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日英行政官日記 (旧 英国日記帳)

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Nov 27, 2011
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私的に主宰する勉強会「政策懇談会」を開催。今回は、環境エネルギー政策研究所の田中信一郎氏から、再生可能エネルギー政策についてプレゼンをいただき、ディスカッションいたしました。

<プレゼン概要>(文責 高田)
・現在、発電電力量に占める原子力の割合は約3割。ただし、設備容量はあっても稼働率の低い電源(例えば揚水発電)もあり、原子力が無くなるとまるまる3割電力が無くなるというわけではない。
・日本ではこれまで、電力需要の増加に対して供給増で対応してきており、需要を抑える仕組みがなかった。電力不足に対しては、需給調整契約の活用や、市場メカニズムの活用により、需要家の自主的な取組によりピーク時の需要を抑制することがポイント。
・東電はオール電化住宅の普及を推進してきた。これは、電力需要を高止まりさせるとともに、ガス会社などから顧客誘引することを狙ったものだが、これが約200万kw(原発2基分)の消費増を招いた可能性があり、電力不足に拍車をかけることとなった。
・今後、原発を再稼働させたとしても、新規増設をせず、40年経過で廃炉させていくとすれば、原発設備容量は右肩下がりで減少していく。特に、福島第一のほか、女川、福島第二、浜岡を直ちに廃炉にするとすれば、既に2割以上設備容量は低下している。こうした現実を直視してエネルギー政策を考える必要がある。
・化石燃料価格の高騰により、日本の化石燃料の輸入額及びその対GDP比は近年急速に増加している。震災以前から、エネルギー政策をどうするかは問われていた。
・東電は、実質債務超過に陥っている。現在の賠償スキームは、国民負担を前提に東電をそのまま存続させる姿となっているが、本来、資本主義の論理に則った対応がなされるべき。
・世界のエネルギー動向を見れば、原子力は減少傾向にあり、風力や太陽光といった自然エネルギーは加速度的に拡大している。
・今後、先進国では原発建設がほとんど行われず、原発は新興国で増えていく。日本がそうした国に原発を輸出する場合、競争相手はロシア、韓国、中国といった国々だが、これがビジネスとして果たして魅力的か。
・日本の自然エネルギー市場はこれまで、電力会社の独占、縦割り・硬直規制、社会合意不在、貧しい支援政策といった「四面楚歌」に直面していた。
・3.11以後のエネルギーシフトに向け、戦略的措置が必要となる。事故処理については、誰かが責任をもって統括できる体制を構築することが必要。モニタリング拡充のため、現在は事故処理に携わっていない、原子力研究開発機構(文科省所管の独法)のエンジニアを活用すべき。安全規制体制を刷新する必要。原子力安全委のメンバー、特に委員長は、決定的な失敗を犯した以上直ちに交代させるべきであり、それなくして新しい安全基準は作れない。
・再生可能エネルギー促進法が成立し、固定価格買取制度が導入されるが、これを地域活性化につなげるためには、担い手となる事業者や金融機関を発掘することが必要。建設業者や農業者が、兼業で売電を行うことも考えられる。
・ドーヴィル・サミットで菅総理は2020年代の早いうちに発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合が2割を超すことを目指すことを表明したが、現在の経産省案の固定価格買取制度を導入した「政策強化」シナリオでも、再生可能エネルギー(大規模水力を含む)割合は2020年に13.4%、2030年に17.6%と試算され、ドーヴィルの目標に届かない。しかし、コストベースの固定価格買取制度等、世界最高水準の政策を導入する「政策総動員」シナリオでは、2020年に24.9%、2030年に40.3%と試算される。これを踏まえれば、2020年に2割、2030年に3割という目標は、野心的だが実現不可能ではない、妥当なものといえる。
・固定価格買取制度導入は今後、電力料金上昇の要因となるが、主たる価格押し上げ要因は化石燃料の高騰であり、それに比べれば相対的に小さい。また、再エネ普及は、化石燃料、原子力等の費用減効果も期待できる。
・省エネルギーについて、現行の省エネ政策を強化した「政策強化」シナリオでは、2020年に15%、2030年に24%の削減が試算され、市場メカニズムに基づく政策を導入した「政策総動員」シナリオでは、2020年に22%、2030年に36%の削減が試算される。
・自然エネルギーの7大効果として、エネルギー安全保障の強化、海外資金流出の抑制、地域経済の活性化、国内投資・雇用の増大、国際自然エネ市場のシェア奪回、社会リスクの減少(原発への依存低下)、温室効果ガスの削減が見込まれる。省エネルギーについても類似の効果が見込まれる。
・自然エネルギー電力と熱の拡大による経済効果として、2020年までの累積で需要増18.1兆円、雇用増88万人が見込まれ、エネルギー消費削減による経済効果として、需要増13兆円、雇用増55万人が見込まれる。自動車製造業・部品製造業の従業者数87万人、東北6県の製造業従業者数66万人と比べても、大きな効果。
・地方には、自然エネルギーの高い供給力があるが、エネルギー需要は低く、「地産地消」ではポテンシャルは限定的。地方で生産した自然エネルギーを、需要の高い大都市圏で消費し、代金は地方へ行くという「地産都消」を目指すべき。このためには、送電網の一体運用が必要となる。
・エコタウンの先進例として、ストックホルムのハンマビーショースタッド地区がある。SWECOという会社が企画しており、単に環境にやさしいだけではなく、「住みやすさ」や「イノベーション」等をコンセプトにしている。そして、こうしたコンセプトを、中国の天津等に輸出している。スウェーデンでは、製造業等の産業流出は避けられないことから、イノベーションで活力を維持していく方向に舵を切っている。日本も今後、「アップル」のようにイノベーションで生きていく国となるべき。

<ディスカッションの概要>
・再生可能エネルギーの議論は、菅政権の頃には盛り上がったが、最近ではTPP等に世間の関心が移り、やや低調になっていないか。
・新聞等の報道は以前より減ったが、再エネについてのウォッチャーのボリュームは増えた。伏流水のように関心は大きくなっており、小さくはならない。
・長野県で再エネ普及を図るにあたって、現場で感じる課題は何か。
・長野と東京の間は新幹線で90分の距離だが、それ以上に「精神的な距離」を感じる。ソーシャルメディアを含め、メディアの報道量も大きく違う。これまで、再エネは、補助金をもらってやるものであり、補助金がなければ自腹を切るだけで、「事業」として認識されていなかった。金融機関や、市町村の担当者といった、担い手となるべき人々の間ですら、再エネ法の趣旨など、基本的な情報が十分に伝わっていない。まずはしっかり情報を伝える努力をすべき。
・原子力安全委員会委員長の責任の話があったが、やめるのは一定のメドを付けてから、という考え方もあるのではないか。
・責任の取り方はケースバイケースだが、多少の失敗ならともかく、決定的な失敗を犯した場合は、すぐにやめるべきではないか。
・安倍元首相が最近、「危機管理」を憲法に書くべきと言っていたが、危機管理を法制上どう位置付けるべきか。
・危機管理のボトルネックがどこにあるのかを見極めるべき。憲法や法律以前に、災害等に対したときの組織の動き方にボトルネックがあるのではないか。
・日本は「アップル」になるべきとの話があったが、それは日本が苦手とするところなのではないか。どういう過程を踏めばそこに行けるか。
・コンセプトを創る側に回る、ということだが、そのためのディスカッションをするトレーニングの場がないという、文化的な問題がある。地域においても、地域の問題を考えていくための知的基盤が整っていないと感じる。
・再エネの目的は、地域の産業を興すツールであることをもっと説明すべき。
・まさにそうした説明をしているが、地域でそれを受け止めて考えていく基盤がまだ整っていない。
・送電網の一体化のための電力会社の連携はどのように実現するのか。
・発送電分離も視野に、政府で主導していくしかない。再エネの割合は今は1~2%に過ぎず、多少増えても系統が不安定になるものではない。
・「地産都消」というが、原発こそ、その構図であり、それに対するアンチテーゼとして「地産地消」が言われているのではないか。
・原発は、地方に立地しているが、所有しているのは大手電力会社。そうではなく、地方が自ら設備を持ち、エネルギーを生産するのが「地産」。
・「地産」の観点からは、電気を熱と一緒に考え、コジェネを進めるべき。長野は、地熱、バイオマス等、熱資源が多い。
・まずは固定価格買取制度の導入が先決だが、コジェネはその次の課題。太陽熱は温水、地中熱は空調など、その親和性に応じて組み合わせていくべき。バイオマス資源は豊富だが、今のところ熱の需要がなく、どうマッチングさせるかが課題。
・孫正義が自治体首長を巻き込んで自然エネルギー協議会を立ち上げたが、最近トーンが落ちてきているのではないか。
・協議会は、有志による政策提言の場であり、これはこれで着実に進めていく。
・原発立地地の住民はこれまで原発差し止め訴訟を起こしてきたが、認められてこなかった。司法の判断は変わるか。
・本来、この問題は議会の仕事。議会は、議論を一定の方向に収れんさせていくべきであり、ある程度世論と比例的であるべき。
・電気は、それほど質の高いものでなくてもよい部分について、再生可能エネルギーで賄うことは考えられないか。
・これまでやってきた再生可能エネルギーの使い方が、まさにそういうものだったが、電力は本来、地域で完結しない。利用者が電気を選べるようにすることが重要。
・原発をめぐる議論にはギャップも感じる。海外の専門家には、日本が脱原発をすると化石燃料価格があがるので、やめてほしいという人もいる。原発の新規建設を行わないというのは現実的なのか。新しい、安全性の高い原発につくりかえていくべき。古いものを最後まで使うのが一番危険。しかし、こうした原発に肯定的な議論ができない、相容れない雰囲気になっている。
・新しい安全性の高い原発はコストも高い。議論が相容れない雰囲気ではない。むしろ、立場が違う人達が議論できる環境が整いつつある。
・スペインやドイツでは風力が主流。日本で太陽光ばかり優遇するのはなぜか。
・太陽光は、増えてもインパクトが小さいので、電力業界があえて受け入れたという見方もある。風力は大容量であり、これによる電力が入ってくると調整が難しくなるとの懸念があったのではないか。
・電力の需要予測の見直しが必要ではないか。例えばLED電球が普及すると、電力需要が減ることも考えられる。
・電力需要の見通しは、これまで経済の見通しとイコールに扱われてきた。しかし、省エネ等の要素を織り込んでいくべき。
・国民投票、住民投票をどう考えるか。
・本来、議会がしっかり議論すべき。議会での議論は、透明性が高い。議論して決着がつかない部分を、住民投票にかけていくということは考えられる。





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Last updated  Dec 18, 2011 09:41:44 AM
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