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日英行政官日記 (旧 英国日記帳)

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Jan 26, 2008
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勉強会「政策懇談会」(Policy Exchange)を開催。

本日は、政策研究大学院大学准教授(日本政治)の竹中治堅さんから、「福田康夫内閣と参議院」というテーマでプレゼンテーションをいただきました。

プレゼンテーションの要旨(文責 高田)
1 福田康夫内閣の発足
・福田総裁:伝統的自民党に合致。多くの人の話を聞きながら協調的な意思決定を行うタイプ。
・小選挙区制の下、世論から支持を得られることが総裁の必須条件となったが、現在の自民党でその条件を一応満たす数少ない政治家の一人として総裁に選出。
・安倍内閣以降の改革の停滞、「古い自民党」への回帰は続いている。(例えば、道路特定財源の一般財源化が進んでいないことや、高齢者医療費負担増大の凍結等。)
・ 「格差」が参院選の敗因であったとの認識から、格差是正に取り組むスタンスを見せているが、果たして参院選の敗因は本当に格差だったのか。(年金問題や閣僚不祥事の影響の方が大きかったのではないか。)また、自民党が重視するのは地域格差であって、正規社員と非正規社員の格差といった問題への取組みは弱い。これは、自民党の当選5回以上の議員の7割以上が地方選出であるといった背景がある。世論は依然として改革を支持しているとみられる。
・福田首相と小沢党首の間で大連立騒動があった。大連立は小選挙区制では成り立たず、中選挙区制へ戻るきっかけとなりうる。自民党には中選挙区制に戻りたがっている議員が多く、「古い自民党」への回帰は政策論から制度論へと波及している。

2 参議院
・2008年1月11日、新テロ特措法について、五十数年ぶりに参議院否決後の衆議院による再可決が行われた。
・憲法上、首相指名や予算については衆議院の参議院に対する優越が定められているが、法律案については衆議院で三分の二による再議決をした場合のみ優越する。
・三分の二議決は、三分の二の議員数を確保することがそもそも難しいこと、に加え、いわゆる60日ルール(衆議院から送られた法律案を参議院が否決も修正もしない場合、60日経過して参議院が否決したものとみなすまで、衆議院で再議決できない。)のために、使いにくい制度となっており、法律案については参議院が実質的に衆議院と同等の権限を持っている。
・また、参議院は衆議院と異なり、解散によってけん制することができず、高い独立性を有している。
・現在は与党が衆議院で三分の二の議席を有しているが、再議決の発動には慎重であるべきとする論者も多い。だが、これまでは与党が巧みに参議院での勢力を確保してきたために表面化しなかったものの、憲法が二院制をとり参議院に法律案に関して衆議院と同等の権限を与えている以上、衆参の不一致という事態は想定される。三分の二による再議決はそのような場合の解決法として憲法が用意しているものであり、使うべきときには使うべき。
・民主党は、与党が三分の二再議決を濫用するようであれば、参議院における問責決議案によって内閣を解散に追い込むとしている。しかし、この議論は奇妙。そもそも参議院における「問責決議案」なるものは憲法上も法律上も根拠がない。衆議院において内閣不信任案が可決された場合、内閣は総辞職に追い込まれるが、他方で内閣総理大臣は衆議院を解散することができる。このように、立法府と行政府が互いに相手をやめさせることができるのが議院内閣制の特徴であるが、実はこのような意味での議院内閣制は日本では衆議院にしか当てはまらず、参議院ではこの関係は成り立たない。行政府は参議院に対して解散権を有しておらず、参議院が行政府をやめさせる権限も無い。
・もっとも、かつて額賀防衛庁長官が参議院の問責決議案の後辞任した例があり、政治的な意味合いはある。
・結局、以上のような制度的・政治的な制約から、衆議院の再議決は使いにくく、現在のような「ねじれ国会」においては国政が停滞する危険をはらんでいる。

3 今後の政治動向
・福田内閣の支持率は低迷しており、2008年1月時点で支持34%、不支持45%。総選挙をするには40%、50%程度は必要。
・難しい政策課題を抱えている。年金5000万件問題は解決困難。
・租税特別措置法(ガソリン税)問題が通常国会の課題となっている。3月末までに法案が可決しないと道路特定財源の暫定税率が失効してしまう。しかし、1月中の衆議院通過を断念するとしている以上、3月中に参議院のみなし否決を適用することは不可能。
・他方、民主党にも「道路族」がおり、何名かの議員の造反も取りざたされている。野党の切り崩しは自民党のお家芸であり、激しく工作を仕掛けていくものと予想される。
・大きな懸念は、こうした政治状況による先行きの不透明感が株価の下落に拍車をかけていること。「参院相場」とも呼ばれる状況となっている。
・今後の中期的な展望として、福田首相が何をしたいのかがはっきりと見えない。福田氏は首相になる用意なくして就任しており、小泉首相の郵政民営化や、安倍首相の憲法改正のように、首相になったらこれをやる、というものが無い。
・大連立の可能性はあるか? 大連立は、民主党の分断につながる可能性が高く、自民党にとって有利な話。小沢氏は何を考えているのか不明。
・総選挙はできるのか? 今後支持率がどう推移するか。年金問題は常に立ちはだかっており、今後も次々と問題が明るみにでていく可能性がある。
・果たして、夏のサミットの後に解散はあるのか。福田首相の現実的な戦略として考えられるのは、一度辞任してからもう一度総裁選を行い、支持率を上げたところで解散するということではないか。

ディスカッションの主な内容
・総選挙を行えば、仮に自民党が勝ったとしても、衆議院の三分の二という、参院優位に対する切り札は失われることとなる。自民党としては、できる限り解散を先延ばしするべきではないか。
・自民党としては、解散を先延ばしし、その間に民主党の分断を図り、大連立ならぬ「中連立」を狙うことが得策。
・道路特定財源については、民主党は反対をすることはできるが、対案を提出できるほど党内や野党間での結束は無い。(自民党が一月中の強行採決をしないことにより)投げられたボールは案外扱いに苦慮するのではないか。
・他方、自民党も、暫定税率が失効しガソリンの価格が下がった後に再び上げるということはダメージが大きい。
・解決策として、暫定税率を一時的に延長する「つなぎ法案」を一月中に成立させるという案も語られているが、これはこうした事態に対する憲法上の不備を補う方策として、今後定着してもよいのではないか。
・「つなぎ法案」を一月中に強行採決することは、租税特別措置法本体を一月中に強行採決するのと本質的には変わらないのではないか。
・自民党は、小泉氏の後、「キャラが立つ」党首候補がいない。小泉氏が優れていたのは、「ワンフレーズ政治」ともいわれたような分りやすさだった。
・参議院における民主党優位は、このままいけば少なくとも今後6年間続くが、日本にとって正念場ともいえるこれからの数年間に国政が停滞することは許されない。どうすべきなのか。
・大連立はひとつの道であるが、小選挙区制の下で大連立はとりにくい。中選挙区制への回帰を望んでいる政治家は多いと思われるが、中選挙区制は政策本位の選挙を困難とする、奇妙な制度である。
・小選挙区制は日本の社会構造・慣習にフィットしにくいということはあるか。
・小選挙区制が日本の社会にフィットしにくいということはないのではないか。中選挙区制は55年体制という特殊な体制の産物であったともいえる。終身雇用制を中心とした日本の社会構造も、戦後特有のものである。
・現在、与野党間で妥協に向けた動きが出てこないのは、真に危機感を抱いていないからではないか。98年の金融危機の時には、自民党が民主党案を丸呑みする形で金融再生法案をまとめた。現在の状況は結局、そこまでのパニックではないということではないか。
・小選挙区制も導入されてから十年強が経過したに過ぎない。それまで五十年にも渡って各種の資源を独占してきた自民党がそう簡単に政権を譲ることとならないのは当然で、真に政権交代可能性が現実のものとなるか、小選挙区制の意義はこれから試されるのではないか。





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Last updated  Jan 30, 2008 10:48:05 PM
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