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カテゴリ:株相場
◆イギリス離脱決定。崩壊する「EUの理想」と3つの危機シナリオ
EU(欧州連合)は日本人にとって馴染みが薄い。 このEUと、英国が加盟していないユーロ通貨圏の区別も言える人は少ないでしょう。 まずEUとは、欧州の28か国が加盟し、国家主権の一部をEUの機構(欧州議会、欧州理事会、欧州連合理事会、欧州委員会)に譲るものです。 5年ごとの選挙で議員を選ぶ欧州議会と理事会で決定された法は、加盟国の法(ローカルルール)に優先します。 準国家連合の仕組みとなっています。 EUの経済面で大きなものは、加盟国間での関税の非課税です。 商品の移動の障壁をなくしたのです。 消費税のような付加価値税(VAT)の率は各国で異なりますが、28カ国間の輸出入には関税はない。 ただし、日本のようなEU外の国との貿易では、EUの共通関税を課しています(TARIC:EU統合関税)。 そして人の動きに関する「シェンゲン条約」です。 条約を結んだ大陸のEU25カ国内(人口約4億人)では、国境での審査が廃止され、自由に行き来して、居住、労働ができます。 ただし島国のアイルランド、英国などは除外されています。 このためフランスから英国に行くときは、われわれも入国審査があります。 なお日本人の、ビザ免除での1回のEU入国による最大滞在日数は、90日です。 永世中立国のスイスと歴史的に英独不信のノルウェーは、もともとEUに加盟していません つまり、関税の撤廃で商品の移動を、シェンゲン条約で人(労働力)の移動を自由にしようというのがEUです。 対して、統一通貨(法定通貨)のユーロはEU28カ国のうち19カ国です。 もっとも最近の加盟は、スロバキアの2009年でした。英国はもともとユーロには加盟していません。 EUは、二度の世界大戦を経た欧州で再び戦争を起こさない、米国に対抗できる28カ国(5億740万人:米国の1.6倍)の自由貿易圏をつくる、という2つのビジョンにより誕生したものでした。 このEUを揺るがせたのは、アラブやアフリカからの難民問題(3200万人)です。 特に最近は、IS(イスラム国)も含み、内戦が続くシリアからトルコを経て、EU加盟のギリシャに入国する人たちが多い。 国外に逃れた難民は410万人、シリア国内では1170万人と言われます。 賃金が高いドイツに逃れた難民は、2015年で110万人とされています。 毎月10万人が押し寄せていますが、メルケル首相は受け入れを表明しているので、国内の反対が盛り上がっています(国民の40%が反対)。 2015年11月にパリで起きた同時多発テロ、ドイツ各地での暴行や窃盗を、警察が「難民がらみ」と発表しているのも大きな理由です。 英国でEU離脱問題が起こったのは、加盟国を襲う難民問題、および国家主権回復への動きの高まりからです。 保守層が多い60歳以上には離脱派が多く、30歳以下には残留派が多い。 欧州諸国では、この問題に国民がとても高い関心をもって、英国の開票状況を注視していました。 英国のEU離脱による影響として考えられるのは以下です。 (1)自由貿易圏からの離脱による英国経済の弱体化。これはEU加盟国との貿易に関税がかかるようになるからです。 (2)金融面でのシティ・オブ・ロンドンの地位急低下。EUからの資金流入が減るからです。 (3)他加盟国のEU離脱を誘発。英国を皮切りにEU解体の動きが生じる可能性があります。 英国のEU離脱懸念が出始めて、英国ポンドは対円で163円から150円(6月中旬)まで下がりました。 ギリシャ、スペイン、ポルトガルの財政問題は、ECBによる国債買いで小康を得ていますが、問題の根であるギリシャ、スペイン、ポルトガルの経済力は回復していないのです。 その表れは、高い失業率です。 ギリシャ24.1%(5月)、スペイン20.1%(4月)、ポルトガル12.4%(第一四半期)、イタリア11.7%、フランス9.9%です。ユーロ圏全体の失業率は10.2%(4月)と高い状態を続けています。 ドイツですら6.1%(5月)です。 失業率が15%を超えている経済は、恐慌に近いと言うべきです。 日本の失業は3.2%(4月)、米国4.7%(5月)です。両国とも自然成長率に近い 2012年の南欧危機以降、ECBのマネー増発とマイナス金利の金融政策で、ユーロ経済は回復したかのように言われていますが、日本ではほとんど報じられないその実態は、物価が下がるデフレ型の大不況の持続です。 3カ月国債の短期金利もマイナス0.27%であり、マイナス金利策を敷く日本の-0.03%より低い。 今後、ECBの金融政策で隠れていた欧州経済の悪さが露呈するでしょう。 このシュークリームとチーズケーキは絶品! こんな美味しいものがあるんだって感じです。
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