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日英行政官日記 (旧 英国日記帳)

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Sep 16, 2015
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※ニュースサイト「ムーラン」に、コラムの連載を始めました。

「パリの空の下から ~国際行政官の視点~」(第1回)

9月のパリ。8月のバカンス時期が明け、街には活気が戻ってきた。職場も、多くの人が休暇から復帰し、本格的に稼働し始めている。気候もすっかり秋らしくなり、朝夕には肌寒いほどだ。

筆者は、本年7月よりパリに赴任し、OECD(経済協力開発機構)に出向し勤務している。本コラムでは、OECD勤務を通じての体験を中心に、フランスやヨーロッパの政治・経済・文化、あるいは筆者がOECDで携わる環境政策等について紹介していきたい。

OECDはパリに本部を置くが、特定の国に所属しない、国際機関である。その前身のOEEC(欧州経済協力機構)は1948年、第二次世界大戦で荒廃したヨーロッパの復興のため、アメリカによるマーシャル・プランの一環として設立された。その後、アメリカ等も加わり、世界経済全体の発展を目指す機関として、1961年、現在のOECDが設立される。

国連やWTO(世界貿易機関)等、他の国際機関と比較して、OECDにはいくつかの顕著な特徴がある。まず、最大の特徴は、OECDは基本的に、「先進国」と呼ばれる国々で構成されていることだ。国際比較等をする際に、「OECD加盟国」という区分が、先進国のグループを指す概念として用いられることも多い。OECDが「先進国クラブ」とも呼ばれる所以である。世界の政治・経済における超大国であるロシアや中国も加盟しておらず、先進国の中でも、いわゆる自由主義経済の伝統を持つ国々で構成されている。その意味で、比較的、加盟国間で「話が通じやすい」組織であるといえる。

アジアからの加盟国は日本、韓国、トルコのみで、日本のプレゼンスが相対的に大きい国際機関である。日本がOECDに加盟したのは1964年。東京オリンピック開催の年であり、新幹線が開業した年だ。敗戦国だった日本が、「先進国クラブ」への仲間入りをする、象徴的な一歩だったことを物語っている。

OECDの第二の特徴は、その役割が提言機関、いわばシンクタンクであることだ。OECDは基本的に政策の調査・分析・提言を行い、加盟国政府の参考に供することを使命としている。加盟国を拘束するルールを定める権能も持っているが、それが中心的な業務ではない。そういう意味では、他の国際機関に比べれば、加盟国間での政治的な利害対立が生じる側面の少ない(皆無ではないが)機関であるといえよう。

OECDがカバーする政策領域は広い。世界的に最もよく知られているのがEconomic Outlookなどの経済統計・分析だが、例えば開発、金融、税制、教育、医療など、様々な個別の政策テーマについて掘り下げた検討を行っている。

私が所属するのは、環境局(Environment Directorate)だ。財務省からは昔から、数多くの職員がOECDに出向しているが、通常は金融や税制を担当する。環境局のポストは、最近できたもので、私の前任者に次いでまだ二人目だ。これまで環境分野の政策に直接関わったことはほとんど無かったが、現在担当するのは「環境金融」(climate financeないしgreen finance)の領域であり、実はこれまで経験してきた業務と無縁ではない。この業務の内容については、次回以降のコラムで、徐々に紹介していきたい。

今年は、OECD環境局にとって大きな年だ。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)が、12月にパリで開催されるためである。COPは国連の会議であり、OECDがその事務局を担うわけではないが、この会議へのインプットを目指して、様々な政策分析・提言の準備を進めている。また、このCOPの開催期間中は、多数のサイドイベントや関連する会合が開催されるが、その多くにも関わることとなる。

国際機関、各国政府、NGO、研究者等を含め、環境政策に関心を持つ世界中の人々の目は、この年末のパリに向けられている。また、その時期には、COPの内容は広く報道され、環境政策を超えた政治・行政・経済界の注目を集めるだろう。今年のパリは「熱い」クリスマスを迎えることとなりそうだ。

(注)本稿は、個人としての見解であり、筆者の所属する組織の見解を代弁するものではありません。





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Last updated  Sep 16, 2015 02:44:04 PM
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