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タルギウユ

私の出産体験(ママの感想)


私の出産体験(ママの感想)


 私が妊娠5ヶ月の頃、ちょうど帰国の際に、母が紹介してくれた助産院を訪れた。助産院を訪れるまでは、出産に関しては特に希望もなく、病院で産むことを考えていたのだが、その助産院を訪れることによって、私は出産自体にとても関心を抱くようになった。

今の世の中病院で赤ちゃんを産むのが一般的で、助産院なんてなんて言われてもぴんとこない人が多いかもしれない。勿論私も初めはそうだった。だけど、家庭的なお産がしたいと思っていたし、助産婦さんの「出産は決して病気なんかじゃない。だから健康なお母さんなら機械に頼る必要もないし、赤ちゃんは自分が生まれたい時に生まれるものであり、親の都合で薬を使って、生まれる時期を変更する必要なんてないんだ!」という言葉が私の心を決めた。「ここで産もう!」と。

診察が終わって、助産婦さんが「お部屋を見て行きますか?」と案内してくれた。部屋は全部で4つ。畳4畳半の部屋で畳以外には何もない!その部屋を見たときは、思わず「えっ?ここで産むの?」と思ったほどだ。テレビで見る病院のお産とはあまりにもイメージが違いすぎていた。

助産婦さんは、海外に住んでれば出産教室とかにも通えないからと、そこの助産院での実際の出産のビデオを2本貸してくれた。「これを見ればお産がどういうものか分かります!」と・・・。そして、「お産プランを立てて提出してください」と・・・。そのお産プランには、陣痛初期、中期、後期はどのように過ごすか?へその緒は誰が切るか?などとえらく細かく記入するものであった。陣痛で苦しんでるのに、プラン通りにいくのかしら?なんて思ったが一応、旦那と二人でプランを立てた。後から思えば、そのプランを見ながら、助産婦さんたちが上手にリードしてくれたので、やはり立てといて良かったと思う。

 そして、予定日の一ヶ月程前に私は帰省。妊婦は臨月に入ると飛行機に乗れないそうだ。不安なのでもう少し早く帰省したかったのだが、義母が旦那のことを心配して私に「もう少し長くいられないのかい?」なんて言うものだから、結局ぎりぎりになって帰省した。

 帰省してから、久々に助産院を訪ねた。私は先生に「出産のときは旦那にもいてほしいんだけどなあ。陣痛きてから、韓国に電話したって間に合わないですよね?いつ生まれるか、ちゃんと分かったらいいのに・・・。」と言うと、先生は「「お腹の赤ちゃんはちゃんと聞いてるんだよ!~月~日に生まれてきてね。と話しかけてれば、パパがいるときに生まれてきてくれるよ。」と。
その時は、ハハハッ!って笑っていたけど、その後私は毎日こっそりお腹に話しかけていた。誰にも分からないようにトイレに入っているときだ。「8月26日に生まれてきてね!」と・・・。
8月26日は予定日より1週間前だけど、私と旦那が出会って初デートの日だった。どうせ生まれるなら、二人の思い出の日に生まれてほしいなあ、なんて思っていたのだ。(一優は本当にいい子で、8月26日に生まれました!)

 旦那には、8月23日から休みをとって来てもらうことにした。旦那は誰から聞いたのか、初産は予定日より遅れて生まれることが多いらしいけど、ほんとに大丈夫かなあ、とかなり心配気味。それでも私の言葉を信じて飛行機のチケットの予約をしたようだ。旦那の休みは1週間。その間に生まれてくれればいいんだけど・・・。

 旦那が来る23日からは、妊婦体操の回数も増やし、なるべく体を動かすようにした。先生に「早く生まれてほしいときは、砂浜を歩くと効果的だよ!」と聞いていたので、旦那が来て、家のすぐ近くの海岸を二人で歩き回った。普通の人でも砂浜を歩くなんて疲れることなのだが、大きなお腹を抱えて砂浜を歩くのは並大抵のことじゃない。確かに効果がありそうな感じだ。(これもほんと効果あり!!)

 24日も朝から二人で外に出て歩き回る。真夏の陽射しのなか、私と旦那はあちこち田舎見物だ。
 
 そして25日の朝、ようやくおしるしが来た。その日私の母は私の旦那にご馳走しようと、岐阜までお肉を買いにいった。飛騨牛の焼肉らしい。私は「どうせなら、今日の晩御飯食べてから陣痛来てね!」とお腹に話しかけていた。めったに食べれないおいしい肉を陣痛が来て食べれなくなったら、旦那も私もあまりにもかわいそうだ。その日、結局飛騨牛をいっぱい食べても、陣痛は来ずに、眠りについた。
 
 その晩、私は夜中2時にお腹がじんじん痛むことで目が覚めた。「陣痛かもしれない」と思った私は旦那を起こした。変なことに旦那の方が落ち着いていて「何分間隔か計ってみよう!」と。時間を計ると5分間隔だった。先生に聞いていたのとだいぶ違う。いきなり5分間隔かあ!10分間隔になったら先生に連絡するように言われていたので、早速TEL。すると先生は、「おそらく朝方入院になるでしょうから、朝ごはんをしっかり食べて来なさい」と。安心して再び眠りについたものの、3時半には痛みは強くなり、時間を計るとほとんど1分毎であった。さっき電話で先生は「規則的に10分毎になったら・・・。」とおっしゃってたけど、今1分毎なのに、これが10分毎になる!ってこと?!だって、私はさっき先生に5分おきだって伝えてあるのに・・・・。入院は朝方なわけでしょ?!私はなんだか訳が分からなくなっていた。

 先生は私が初産なので、5分間隔と言っているが、動揺してきちんと計れていない!と思っていたのだ。だから、2時頃陣痛が始まったら、だいたい朝方入院だろう!と・・・。

 なんかさっき電話したのに、また電話するのもためらったのだが、あまりにも痛いので、もう一度電話をした。先生は「じゃあ、来る?」と。2階で寝ている私の両親を起こして、家から車で5分の助産院へ向かった。
 
 助産院に着くと先生は、こんなに苦しんでいる私を見ても「検査受けてまだまだだったら、お家に帰ってね」と冷たい一言。
ところが、検査を受けてみるとびっくり!子宮口は全開でお産は間近とのこと。私は結構冷静に「ああ、帰されなくて良かった!」などと思っていた。
 
 部屋に入ってからは、陣痛の波!助産婦さん、母、旦那が3人がかりで体をマッサージしてくれた。旦那は私の腰をひたすらマッサージ。ほんとこれがどれだけ楽になったことか。そして助産婦の研修生たちが二人やってきてビデオ撮影をしてくれた。彼女達もお産を見るのは初めてだということで、少し緊張気味だった。

 破水すると旦那や母が呼吸のリードをしてくれた。呼吸法は段階によって違っていたが、私の場合、「ヒッヒッハー」の一点張りであった。

 そして旦那が足を開き、私が旦那の腰に掴まる体勢に変えた。前にはがおかれて、赤ちゃんの頭が見えているのがよく分かる。
赤ちゃんの頭が出たり引っ込んだりするのを見ていると、ほんと力が出てくる。前に鏡を置くなんてナイスなアイデアだと思った。やはり助産院ならではである。
 
 しばらくすると頭が出たままになり、助産婦さんの言われるとおり、何度か力むと頭がぼこっと出てきた。思ってたとおりのサル顔!!あまりにもうれしくて、旦那と顔を見合わせてしまった。

 お産プランには赤ちゃんは自分の手でとりあげたい!と書いておいたので、旦那と助産婦さんが私の体を起こしてくれた。生まれてくる赤ちゃんを自分の手で取って取り上げた。スルスル~っと息子が出てきた。それから生まれたばかりなのに、一生懸命私の胸を這い上がってきた。ものすごい力だ。

 助産婦さん二人、研修生二人、私の母、そして旦那、みんなが一斉に拍手をしてくれた。そして隣の部屋にいた人達も・・・・。

 私の友達は病院でたった一人で子供を産んだと言った。私には「出産は孤独との戦い!」だと。だけど我が息子一優の出産は全く違うものであった。生命の誕生を祝福するみんなに囲まれてのあったかい出産だった。私は自分の出産を通して、改めて家族の協力の大切さ、そして自然のすごさを知ることができた。




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