テーマ:食のある風景(19)
カテゴリ:農となかま♪
先週の土日に、地元にあるNPO法人きらり水源村で開催された食の樂校に参加しました。
今回のテーマは「ほんものの食」食品偽装問題でゆれた2007年。お金を出せばこだわりの食が手に入る。安さを追求すればそこそこ「うまい」ものが半分以下の値段で手にはいる世の中。昔ながらの手法で生産を続ける味噌、醤油、酢、塩、原材料の食材の生産者の方々と「ほんものの食」について語り、考える時間を与えていただきました。 生産者の方々の話を聞く前に、今回は私がファシリテーターをつとめ「身近な食品添加物を考えよう」というグループワークを開催。昆布とかつおでしっかりだしをとったものと、添加物入りのいわゆる「だしの素」を使った大根煮、すまし汁をつくり、味を比べてもらいました。結果、大根煮の方はだしの素で作ったほうを「ほんもの」と断定した人が半数以上。感想を聞いてみれば、「おいしいと思ったものがホンモノだという自信がない」と、本格だしのほうを「うまい」と感じたにもかかわらず、裏をかいて間違った人が結構いることがわかりました。 今回、私が大事にしたかったポイントはひとつ。「添加物はこんなに危険」とか「からだに悪い」という類の情報提供ではなく、実際「味比べ」をしたり、一括表示で「アミノ酸等」と書かれているものが、グルタミン酸ナトリウムなどの化学調味料だけではなく、○○エキスなどとかかれた「たんぱく質加水分解物」も含まれていたり、表示免責という食品衛生法の決まりによって、添加物が入っていても、表示義務を免れているだけだったりする現実について情報提供をした上で、「あなたにとって食品添加物はどんな存在ですか?」という問いかけをし、いろんな人たちの意見を共有することです。 「世の中から消してしまうのは無理だけど、できる限りとりたくはない」 「昔から使われてきた重曹やにがりも食品添加物でしょう?食品添加物の定義ってなんだろう?」 「知りたくても情報があいまいで真実がわからない。真実をきちんと知った上で判断したい」などさまざまな意見がだされました。 みんなの気持ちを出したところで生産者の方々との車座談義。 醤油 高冷地でないと原材料をまかなう量の無農薬、無化学肥料の大豆はできないので産地、生産者指定で大豆をつくってもらっている。 すべての製品が無添加というわけではない。特に九州は甘い醤油が人気。(刺身醤油などはどこもめちゃ甘醤油です。)これは添加物なしにはつくれないが、消費者のニーズに合わせてそのような醤油も生産しているとのこと。 酢 一般的に売られている酢は速醸法で数時間で発酵させ製品化されているが、表面発酵法は仕込みおけに仕込まれた酒の表面に薄い菌膜を張り、蔵の中に住み着いている菌との相乗効果によって静かにゆっくりと数ヶ月かけて発酵させる方法。菌表面が波立つと、菌が死んで醸造できなくなるという非常にデリケートな側面があり、近年多発している大規模地震によって天然醸造法で酢を生産している蔵元は年々減り続けているという。 塩 700~800リットルの海水を5日間煮詰めて25kgの塩にする。年々同量の海水からとれる塩の量が減ってきている。温暖化により海水の塩分濃度が薄くなっていることを実感するとのこと。 などなど、興味深いお話盛りだくさん。また、食品添加物について考えるグループワークに生産者と買い支える人たちが同席して話あえたことで、製品の添加物についても、生産者側の率直な意見としてお話をお伺いすることもできました。 翌日は現代農業編集長の甲斐良治さんの「食の自治から暮らしの自治へ 他人ごとから自分ごとへ」の公開講演会を拝聴。 「私は『消費者』という言葉をこの世から消したいくらい嫌いです。」という甲斐さんの言葉が深く印象に残りました。 『消費者』思えば何気なく使ってきた言葉ではありますが、書いて字のごとく、すぐ手の届くところにある物や情報にお金を費やし、使った後は消えてなくなるか、何も残らない行為。暮らしの中で、昔は業を費やし、「その場所」にも「心」にも何かが残っていたのではないだろうか。何もかもを自分自身の手で、自給自足することだけが「暮らしの自治」の意味ではなく、何かを残そうと考え、生産する人たちを買い支えることも、暮らしの自治のひとつの形。 流されるままの一方的な「暮らしの消費者」からの脱却が、世の中を変える一歩になる。そんなことを教えられた貴重な2日間でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年01月30日 00時17分48秒
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