離婚にあたって夫婦の財産分与を行うことになるのは、既にご存知の通りで、このたびは、この離婚の際に財産分与を行う際の問題点について語りたいと思います。
夫婦が別々に常勤で労働し、夫婦双方が生活費を拠出して残りのお金は夫婦別々に貯蓄しているような完全独立型の場合は、名実共に夫婦それぞれの財産は固有財産として、特段の事情がなければそれら貯蓄は財産分与の対象とはなりませんが、例えば妻が専業主婦で、夫の収入のみで生計を維持している場合は、夫の収入により形成された財産は全て財産分与の対象となります。
この場合、だいたい平成7年くらいまでは専業主婦の夫に対する貢献度を2~4割程度として換算して財産分与をしていたのですが、平成8年度の法制審議会による「民法の一部を改正する法案要綱」により、離婚後の財産分与については離婚当事者の寄与の程度については、それが異なることが明らかでない限り、原則として財産分与の割合は夫婦それぞれ「平等」であると明言しました。
そのため、現在の家庭裁判所の実務においては、「夫婦平等ルール」が定着化され、調停の場において財産分与をする際は「夫5割 妻5割」ルールで運用しているようです。
さて、この場合に問題になるのが、夫婦が離婚する際の財産分与の対象となる財産に「将来の夫の退職金」が含まれるかどうかが問題となります。
このことについては、様々な考え方と見解があるでしょうが、僕の考え方と見解は次の通りです。
すなわち、退職金は、判例によって「賃金の後払い的性格を有する」と判断され、この考え方は既に確立されているところです。しかし、この退職金は、そもそも退職しなければ会社に対する「退職金請求権」は発生しないし、また退職事由と勤務年数によっては金額が変動するので、たとえ妻が「離婚日を退職日とみなして計算し、財産分与の財産として計算しろ」といったとしても、わが国の終身雇用制が既に崩壊しているといっても過言ではない現在においては、夫が将来自己都合によって退職する可能性もなきにしもあらずです。また、夫が勤めている会社が倒産してしまえば、退職金をもらえなくもなります。
そのため、そもそも夫婦が離婚する際に「退職金請求権」は存在しないこと、将来もらえる予定の退職金の金額が確定できないこと、さらに加えて、会社が倒産すれば退職金がもらえない可能性もあるといった理由から、離婚時の財産分与の対象財産に退職金を含めるのは、個人的に難しいのではないかと思います。
しかしまあ、たしかに妻としては自身の自由をある程度放棄して家事に専念して夫に寄与しているのだから、退職金を財産分与の対象すべきという考えには理由があると思いますが。。。何だか複雑ですね。
この結論については、「対象とすべき」と「対象とすべきではない」と賛否両論があると思いますが、実のところはどうなのでしょうか??
全く難しい問題ですね。