☆★☆季節の風☆Kazeのミステリ街道☆

「なんだか壮絶な体験でしたね・・・」
ノコは大げさだと思いつつも言った。
「まあな、猫の手というのは器用にできてはいないから、手首や腕の調子がぱっとしないとき、ソコソコ適当に食える料理を仕上げるという経験はできたな」
料理長は言った。
「実は今日も、卓球台があいていたので常連客と一戦交えて、こっちを捻ってしまったから、銅製のフライパンが持てなくて、電子レンジでピラフを作るところだったんだよ」
彼は、右肩をさすった。
「はぁ・・・」
「本来ならば、米を具材とともに炊くのだが、鍋だってただでなく重いし、朝の卓球大会のおかげでみんな筋肉痛を起こしてしまったから、炊いた白米にピラフの素で味付けして、レトルトのハンバーグと一緒に出す予定だった。しばらぶりに電気釜を使ったので炊きすぎてしまい余っていたんだよ」
「た食べる、ピラフ、いっぱい！」
料理長の話を耳ざとく聞きつけたツチオが叫んだ。
「おうよしよし、白米と柴漬けだけでは飽きるだろう、ホレホレ」
ツチオが埋まっている白米に、料理長がピラフの元を混ぜ込むと、ツチオはさらにガツガツと食べ始めた。
「ちょっとツチオ、いくら何でもそんなに食べたらまた肥るわよ」



〈つづく〉

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