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カテゴリ:浄土ヶ浜殺人事件
(たしかに賢い犬だわ。皆、おなかをすかせていてストレスもたまっているのに、暴れもしないで、ドッグフードの順番がまわってくるのを待ってる。…自分の分がちゃんとある、というのをわかってて、大人しく待ってるんだわ) 美雪は、劣悪な環境の中で、なんのしつけもないまま成犬になっても、どこかきちんとしているその犬なら、なんとか面倒を見られそうだと思った。 犬のまわりに、女性たちが集まりだした。 「行きましょう。シロを先に取られては困る」 宮蔵は、急いで駐車場へ走ったので、美雪もつられた。 阿部と、拓海の周りには、ゆうべ観光バスの運転手と駆け落ち騒ぎを起こした、ツアー客の佐和田理子と、友人の相馬かおり、井原千賀子がいて、一心不乱にドッグフードを食べる犬たちに見入っていた。 「かわいいわぁ~、一匹、連れて帰りたいけど、フェリー乗せられるやろか」 かおりが、茶色いシバの雑種を見て、目を細めていた。 「うちも飼いたい!でも、ダンナに相談しないと…」 千賀子が呟いた。 理子は、じっと犬たちを眺めている。あいかわらず無口だったが、どこか吹っ切れたような表情をしていた。 清水幾子と、川野百合子が彼女たちに混ざって犬の様子を見ていた。そして管野拓海と、3人の容疑者が一箇所に揃った、と思うと、美雪は少しだけ緊張した。 「管野君、その白いのは藤原さんが飼うから」 宮蔵が言った。 「へぇ、飼ってくれるんだ。美雪ちゃんならいつか猫飼いそう、って思ってたけど意外だなぁ。ま、ひとり暮らしは不用心だからな。雄だし番犬になる。こいつはいい犬だよ。いまリードつけてやる」 拓海は、自分が乗ってきた軽乗用車、白いミラのトランクから、赤い首輪とリードを取りだし、白い犬に装着して、美雪にリードを渡した。 「名前はシロだ」 「宮蔵さん、もうちょっとカッコイイ名前にしてくださいよ~」 阿部があきれた。 <つづく> ☆こちらの小説は、2009~2010年にBlogで連載していたものです。 ☆人気ブログランキングに参加しています。トップページのバナーをクリックして下さると嬉しいです。 ランキング参加中です。 励みになります、ポッチをお願いします 人気ブログランキングへ おかげさまで、20位以内です。 みなさまありがとうございます<(_ _)> ☆連載ミステリー『浄土ヶ浜殺人事件』は、無料メルマガ『まぐまぐ!』 でも配信中です。 登録はこちらから:『Kazeのミステリ通信』 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 15, 2012 07:04:46 AM
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