和風泡 クレマン・ド・ブルゴーニュ ブラン・ド・ブラン NV ルー・デュモン 2006/10/15(カテゴリはスパークリング)
最近ネットでも評判の作り手(ネゴシアンだが)。なんと、日本人だそうだ。アンリ・ジャイエも賞賛しているとか。そういうわけで興味を持ったが、赤はまだ飲み頃そうなのがなかったので、試しに、このクレマンを購入。 ただ、NVの泡ものはこれを最後にしようか、と思っている。というのも、とくにシャンパーニュのNVものは、はっきり言って、よくない。もともとシャンパーニュは割高感がある上に、NVはさらにコストパフォーマンスで劣っている。かつ、言うまでもなく、ブドウの質もよくない。要するに、セカンド・ラベル(しかも、よくない年の)。とくに、最近飲んだペルトワとベルニエの4000円越えNVで、完全に失望した。ペルトワはグラン・クリュだったが、所詮NVとはこんな程度、というのを思い知らされた。というか、NVで、グラン・クリュと表示して良いだけの何かがそこにはあるのか? と聞きたくなるくらいだ。グラン・クリュの畑から収穫したというたったそれだけの事実でそんな表示はして欲しくない、と思ったものだ。4000円を切る価格なのにモエのミレジム・ブラン’96がどれほど素晴らしかったことか。 他にも、ルイ・ロデ、モエ、アヤラ・・・なんかよくなかった。ただ、ポメリーはなんか口にあったけど。 シャンパーニュは、NVよりも、高価なスペシャル・キュヴェよりも、ヴィンテージがもっとも価格とつりあっている、っていうのを読んだことがあるが、まったくその通りだと思う。 さて・・・僕にとって最後の泡ものNVになるだろう、このワイン・・・ まず驚いたのは、泡の勢い。栓を抜くとアフロヘアみたいに盛り上がってきた。べつにビンを振ったわけでもないし、取り寄せてから一ヶ月近く冷蔵庫で寝かせてあったから、物理的・外的要因によるものではないだろう。ここまで勢いのある泡は初めて。おもわず、ぱくっ。・・・・泡が溢れなくなるまで、ぱくっ、ぱくっ・・・・。 泡が落ち着き、グラスにそぐと、滑らかなムースの冠。勢いはあるが、泡は非常にきめ細かい、ということがわかった。シャンパーニュは勢いがあると粗い感じがするものが多かったが、これはその点が少し違っている。 泡の下には淡いレモンイエローの液体。 泡ものの場合は泡のせいなのかあまり匂いが感じられないので、たいていは匂いを嗅ぐ前に、まず、一口。 やわらかく、穏やかで、上品、そんな第一印象だ。 風味は・・・あまり酸っぱくない、優しく熟れた柑橘類。あくまでも淡泊。特徴がないかな、とも思えるほど、自己主張をしない味。 ただ、余韻は結構濃厚だった。バターというよりバター・スカッチのようなコクや甘み。 美味しい。 というか、日本人の味覚に媚びてくる。が、いやらしくない。 というか、日本的な味覚に従って素直につくられた(ブレンドされた)ら、こんなふうになるのかな、という佇まい。ミネラルっぽさっていうのがそれほどじゃなくて、軟水っぽい感じがして、抵抗感もよりすくない。 三日目になって泡がほとんど抜けきると、ますます、瓶熟したシャルドネというよりは日本酒を連想させるやわらかさ。 メルシャンの甲州をちょっと思い出したが、それに比べればやっぱりブルゴーニュ。メルシャンの甲州は水が豊かで湿潤な日本の気候そのものを瓶詰めしたようなワインだったが、これは、やわらかいとはいってもやはり硬水、石灰の、しかも乾燥している、そんな土壌を思わせる。その土壌に移植され見事に咲いた、一輪の和の泡花。 赤が愉しみ。(2006/10/20) 追記 これで1880円なら、NVでも見直す余地ありかも。もっとも、シャンパーニュのNVだけはやっぱり飲むことはないだろうけど。 メルシャン 甲州 小樽仕込み(白)