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日英行政官日記 (旧 英国日記帳)

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Jul 20, 2013
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政策懇談会(平成25年7月20日)の概要

私的に主宰する勉強会「政策懇談会」を開催しました。

今回は、政策シンクタンク「構想日本」総括ディレクターの伊藤伸氏から、「事業仕分け:霞ヶ関での経験と事業仕分けの真実」とのタイトルでプレゼンをいただき、ディスカッションいたしました。

<プレゼンの概要(文責・高田)>

○シンクタンクの役割
・構想日本は、政策シンクタンクとして、日本では草分け的な存在。
・中立、非営利であり、個人・法人の会費で主に経費を賄っている。現在、常勤職員は6人のみ。
・報告書や提言を出して終わりというのではなく、いかに政策を実現するかに重きをおいており、そのため政治家にも関与している。
・自身(伊藤氏)は民主党政権下、任期付の国家公務員として行政刷新会議事務局の参事官となり、本年2月まで勤務。ただし、政治的にはあくまで中立の立場。
・日本では欧米のように政策シンクタンクが発達していない。欧米のシンクタンクと比べて、財力と政治力の違いがある。
・政治が世の中のニーズにあった活動をできていないという問題意識。政治と国民のニーズのギャップを埋めることが政策シンクタンクの役割と考えている。

○霞ヶ関での経験
・行政刷新会議事務局には、参事官職(課長級)として、いわゆる政治任用の形で入った。発令されたのは2009年10月6日。11月には、予算編成プロセスの一環として第一回目の事業仕分けを行うという当面のゴールが決まっており、突貫工事で組織の立ち上げと準備を進めた。
・民間から任用されて官僚と共に仕事をし、官僚達が極めて真面目で優秀であることを実感した。しかし、官僚と会話が噛み合わないこともしばしばあった。官僚の使う行政用語は外部の人間には理解できないものが多く、また、官僚特有の文化として、形式主義、無謬性、過剰防衛といった傾向がある。
・意思決定のプロセスとして、下から順を追って上げていく形式にこだわる。また、役所は間違ってはいけないという、どちらかといえばマスコミ等の外部からの思い込みがあり、得点を上げるより失点を減らす方向に傾きがちとなる。最初の原案は尖っていても、上げていく過程でだんだん丸まっていくこともあった。
・また、以前、政治家の秘書をやっていたときと逆に、政治家に対して「ご説明」する立場に立つと、政治と官僚では「見る景色」が違うことを実感した。政治から物事を言われたとき、官僚はその意向を必要以上に忖度し(あるいはそもそも何を求めているのかが分からず)、混乱することが多い。もう少し早めに意思疎通し、政治家の真意を確認することができれば、作業はもっと効率化できるのではないか。
・行革は総論では誰もが賛成するが、各論になると皆反対する。残るのは、公務員バッシングとなる。それが官僚の過剰防衛にもつながることになる。
・政治任用という立場の人間は必要。自分は、政治任用で参事官となれたことにより、政治と官僚の関係をより深く知ることができた。民間人の登用が多ければよいというものではなく、適切な場所に適切な人材を配置できるかどうかが重要。

○事業仕分けについて
・事業仕分けは、予算を切るためだけのものではない。行政刷新会議で行われた、国の事業仕分けの第一弾は、予算削減の色彩が強かったが、第二弾は公益法人と独法の見直しであり、必ずしも予算と直結するものではない。
・事業仕分けは地方自治体から始まったが、当初は財政的な視点はなく、公的な事業についての官と民の守備範囲を決めることが主眼。「公」の対概念は「民」ではなく「私」であり、公益を「官」ではなく「民」が担うこともありうる。その境界線を決めるのは、行政ではなく、受益者でありスポンサーである市民の役割。
・事業仕分けは、抽象的な政策論ではなく、具体的な事務事業を対象にする。また、必ず、外部の識者や、現場の視点を持つ人が「仕分け人(評価者)」として参加し、実際にどうお金が使われたかをチェックする。例えば、ある補助金の申請にかかる人件費等のコストを試算すると、補助金としてもらえる金額よりもコストの方が多かったというケースもある。
・事業仕分けが目指すのは民主主義の健全化。市民に公開された形で議論を行うことにより、市民がサービスの受益者としてだけではなく、そのスポンサーたる納税者としての視点を持ちうることが重要。
・事業仕分けでは、「事業シート」を作成し、事業ごとに、成果目標などを具体的に記載させることにより、様々な論点が浮き彫りとなる。
・また、必ず一定の結論を出す。仕分けの結論を受けて、それをどのように反映させるかは首長や議会の責任だが、仕分けが議論を喚起する材料となる。事業仕分けの結果は、7~8割はそのまま踏襲されている。

○国の事業仕分け
・事業仕分けは、自治体で2002年から始まったが、国レベルでは、公明党が最初に関心を持ち、2005年9月の選挙では、与野党のマニフェストにおいて初めて言及された。2006年5月に制定された行政改革推進法にもこれに関する規定が盛り込まれた。
・2008年8月には、自民党の「無駄撲滅プロジェクトチーム」が、いくつかの省庁の政策棚卸し(事業仕分け)を実施。また、民主党も、党を挙げて本格的に事業仕分けに着手した。
・そして、2009年の政権交代後、民主党政権において、行政刷新会議により合計6回の事業仕分けが行われた。会場への来場者数は43000人、インターネット中継の傍聴者数は延べ890万人にも上った。
・しかし本来、事業仕分けを何度にもわたって行うことは想定していなかった。仕分けは、組織自身の取組として内生化することが望ましい。そのような趣旨から、各府省が自ら全事業の見直しを行いその結果を公表する「行政事業レビュー」が導入され、現在の自公政権下でも引き継がれている。
・事業仕分けに似た取組として、カナダでは、1994年に「プログラム・レビュー」が実施され、これを機に「財政劣等生」から「財政優等生」へと転換した。
・インドネシアの国会が事業仕分けに関心を示しており、2012年5月、構想日本により初めて海外での研修会を実施した。インドネシアでは議員や公務員に汚職がはびこっており、事業仕分けが民主主義を向上させることが期待されるが、誰が仕分け人をできるか、という課題がある。

(翌日の日記に続く)





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Last updated  Aug 3, 2013 11:35:27 AM
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