ネロブファレッフィ 2003 グルフィ シシリー 2008/3/1
ネロ・ダーヴォラというシシリー土着の品種100%。 ネロブファレッフィは、畑の名。 H.ジョンソンの今年のおすすめイタリアワインの一本。 また、グルフィのHPによれば、ネロブファレッフィは、5~6年ものが飲み頃だそうだ。ということは、この2003はまさに飲み頃そのもの。 そういうわけで、期待も膨らむ。 栓を抜いたとたん、ジャスミンかなにかの白い花のようなとても素敵な香り。 グラスに移して、トリップ♪ これだけで満足って感じで。 それに、この香りをかいでいると、シシリーの花畑が浮かんでくる。 そう、ヴィスコンティの『山猫』のあの風景。 サリーナ公爵の別荘地、ドンナフガータの・・・。 ことに、公爵とドン・チッチョがウサギ狩りをしていたあの斜面。 うん、映画では枯れ野だったけど、そこに咲き乱れる花があるとしたら・・・こんな香だろうか、っていうブーケ。 風味も、この白い花の香りを液体にしたような。それでいて、複雑で豊か。とろりとして濃厚、口いっぱいにこの白い花の香りがあふれてくる。余韻も、この白い花の香り。 シシリーとはかくありき、みたいなワイン。 シシリーの歴史とは、都市の歴史というより、自然のなかで営まれてきた人々の生活そのものであり、その歴史や歳月を体現しているような、素晴らしいワイン。 同じイタリアでも、北部のピエモンテなどのは、都市の歴史・文化、その中で培われてきた都会的な古き良き都のエレガンスやセンスなどを感じ、また、ボルドーには、つねに輸出品として海外のブルジョワ好みのエレンガンスやセンスを、ブルゴーニュはフランス貴族のじつは以前はあまり洗練されていなかったセンスの名残を感じるが、それらとはまったく違っている。 ひさびさ、素晴らしいワインに巡り会った気分^^ で・・・思わず、ひさびさ『山猫』を見てしまった。 タンクレディが爽やか、すっきりのアラン・ドロンというのははまり役のような。これが、倒錯的、神経質、どろどろチックのヘルムト・バーガーだったら・・・ヤバい・・・。 でも、ルートヴィヒやマルティン・フォン・アッシェンバックがドロンだったら、噴飯もの。 能でいえば、サリーナ公爵は、いわばもの狂えない、たとえば、『半蔀』(この前見たので)の夕顔だ。いやいや、公爵よりも公爵の娘、コンチェッタは、ほんとに、夕顔のようになってしまうのでは? 『ベニスに死す』の老アッシェンッバッハは、これはもう、いうまでもなく、もの狂い。ほんとうに狂ってしまわないために、もの狂いになる。 もの狂いになれずに、ほんとに狂ってしまったのが、ルートヴィヒだ。