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November 16, 2012
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カテゴリ:浄土ヶ浜殺人事件

「シロじゃなきゃ、ホワイトか?それとも、フランス語でブランシュとか?」
「いやいや、こんなに可愛いんだから。たとえばバニラとか」
「シロでいいですよ。みんなが憶えやすいし。ねー、シロ」
 美雪が声をかけると、シロは、長年飼っていた犬のようになって、ワン、ワン、と軽く吠え、ピンと耳を立て、くるりと巻いた大きなシッポを振った。
 そして、美雪の目をじっと見て座った。秋田犬とシバを足して2で割ったような、愛嬌のある顔だちをしていた。
「すごいわ~、シロさん、もう美雪さんにこんなになついてはる」
 かおりが驚いていた。
「運命の出会いやね」
 千賀子も笑った。
「もしかして演技派かもな。なかなか空気読める奴だ」
 拓海が言った。
 シロは、皆が撫でるのも嫌がらず、だまって頭をさしのべていた。この場での、自分の役割がわかっているような犬だった。
「私たちも、一匹連れて行かない?」
 川野百合子が、連れの男に言った。
「ああ、いいよ。新築は泥棒に目をつけられやすいすけ、犬いた方がいいな。百合ちゃんが好きなのにしたらいいべ。どうせなら手のかからないのがいいけどな」
 男が答えた。
「あらっ、川野さんの新婚ライフって、新築のお家でスタートなのね」
 刑事の石川が言った。
「そうですよ。さっきも言ったでしょ。ほんとうは建ててから7年弱だけど、去年ローン払い終わって、新築も同じです」
 川野百合子の、連れの男が答えた。
「そうそう。そうだったわね。どこにお住まいになるんだったかしら?」
 石川は、手帳を見ながら訊いた。
「それも、さっき言いましたよ。二戸の、整形病院の近くにあるって。俺はトラックだから、なるべくこの人の勤務先に近いところと思って…家建てて、百合ちゃんの返事待ってたんだよ」

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<つづく>

☆こちらの小説は、2009~2010年にBlogで連載していたものです。

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Last updated  November 16, 2012 05:56:08 AM



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