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テーマ:詩&物語の或る風景(1047)
カテゴリ:貸室あり
「そんなことは言っていられないわ…それに、ずっと藪中荘に住みたかったから」 「なら、そうそうに引っ越してくれれば助かる。空き家にはしておきたくない。早く取り壊して土地を売り払えと、山奥の5番目オンズ(五男坊)がやかましんだ。あそこは先祖伝来の土地だから、どうしたって売りたくねんでな」 「昔は地主さんだったんでしょ?」 美雪は尋ねた。 「んだ。山奥から聞いだか」 「ええ、あたしとこもそうでしたから…」 「んだか。だば話は合うな」 老人はカラカラ笑った。 「戦争で、命拾いして帰ってこれた思ったら、農地改革だ。あの時はな…。小作で使ってた呑田(どんた)というのが、どううまく潜り込んだのか、小作人から国の小役人に成り上がって、とたんに威張りだしてな。…俺は昔から、あいつによくしてやったつもりだ。対等に扱ってやっていたのに、お上になると人間変わるもんだ。そのうち、呑田は娘の時子に目をつけてな、まんだ小学校さ上がったばりの、おぼこ(少女)だったあれさ、なんぼつきまとったことか、学校への行き帰りも待ち伏せして…9年間だ。婆と交代で送り迎えしたもんだ」 「それは…大変でしたね」 「そのうち呑田は役所の金を使い込みして、蒸発しおったがの…時子はすっかり心を痛めた。中学を出て直ぐ、ここをいやがって、都会へ出でってまった。茨城で結婚して、孫も出来たが、ここさは帰ってこね。孫にも会えねんだ。俺らは、どったら手をつかってでも、時子を護り通したつもりだったどもよ」 美雪には返す言葉がなく、ただ聞いていた。 <つづく> ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 用事があって、街まで出かけてきました。 昼は暖かかったのに、夕方から風が強くなり、雪まで降ってきて、帰りは、すっかり冷え込みました。 今日は、たまたま、街中のデパートが会員招待セールをやっていました。 ところが会員じゃなくても入れるので、店頭のバッグ大売り出しに行き、また1000円バッグを1個、買ってきました。 コロッとして小さな、ダミエのそっくりさんです。 限りなくコピーに近いかもと思ってよく見たら、なんとかバレンチノ、というタグがついていた。 このバッグは、素材が全部PVCで、かっちりとしてて丈夫な感じです。 なんちゃってダミエでも、これはお買い得だったと思います 本物は高すぎて買えないし なによりも、見た目可愛くって気に入りました 今日の1枚は、市庁前にあるヒマラヤシーダーの並木です。 今年は雪をかぶっているところに出会えなかったため、春先の風景となりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 6, 2007 06:51:03 PM
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