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日英行政官日記 (旧 英国日記帳)

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Apr 11, 2015
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私的に主宰する勉強会「政策懇談会」を開催。
今回は、「平成政治の中の第二次・三次安倍内閣」とのテーマで、政策研究大学院大学教授の竹中治堅氏からプレゼンをいただき、ディスカッションいたしました。

<プレゼンの概要>(文責・高田)
はじめに
・現在の政治は、「安倍一強」と言われている。それまで毎年首相が変わっていたが、第二次・三次安倍内閣はすでに二年以上継続している。しかも、主要閣僚等については同じメンバーを保っている。これは首相の人事権が強くなっていることの表れ。閣僚が頻繁に変わることは日本政治の欠点だったが、そうした弊害を免れている。

第1部:日本政治の20年
・戦後の日本政治の基盤となった1955年体制は、首相の指導力が弱いことが特徴。
・中選挙区制度のため、同じ選挙区で自民党から複数の候補者が立候補し、自民党のブランドの意味がない。政治家が個人として、地域の利益集団にアピールすることになる。
・そのため、首相の政策に対する与党議員の支持を必ずしも確保できず、造反を食い止める手段が無い。首相の持つ解散権は、与党議員に対する牽制でもあるが、中選挙区制だと、無所属でも個人の支持層で当選できるため、この武器が効かない。
・また、首相自身が法案を提出できないなど、法的権限が弱く、補佐体制も制約されていた。
・他方、自民党は派閥の力が強く、実質的に連立内閣だった。政策は、派閥から選出された閣僚にやってもらわなければならなかった。
・しかし、1994年の選挙制度改革により、政治の地殻変動が起きる。これ以後、毎年大きな変化が起きている。
・小選挙区制の下では、候補者が勝つためには政党の公認が必要となり、個人の支持層だけでは勝てない。そのため、派閥も首相に従わざるをえない。
・また、政治資金規制の強化により、個人で資金を集めにくくなった。他方、政党助成金は党の執行部が配分を握っている。そのため、派閥は資金面でも弱くなっている。
・2001年の省庁再編により、首相の法的権限、補佐体制が強化され、政策を閣僚に頼まなくても、首相直轄の内閣官房などでできるようになった。
・こうした首相の権限の強化により、名実ともに単独内閣となっている。そのため、「お友達内閣」で当たり前であり、大臣の忠誠心は、昔は派閥の長に向けられていたが、今は首相の人事権に服している。
・こうした政治改革と中央省庁再編の成果を十分に活かしたのは小泉首相であり、長期政権を実現した。
・しかし、その後は短命政権が続いた。これはなぜか。
・日本では参議院の権力が強いことが、短命政権となる最大の原因。
・法律を通すには参議院の可決が必要。
・衆議院に対して首相は解散権を持っているが、参議院に対しては無い。したがって、日本国憲法が議院内閣制を採用しているといっても、議院内閣制が成立しているのは、実際には衆議院と内閣の間だけにとどまる。日本の首相と参議院の関係は、アメリカの大統領と議会の関係に似ている。
・参院選に敗れると首相の力は一気に弱くなる。麻生首相は、リーマンショック後の2008年秋に就任し、景気回復を掲げたが、その秋の臨時国会で補正予算を出さず、求心力を失った。補正予算の執行に必要な法律を臨時国会会期中に通せる見込みがなかったことがその背景にあった。
・民主党政権下、菅首相、野田首相も特例公債法案を人質にとられ、退陣に追い込まれる一因となっている。

第2部:第二次・第三次安倍晋三内閣
・安倍首相は参院選に勝利し、ねじれ国会を解消した。
・また、首相の制度的基盤の強化は続いている。内閣人事局を設置し、官邸の求心力は人事の上でも高まっている。
・しかしまだ首相の権力には制約がある。日本は国会の力が内閣に比して強い。内閣に国会の議事運営権が無く、国会が審議する法案の順序や時期を決める。各常任委員会で順次法案を審議していくため、時間切れで廃案になるおそれがある。国会の委員会は基本的に与党が主導権を握っているが、担当している与党議員の意に添わなければ、政府提出の法案であってもサボタージュでつぶすことができる。
・これに対し、イギリスでは内閣が法案審議の順番、期間を決められる。また、法案ごとに委員会が立てられるため、同時並行的に審議を行うことができる。日本ではイギリスに比べて圧倒的に、国会との関係で首相が弱い。
・また、二大政党制が根付かない一因として、比例代表制が併用されていることの弊害がある。比例代表制により、主要政党を離党しても当選できるため、多党乱立になりやすい。
・第二次安倍内閣では、アベノミクスの「三本の矢」や安保など、政策を明確に打ち出している。成長戦略についても進めているが、小泉政権のように、郵政民営化、道路公団など分かりやすい目標を定めておらず、何をやれば達成したことになるのかを設定していない。法人税減税、電力改革、農協改革、コーポレートガバナンス改革など、本当は結構やっている。
・小泉政権では、経済財政諮問会議を政策立案の中心とし、そこで対立構造を顕在化させることで政策を明確化した。現安倍内閣では、産業競争力会議、規制改革会議などはかなり使っているが、会議は乱立しており、政策の出所は多様となっている。
・時期ごとにテーマとなる政策があり、2013年春は日銀人事、13年秋は秘密保護法案、14年春は集団的自衛権。次は憲法改正を「出しもの」にするのではないか。参院選前となる、来年前半が一つの焦点となろう。

<ディスカッションの概要>
・現安倍政権では、小泉政権のように会議を効果的に使っているわけでもなく、民主党政権のように統治機構論にこだわっているわけでもないが、結果的に、官邸主導・首相主導という、近年の日本政治が目指すべきとされていたことを実現しているように見える。この背景に、「3つの敵」が弱体化していることがあるのではないか。第1に与党。小泉政権以来の派閥の弱体化が進み、野党転落を経験したことで、首相に対抗する勢力がなくなってきている。第2に野党。過去の自民党政権時は、初めての政権交代可能な野党として民主党が力を増しつつあったが、現在はその勢いを全く失っている。第3にマスコミ。マスコミは政権に対し批判的なのが通常のところ、いくつかのメディアが政権を明確に支持しているだけでも、全体として世論が中和され、政権にとっては追い風となる。だが、一部で言われるように、批判的なメディアさえ、政権の意向を忖度し遠慮しているといったことが本当にあるのか。
・現政権は、世論調査では比較的高い支持率を維持している。過去の政権に比べ、メディア対策が巧みなのは事実。閣僚が不統一なことを言わないよう、よく統制されている。また、例えば沖縄問題などにしても、トラブルになっている画を撮らせないよう工夫している。
・いわゆるウェストミンスター型議院内閣制の本家であるイギリスでは逆に、二大政党制が崩れつつあり、中央集権と逆の方向に向かっているのではないか。
・イギリスもいまだ、日本に比べればはるかに長期政権であり、首相・内閣の力は強い。現在の保守党政権は、厳しい財政健全化策を実施し、一時は支持率がかなり落ちたが、最近は経済も上向き、支持率も回復してきている。5年間という期間が保証されているからこそ、厳しい政策にも取り組むことができることの表れ。
・政権に課題が無いわけではなく、メディアの問題発掘能力が落ちているのではないか。
・金融緩和をずっと続けることはできない。出口の議論がなぜないのか。
・円安で、ドルベースで見ると資産の価値は落ちており、円安が必ずしも良いわけではない。
・課題は無いわけではない。例えば社会保障と財政の問題について、十分に取り組んでいるとはいえない。
・格差問題もある。もっとも、子どもの貧困対策を官民で打ち出すなど、話題になったことへの対処はうまい。
・成長戦略は、海外では構造改革(structural reform)として認識されているが、痛みを伴うイメージがあるため、国内では「成長戦略」という、皆にとって恩恵のありそうなあいまいな言葉を使っている。成長戦略が何か、皆ぴんときていないため、海外にもうまく発信できない。
・派閥の弱体化で首相のガバナンスが強くなったというが、それは自民党固有の話ではないか。民主党はなぜ駄目だったのか。
・自民党の派閥は弱体化したといっても、情報伝達手段としては機能している。事前審査制で政策の調整しており、また、党内の人事のルールもわかってくる。自民党が巧みなのは、政府内に入っていない議員にも、党の役職などを通じて役割を与えていること。民主党にも「グループ」があるが、これらは自民党の派閥のような情報伝達手段になっていない。民主党の問題は人事のルールが無いこと。党の歴史がなく、議員が個人の利益を優先させてしまう。また、政権獲得直後、党の政策調査会を廃止してしまったため、若手議員に居場所がなく、不満が募ることとなった。
・事前審査制においては、政策議論がクローズドなプロセスでなされており、利害関係者の政治となってしまっているのではないか。
・日本では国会が強すぎるから、法案を確実に成立させるために事前に根回しをすることになる。国会が強いがゆえに、政策決定プロセスが国会の外に出てしまうという矛盾がある。
・メディアの力が落ちているという話があったが、インターネットが普及してメディアの収益力が落ちており、時間がかかる調査報道がなかなかできないという面もある。
・誰かが批判をしなければ、批判的な報道もしにくくなる。メディアもある程度世論を反映している。
・イギリスではメディアが専門化しており、ネットとの競争で鍛えられている。日本では、NHKは予算等を国会に握られているというネックがあり、民放も5年ごとに放送免許の更新がある。民放では専門性のある記者が育つ余地が少なく、国際支局も縮小している。今後、マスメディアは凋落し、ウェブメディアに取って代わられていく。
・政治家は数が多い高齢者の方を向きがちで、将来世代の利益がないがしろにされる傾向がある。投票年齢の引下げをしても、若者の数自体が少ないので、あまり効果はない。親に子供の分の投票権を代理行使させるぐらいのことをしないと是正できない。





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Last updated  May 14, 2015 07:14:07 AM
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