火の鳥



              「 火の鳥 」





手塚治虫の「火の鳥」をご存知でしょうか?


彼のライフワークとなった作品です。未完に終わってしまい
ましたが、彼の最高傑作だと思います。


それがアニメ化され4月4日(日)からNHKで放送されます。


http://www3.nhk.or.jp/anime/hinotori/





私は初めて「火の鳥」を読んだとき、マンガでここまでの
真理を表現した人がいたんだと、身震いするほど感動した
のを、今でも鮮明に覚えています。




「火の鳥」は生命の尊さを表現した作品です。




未来・過去へと交互に行き来しながら、人間の愚かさ・人間の
生きる力の素晴らしさを描きます。




過去では大和・奈良・平安時代などの権力者の愚かさとそれに
翻弄される人々が描かれます。


いかに人々が戦争や権力争いを繰り返して、命を粗末にして
きたかに気付かされます。そして、時代に巻き込まれていく
主人公たちの悲しい結末に胸が切なくなります。




未来では彼の先見の明に驚かされます。クローン技術の問題・
宇宙へ渡っていく人々・ロボットと人の関係・核戦争とこれから
私たちが直面するであろう問題を見事に描いています。




過去から未来に渡って多くの人々が永遠の命を求めて
火の鳥の生き血を手に入れようとします。永遠の命を得るのは
いつの時代でも人間の願いだったのかもしれません。



私も永遠の命があればどんなにいいだろうかと子供の頃、
よく思いました。でも、「火の鳥」の未来編を読んでそんな
考えは吹き飛びました。




未来編では永遠の命を与えられる主人公が出てきます。彼は
人類が核戦争で滅んだあともたった一人で新しい生命が生まれる
まで見守り続けなければならない使命を与えられます。


そして、彼は自分で生命を作り出そうと研究します。しかし、
何度やっても生命を作り出すことに失敗します。ある時彼は
気付きます。その使命とは本当は生命の進化の過程を何億年も
待って見守りつづけるしかないことに!!




これを見て永遠の命を手に入れてしまうことはなんて
恐ろしいことなんだろうと思ったものです。死があることは
むしろ「救い」なんだということに気付かされました。



死があることによって私たちは今を大切にし、精一杯生きること
ができる。死を意識することによって生を燃やすことができる。
こう思いました。




そして、死は終わりではなく、私たち・すべての存在は永遠の
命を持つ魂で何度も生まれ変わりながら成長をしているのでは
ないか?ということも作品から読み解くことができます。




手塚治虫の火の鳥、本当に素晴らしい作品です。
興味のある方はぜひおすすめします。






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