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月山そばの玉谷製麺所・スタッフブログ

月山そばの玉谷製麺所・スタッフブログ

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Sep 18, 2009
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稲穂もそろそろ金色の頭をもたげはじめた、爽やかな秋の日。

西川町の「そば屋」歩きシリーズの第六弾でご紹介するお店は
西川町水沢地区にある「蛙の子」さんです。

国道112号沿いの道の駅「月山銘水館」の手前、約300mくらいのところ
寒河江方面からだと右手側にある、「赤提灯」が目印のお店です。



(西川町内では珍しい「赤提灯」。木造の風情ある佇まいにぴったりと馴染んでいます)


ご自宅兼店舗の前にあるモミジの植え込みは、季節になると真っ赤に色づいて
店内外からその眺めを愉しむことが出来ます。

我々がお邪魔したのは9月の半ば。
紅葉はまだ若干、葉先にのみ感じられる程度でした。

わざわざ写真に収めて帰るお客様も居るほどの眺めが見られなかったのは残念ですが
替わりに目に入ったのは、ご主人の趣味であるという、見事な盆栽の数々。

盆栽上手なご主人に、近所の方が「育てて欲しい」と
わざわざ持ち込んだものが殆どで、いつの間にか増えてしまったモノなのだとか。

中には珍しい山菜なども鎮座しているらしいので、興味のある方は
何があるのか、探してみるのも楽しいかもしれません。



(店前・店内・店裏と、至る所にある盆栽。一見しただけでは数えられない程の量です)


のれんをくぐり引き戸を開けると、木造で統一された趣きのある店内に
「田舎のそば」を求めて訪れたお客様の期待も高まります。

特に意識して集めた訳ではないという数々のオブジェですが
古民家風のインテリアにまとめられ、思わず唸るほどの見事な統一感。

年代を感じる「古箪笥」は、実家にあったお婆ちゃんの嫁入り道具。
店舗名にちなんだ「蛙の親子」の置き物も、お客さんからの頂き物。

その他にも、蜂の巣のオブジェや、薬草の干草、山雉の剥製などなど
1点1点説明を受けたくなるような展示品ばかりが並んでいて
「アレは何?」と質問されるお客様も多いというのも納得です。



(ほどよく年代を感じる木造の内装に、窓からの採光と、緑の眺めが調和してます)



(リアルながらもカワイイ「蛙の親子」。実物はかなり大き目の手のひらサイズ)


今年の4月でOPEN26年を迎えた「蛙の子」さん。
珍しいその名の由来を伺うと

 「何だっけがなあ、昔の事だし…特に由来あてほどのものはないがもすんねなあ」
  ●語訳:
  →『何だったかなあ、昔の事だし…特に由来というほどのものはないかもしれないなあ」

と軽やかに語るのが、ご主人である片桐三郎さん。

 「確か“一度聞いたら忘れらんね名前”て考えだなんねっけが」
  ●語訳:
  →『確か“一度聞いたら忘れられない名前”って考えたんじゃなかったかしら」

とフォローするのは、奥様である片桐みき子さん。

実はこちらのご夫婦、西川町に店を構える前は
もともと山形市内で10年間「小料理屋」を営んでおられたのだとか。

山形市内にお店があったころは、店舗の前に自宅アパートを借り
当時、小さかったお子さん2人を育てながら、移動・往復を繰り返す日々。

「小料理屋」という業種上、夜遅くまで夫婦揃って働かなければならず
留守番を任せていた上のお兄ちゃんに、『次は、お家とお店を合体してね』と
言われた事が、現在の店舗の形に影響を与えたそうです。



(カウンター内・お二人並んでパチリと記念撮影。ご主人は仕込みの真っ最中デシタ)


天童市出身のご主人は、自他共に認める「山遊び好き」。
移転先を選ぶ時に「西川町がいい」と主張。

一方、西川町大井沢地区出身の奥様は
「雪は少ない方がいい、山の暮らしは大変だから」と反対。

移転先についての意見が対立したこともあったそうですが
子育ての事や開店資金など、諸々の事情を考慮して
話し合いの結果、この水沢地区に移転を決定。

「小料理屋」から「そば屋」になったきっかけを尋ねると

 「こっちゃ来たら、やっぱり『そば』だべって感じで」
  ●語訳:
  →『こちら(西川)に来たらやっぱり『そば』だろう、という感じで」

と、またしても軽やかに語るご主人。

とはいえ、小料理屋時代は、呑みの〆として出していた程度の麺類を
メインにして違う土地での再出発は、試行錯誤の繰り返しだったとか。

西川町に来たばかりの頃は、麺をゆでる専用の釜もなく
「ほんと手探り状態だった」「正直ここまでこれると思わなかった」と
と笑いながら語るお二人。

もし店が失敗したら知人の建設会社に雇ってもらうという約束をとりつけて
西川町に来たという当時のことも、懐かしそうに話してくださいました。

とはいえ、今では、地元の人は勿論、遠く山形県外・仙台市内からも、
そして山形での小料理屋時代を知る方などなど、
沢山のお客様が、「蛙の子」さんの味を求めていらっしゃいます。



(天然木を1枚まるごと贅沢に使ったメニュー表には、なんと山雉の剥製が鎮座まします)


こちらのお店の名物は、「鴨そば」。

店舗前の看板にも大きく表示された「鴨」の字の通り、
イロイロ試してみたけど、結局コレに落ち着いたという「埼玉県産合鴨」を
贅沢に使用した「鴨そば」。

ノゼリやネギをタップリのせて、夏は冷、冬は温の両方が楽しめるこちらのメニューは
なんと「600円」という破格のお値段!

ということは、やっぱりお店の方のイチオシは
今回「鴨そば」かしら?と思っていたのですが。

「鴨も人気だけど、問合せが来たりするのはこっちかな」という
人気のメニュー「山そば」、800円。

一度食べたお客さんから、わざわざ「そろそろ、きのこ入った?」と
お電話が来るほど、リピート率の高いお蕎麦とのことで
我々も早速注文させていただきました。



(とにかくモリモリ!の山菜・茸。具材の多さのあまりに麺が全然見えません!)


「山そば」に使われている山菜・きのこは、
まいたけ以外、全てご主人が『全部自分で採ってきた天然モノ』。

この写真ではちょっと分かりにくいかもしれませんが
コゴミ、ゼンマイ、ドホイナ(クワダイ)、山ウド、月山筍、ナメコなどなど
1つのどんぶりに、その季節に取れる山菜・きのこが、なんと十数種類も
てんこ盛り、なのですヨ!

「買って仕入れてたら、この量では出せない」の言葉に納得せざるを得ません。

勿論、店の名物「鴨肉」ものっていて、具材の豊富さには思わず脱帽。
オススメといわれる所以が人目で分かります。

まろやかにキノコのダシが効いた醤油の麺つゆは、ナメコの粘りで
太目の蕎麦に程よく絡みます。

様々な種類の山菜が、それぞれの香りと風味を伴って、
ほろ苦いのにしつこくなく、すとんと咽喉の奥に落ちる、見事な調和感。

ご主人のさすがの腕前を堪能しました。ご馳走様でした!



(具材の下からそばを引き上げると、山菜と醤油の香りが漂い食欲をソソるのです)


毎年春に行われる「創業感謝祭」では、なんとお食事メニューが半額(※ドリンク等を除く)
いう、超フトッパラなサービスデーがある『蛙の子』さん。

今年は丁度その時期、奥様の怪我(腕の骨折)の為に
残念ながら「創業感謝祭」が開催出来なかったのだとか。

勿論今ではもう完全復帰を果たしてお店に立っておられますが
「一時はどうなることか」と心を痛めたその頃
復帰直後の奥様の腕を気遣うお客さんたちが料理を運ぶのを
手伝ってくれた、というエピソードも。

「ワタシもコノヒトもあまり愛想のいいほうじゃないのにねえ」
と、照れくさそうに笑うご夫婦に、地元に根付き愛されている
お蕎麦屋さんの姿を垣間見ました。






■所在 地・・・ 山形県西村山郡西川町大字水沢562-1/(TEL)0237-74-4649
■定休 日・・・ 毎週木曜日
■営業時間・・・ 平日11:00~21:00/日祝祭日11:00~20:00
        (15名様までお座敷・宴会対応可能(要予約)
■アクセス・・・ 山形自動車道「西川IC」下車・国道112号線沿いに鶴岡方面へ車で10~15分



■取材MEMO

店内のインテリアでヒトキワ目を引くのが、2対の「山雉の剥製」。
今にも飛び立ちそうな見事なオブジェは、奥様のご実家から贈られたものです。
なんと奥様のご実父さんによる、手製なんだそうです!



実は、奥様の実父である「志田忠儀」さんは、大井沢地区で有名な「マタギ」さん。
数年前に放送された某N●Kの「鶴瓶の家族に乾杯」という番組でも
「地元の長老マタギ」としてばっちりご出演してました。

大井沢地区にある「自然博物館」こと「西川町自然と匠の伝承館」の
代表世話役を務めて来られたり、山に関する書籍を出版していたり。
現在93歳、現役は引退されましたが、町の高齢番付にもお名前が
載るという、その名を知られた「名物・お爺さん」なのです。

狩猟を基にした「剥製」づくりは、
さも贅沢品かのように言われることがありますが
大井沢のような「山の暮らし」では、生き抜くための術の一つであり
貴重な蛋白源を得る為に欠かせない生活の一部。

交通と輸送が発達した今では想像することしかできませんが
西川町にそんな歴史があったということを、何気なく置かれた
オブジェから感じることが出来たのでした。




※※※ 蛙の子 さんより、当ブログをお読みの方に嬉しい特典を頂きました!!※※※
西川町へお出での際は、プリントアウトしてご活用下さいませ!




 





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Last updated  Sep 19, 2009 09:18:18 AM


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