| 力士にサインをもらうなら今だ-。 これも朝青龍の引退効果の1つに違いない。 希代のトラブル横綱がいなくなった穴は愛嬌と晴れ姿でカバーとばかり、今場所から白鵬をはじめ、力士たちは観客でごった返す正面入り口から堂々と場所入りすることを義務付けられている。 春場所の場合、昨年まで横綱大関は、今年から高砂親方が管理する会場裏の非常口に車を乗り付け、誰の目にも触れずに場所入りしていた。 これではファンはいつ、目当ての力士が場所入りしたかわからず、場所の盛り上がりにも欠ける。 このため、混乱は承知の上で、正面入り口から入場するように決めたもの。 この先頭に立ってファンサービスに努めているのが全勝中の白鵬だ。 これには理由がある。 初日前日の触れ太鼓の朝、白鵬は後援者やファンが大勢、けいこ場に押し掛けていたにもかかわらず、朝げいこをサボり、姿すら見せなかった。 これに怒った育ての親の熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)は「先場所までと違って横綱は1人。2人と1人では周囲の見る目が違ってくる。これまでは批判されなかったことも批判されるようになるんだから、もっと考えて行動しないと。毎朝、体が動く限り、けいこ場に下りてこい」と激怒。 武蔵川理事長も「怒る人がいるってことはありがたいことなんだよ」とこの熊ケ谷親方の異例のカミナリを支持した。 この裏に、怒る人がいなくなって暴走し、自分のクビを締めた朝青龍のことがあるのはいうまでもない。 熊ケ谷親方は、この優勝12回の横綱を叱り飛ばしたことについて、「オレは白鵬から何ひとつ、もらっていない。だから、なんでも思い切って言えるんだ。これからも気がついたことはドシドシ言う。それが本人のためなんだから」と明言しているが、これに素直に耳を傾けた白鵬も偉い。 翌日から朝げいこに出て来るだけでなく、サインの求めにも気軽に応じるなど、ファンサービスにも積極的に励むようになったのだ。 横綱がやれば、当然、大関以下も見習うようになる。 週明けの9日目には朝青龍が相撲見物にやってくるという話もある。 事実なら、力士たちのあまりの愛想の良さに驚くに違いない。 |