンスのように充実し、ムワルー感も。 以前の飲んだ‘98はどことなくこなれない芯があって果肉の周りに希薄なぼやけたような部分があったが、これはかっちり、みっちりとエキス分がつまった肉付きのよい果肉。芯まですべてがこの肉付きのよい果肉。 深遠で、金属的な艶をたたえたバスの響き。だが、重くない。 あるいは、緻密に複雑に編まれた、密度のある、とろんとしたたっぷりのレース飾り。そういうレースの袖飾り。 まだ若かったのでボトル三分の一ほどでやや飽きが来たが、充分に瓶熟したものには期待が膨らむ。(2007/4/17)