魅せた!ジャパン 対クラシック・オールブラックス戦
眩いばかりのライトに浮かび上がった神戸ユニバー。ふと1987年国立競技場でのオールブラックス戦の記憶が蘇った。それは黒衣軍団の猛威であり、世界の頂点に立つ者との差。強烈に刻み込まれた脳裏の映像である。それは開始2分マーシャルのトライで、記憶から予感へと変わった。攻め込むCAB、守るジャパン。息詰まる攻防だが、ジャパン渾身のタックルが彼らを阻んだ。そして9分にはラインアウトからチャンスをつくりジャパン逆襲。ラックから "決めた!"平林レフリーの笛と、直後の歓声が夜空に響き渡った。ゴールも決まり7-7。ジャパンが勝負強さを見せたシーンだった。まるで呪縛から解けたような......、そんな言い方がしたくなる瞬間でもあった。その後、この日最大、最高に湧いた時を迎えた。ウイング遠藤の"ダイナマイトラン!"である。(誠に勝ってながら私はいつもそう呼んでいます。)自陣から蹴った大西のパントも絶妙だったが、走りこんだ遠藤対スペンサーの攻防は圧巻だった。コースはスペンサーが押さえていた。が、遠藤はハンドオフとスピードで振り切った。もう一度書きたい。「振り切った!」観客数は10,150人だそうだが、10万ほどの歓声に私は聞こえた。私のつまらん予感などは、木っ端微塵に吹き飛んでしまった。SOアレジの負傷退場の暗雲もあったが、この日のジャパンは攻守に生まれ変わったことを証明して見せた一戦となった。結果は、ジャパン26-35クラシック・オールブラックス。「善戦」 ジャパンの試合にはつきものの二文字だが、今までとは少々違うニュアンスをこめたい。発展途上のカーワンジャパンにとって、この試合は大きなステップになったに違いない。低く、早く、激しく。ジャパンのこの姿勢は、タックルに象徴されていた。この日湧いたシーンには事欠かない。書ききれないが、あとひとつ。ロスタイムに見せたこの日のキャプテン大野のど根性トライ!だ。「やられたまま終われるか」 そんな叫びが聞こえてきそうなトライだった。圧巻!お見事 大野!このシーンに胸がすく思いをした方は多かろうと思う。勝利は逸したが、確かな手ごたえを見せたジャパンだった。さて、クラシック・オールブラックス急造チームの彼らだが、第2戦にはさらなる猛威を見せることだろう。ぜひとも「善戦」の呪縛から解かれたいと願っている。追伸ラインアウトが...、 スクラムが...、 パスが...、ご覧になられた方、人それぞれあるとは思います。が、それはそれ。私は気持ちよく拍手を贈りたいと思います。最後に、アレジ選手の一日も早い回復を祈っております。 いつもありがとうございます。