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日英行政官日記 (旧 英国日記帳)

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Sep 9, 2016
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「パリの空の下から ~国際行政官の視点~」
第11回:G20と環境金融

長い夏のヴァカンス・シーズンが終わり、閑散としていたパリの街にも、活気が戻ってきた。職場も業務体制に復帰したが、その矢先、9月4日・5日に中国の杭州でG20首脳会議が開催された。G20は、かつてのG7(日米英独仏伊加)に代わり、主要国が世界経済の課題を議論する最重要の国際会議となっている。なお、G7も存続しており、今年は日本が議長国として伊勢志摩でサミットを開催したが、今やG7諸国が世界経済に占める相対的な比重は過去に比べて格段に低下していることは否めない。そうした中で今年、新興国の代表格である中国がG20の議長国を務めたことは、経済秩序の変動を顕著に示すものともいえる。G20のメンバーは国(及びEU)であるが、筆者が勤務するOECDも、他のいくつかの国際機関と共に、準メンバーとして招かれており、現在のグリア事務総長の下、特にG20は重視されている。

今年のG20においてOECDの観点から特に注目されたのは、新たにGreen Finance Study Group(GFSG)という、環境金融を議論する部会が設置されたことだ。その報告書は、G20首脳会議終了後、首脳宣言と併せて公表された。G20においてこの部会が設置されたことは、環境金融が、環境問題を超えて、各国の財務省・中央銀行が関与すべき経済・金融の重要課題となりつつあることを示している。
(環境金融については、本コラム第2回及び第3回にも記載しております。コラムのバックナンバーはこちらをご覧ください。)
http://www.geocities.jp/weathercock8926/fromparis.html

GFSGはG20議長国である中国政府の肝いりで設置されたものであり、中国(中国人民銀行)と英国(イングランド銀行)が共同議長を、UNEP(国連環境計画)が事務局を務めた。中国というと大気汚染などのイメージが強いが、逆にそれもあって、環境政策には力を注いでいる。今回のG20首脳会議に際して、中国と米国が同時に、昨年の気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で合意されたパリ協定を批准したことは、世界を驚かせた。そして、GFSGのテーマである環境金融についても、「新たな巨人」として世界をリードしようとする野心が伺われる。例えば、環境金融の世界で最も注目されている動きの一つとしてグリーンボンド、すなわち環境目的の資金調達のために発行される債券が急速に広まっているが、その発行についても、中国はにわかに世界最大のプレイヤーとなりつつある。成長市場である中国に世界の注目が集まるのは当然ともいえるが、中国が経済の規模だけではなく、質的な面においてもアピールを強めていることは注目しなければならない。

他方、日本は世界有数規模の金融資産と、成熟した金融市場を持つ国であるが、環境金融への認識・取組みは欧米に比べて立ち遅れていると言わざるをえない。だがそれだけに大きなポテンシャルを秘めているともいえる。こうした中、OECDの筆者のチームは、10月13日・14日に東京で、Green Investment Financing Forumというイベントを開催する。これは、環境金融をテーマとする最大の国際イベントの一つであり、これまではパリのOECD本部で開催していたが、今年初めてパリの外、しかも東京で開催することとなったのである。これをきっかけとして、環境金融に関する認識・議論が日本で広まることを期待したい。

※本コラムはニュースサイト「ムーラン」に連載しているものです。
※※本稿は個人としての見解であり、筆者の属する組織の見解を代弁するものではありません。





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Last updated  Sep 15, 2016 03:24:41 PM
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