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日英行政官日記 (旧 英国日記帳)

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Jun 14, 2009
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カテゴリ:カテゴリ未分類
私的に主宰する勉強会「政策懇談会」を開催。
今回は、文部科学省より日本学術振興会に出向中のMさんから科学技術政策についてプレゼンをいただき、ディスカッションいたしました。


プレゼン概要

科学技術・学術政策概史
・1950年代:GHQによる原子力・航空宇宙研究の禁止が解除
 科学技術行政組織の整備
科学技術庁より先に、科学者の自立的機関である日本学術会議発足
  大学は文部省所管であり、科学技術庁の所掌から大学における研究は除かれる
・1960年代:国民所得倍増計画を支えるため、キャッチアップ型の技術開発
 宇宙開発の本格化、原子力発電の開始
・1970年代:公害・環境問題、原子力事故等、科学技術の負の側面も顕在化
 石油危機後、省エネ技術開発が進む
・1980年代:世界における科学技術のフロントランナーに躍進
バブル経済・・・理系の製造業離れ始まる
国際貢献の重視
・1990年代:バブル崩壊、経済低迷の活性剤としての科学技術の推進、旧体制の改革
 科学技術基本法、科学技術基本計画の策定、科学技術予算の増加
ポスドク1万人支援計画
 ビッグ・サイエンスからライフ、ナノ、ITといった分野へのシフト
・2000年代:科学技術の戦略的重点化、安全・安心といった新たな価値
 研究機関、国立大学の法人化、競争的環境の醸成

科学技術政策の現状
・科学技術関係予算は21年度で総額約3.5兆円
・近年、ほぼ横ばいになっているが、戦略重点科学技術等に重点化
・科学技術政策の決定プロセス:内閣総理大臣の諮問機関である総合科学技術会議が、科学技術担当大臣の下、基本方針を決定。これを受けて、文部科学省が他の各省と共に具体的な政策を推進。
・文部科学省においては、いわゆる研究3局及び高等教育局が科学技術・学術政策を担当。旧文部省と科学技術庁の統合の効果として、戦後長く科学技術庁が踏み込めなかった大学での学術研究と、科学技術政策が融合。また、小・中・高の段階からの理科教育の推進が図られている。
・日本学術振興会(JSPS):昭和7年、昭和天皇の御下賜金を基金として創設。平成15年、独立行政法人化。発足以来、「科学研究費補助金」等の研究資金の配分機関として、研究者の自由な発想に基づく多様な分野の学術研究を支援。JSPSは旧文部省系の機関であるが、これに対し、旧科学技術庁系の機関である科学技術振興機構(JST)は、主に、国の政策に基づくトップダウン型の研究支援を実施。
・科学技術政策決定過程には、その他、政党、国会議員(議員連盟)、地方公共団体(原発立地県等)、民間団体(経団連等)といったアクターが関与。
・科学技術予算については、毎年の予算編成過程の中で、財務省との折衝を経て決定。
・科学技術基本計画は、現在、平成18~22年度の第3期計画が進行中。第3期計画の特徴は、分野別推進戦略の策定と戦略重点科学技術の推進。特に、宇宙輸送システム、次世代スーパーコンピュータ等の「国家基幹技術」に集中的に投資。
・近年、科学技術・学術を我が国のソフトパワー資源として活用する「科学技術外交」という考え方が打ち出されている。我が国の科学技術により、地球規模の諸課題に対し貢献するとともに、海外との協力による我が国の科学技術力向上を図る。また、資源に乏しい我が国の国際競争力向上、国際社会におけるリーダーシップ発揮に役立てる。
・日本と諸外国の研究者交流については、人数的には、海外への派遣研究者が受入研究者を大きく上回っている状況。受入研究者はアジア出身が大半であるが、派遣先は、欧米が中心。

今後の課題
・国の財政再建の中で、予算の全体額を確保する必要。
・将来像をどのように予測し、投資を行えばよいか。国家主導による研究開発に加え、イノベーションが必要であるが、イノベーションとは本来的に予測しがたいもの。
・研究者にとって使いやすい研究資金制度。
・官民の役割分担。例えば原子力については、民間の負担も必要。
・理科離れ、人材の確保、若手研究者の内向き化。若手が海外に出なくなってきている。
・研究者のキャリアパス。若手研究者を育成するため、大学院生の人数を増やすとともに、若手向けの研究資金を増やしてきたが、他方で大学のポストは減っており、ドクターを取っても就職できない「ポスドク問題」が生じている。
・国民の科学リテラシーの向上・・・応援団を増やす。

ディスカッションの概要
・「ポスドク1万人計画」は正しかったのか。大学と産業界の人材のミスマッチにどう対処すべきか。
・国際比較をすると、日本の研究者数は必ずしも多いわけではない。日本がこれから何で食っていくかを考えれば、研究人材は増やすことが必要。しかし、大学は運営費交付金、人件費を減らされ、人を雇えなくなっている。大学と産業界の間では、人材について求める能力の認識に大きなギャップがあることが分かってきた。インターン等、連携の強化が必要。
・国としては、大学の数を減らしたいのか? 大学の数を減らすことと、ポストを増やすことは逆行していないか。
・日本は成長、人口のピークを過ぎているのであり、大学を減らすことは仕方ないのではないか。他の分野に人材を回すべきではないか。
・「博士」ではなく、Ph.Dを養成しなければならない。例えば、英語が堪能である等のスキルがあれば、産業界でも活躍できるはず。
・日本の製造業を支えてきた人材はエンジニアであり、基礎研究だけではなく、エンジニア教育にもっと注力すべき。
・エンジニアが社会に役立つ成果を上げるためには、基礎研究の土台がなければならない。日本では技術偏重の傾向がある。「科学技術」という言葉にあらわされるように、日本では科学と技術を不可分のものとしているが、本来、scienceはより広い概念である。これは、日本において「大学」文化の歴史が浅いためであると考える。
・産学連携が盛んに進められているが、この傾向は、社会、産業にすぐに役立つものを安直に求めることにつながらないか。思いもかけない「ひらめき」こそが科学には重要なのではないか。
・メーカーの目から見ると、工学系の学生のレベルが顕著に下がっている。
・大学の卒業者数は増えているが、基本的な知識のない者が多いことが指摘される。小学校や中学校で、きちんとした学力を身につけないまま大学に入り、卒業する人が増えているのではないか。
・人材養成の場を大学に限る必要はないのではないか。大学ではポストも限られている。企業のOJTを活用する手もあるのではないか。
・基礎研究はやはり、企業ではなく大学で担わなければならない。
・日本には基礎研究にも優れた力がある。しかし、基礎研究から応用研究への「橋渡し」がうまくない。
・大学内でも「橋渡し」がうまくいっていない。理学部と工学部は十分連携していない。
・文系の人の理科的能力を伸ばすこと、そしてそれを理解しようとするマインド・セットを育む努力が必要。
・文系の人の理科の知識が少なくなっている背景には、受験の影響がある。生徒が受験しやすいよう、入試科目を文系科目に限る大学が多い。
・理系の製造業離れは本当に深刻なのか?
・バブル期には顕著であったが、今はそれほどでもない。
・ポスドク問題は、博士号を持った人材が社会にどの程度必要なのかという問題に帰着するのではないか。研究人材の裾野を広げるためには、ドクターを増やすことが必要であることは確かだが、すべてのドクターが大学の研究者になる必要はない。企業等、社会の各所で活躍すればよいのだが、日本ではそのような状況になっていない。そもそも、米国型の雇用慣行、ライフ・サイクルと異なっていることが問題の根底にあるのではないか。
・ITが普及すると、高年齢の職員より、むしろ若者の方が生産性は高くなるということがあるが、日本のような年功意識の強い社会では、企業の経営者は処遇に悩むことになる。
・米国ではやはり個人主義が強いのに対し、日本では研究者も徒弟制のようなところがある。徒弟制の下で、長年こつこつやっていればいずれポストがもらえるという期待があったが、それはもはやフィクションとなっている。研究者にも競争的環境を導入することが必要ではないか。
・競争的環境も大事だが、落ち着いて研究できる環境も必要である。何の役に立つのかわからない研究も学問の発展のためには必要であり、その中から、ノーベル賞を取るような発見が生じることもある。
・大学は運営費交付金を減らされ、まず真っ先に、研究助手、スタッフを削減する。それにより、研究者が研究に専念できない環境になってしまっている。






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Last updated  Jun 18, 2009 12:57:56 AM
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