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カテゴリ:浄土ヶ浜殺人事件
「シロじゃなきゃ、ホワイトか?それとも、フランス語でブランシュとか?」 「いやいや、こんなに可愛いんだから。たとえばバニラとか」 「シロでいいですよ。みんなが憶えやすいし。ねー、シロ」 美雪が声をかけると、シロは、長年飼っていた犬のようになって、ワン、ワン、と軽く吠え、ピンと耳を立て、くるりと巻いた大きなシッポを振った。 そして、美雪の目をじっと見て座った。秋田犬とシバを足して2で割ったような、愛嬌のある顔だちをしていた。 「すごいわ~、シロさん、もう美雪さんにこんなになついてはる」 かおりが驚いていた。 「運命の出会いやね」 千賀子も笑った。 「もしかして演技派かもな。なかなか空気読める奴だ」 拓海が言った。 シロは、皆が撫でるのも嫌がらず、だまって頭をさしのべていた。この場での、自分の役割がわかっているような犬だった。 「私たちも、一匹連れて行かない?」 川野百合子が、連れの男に言った。 「ああ、いいよ。新築は泥棒に目をつけられやすいすけ、犬いた方がいいな。百合ちゃんが好きなのにしたらいいべ。どうせなら手のかからないのがいいけどな」 男が答えた。 「あらっ、川野さんの新婚ライフって、新築のお家でスタートなのね」 刑事の石川が言った。 「そうですよ。さっきも言ったでしょ。ほんとうは建ててから7年弱だけど、去年ローン払い終わって、新築も同じです」 川野百合子の、連れの男が答えた。 「そうそう。そうだったわね。どこにお住まいになるんだったかしら?」 石川は、手帳を見ながら訊いた。 「それも、さっき言いましたよ。二戸の、整形病院の近くにあるって。俺はトラックだから、なるべくこの人の勤務先に近いところと思って…家建てて、百合ちゃんの返事待ってたんだよ」 <つづく> ☆こちらの小説は、2009~2010年にBlogで連載していたものです。 ☆人気ブログランキングに参加しています。トップページのバナーをクリックして下さると嬉しいです。 ランキング参加中です。 励みになります、ポッチをお願いします 人気ブログランキングへ おかげさまで、20位以内です。 みなさまありがとうございます<(_ _)> ☆連載ミステリー『浄土ヶ浜殺人事件』は、無料メルマガ『まぐまぐ!』 でも配信中です。 登録はこちらから:『Kazeのミステリ通信』 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 16, 2012 05:56:08 AM
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