大仏前交番
京阪本線・七条駅から東へ4分ほど歩いたところ、大和大路七条の交差点に面して、「大仏前交番」があります。とは言っても、現在、ここに大仏があるわけではありません。
天正14年(1586年)、豊臣秀吉は奈良・東大寺のような大仏を造ろうとして、大仏殿と大仏の造営を始めました。文禄4年(1595年)には大仏殿がほぼ完成し、高さ約19メートルの木製の大仏が安置されます。ところが慶長元年(1596年)の大地震によって大仏は倒壊してしまいました。
大仏殿の場所は現在の豊国神社付近だそうですが、その境内は、現在の国立博物館や三十三間堂、智積院などを含むといいますから、ほんとうに広大な土地だったようです。
大仏殿の石垣
大仏前交番から大和大路通を北に行くと豊国神社があります。大きな鳥居の前を過ぎた辺りに、フェンスで保護された石垣があります。手前の石碑に「大佛殿石垣」と書かれているとおり、ここに大仏殿の石垣の一部が現存しています。
ちなみに、その後も何度か大仏は造られましたが、地震で壊れたり火災で焼けたりして現存していません。天保年間に造られた4代目の大仏は、肩から上だけの木造でした。昭和48年(1973年)、火災によって焼失してしまいました。
正面橋
豊国神社から西に続く通りは「正面通」と呼ばれています。また、正面通が鴨川を渡るところには「正面橋」が架かっています。正面とは、大仏殿の正面という意味です。大仏は無くとも、いまだにその存在感を示しています。