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カテゴリ:映画 マ行
『マッチポイント』を観ました
名匠ウディ・アレンが描くテニスの試合の正念場“マッチポイント”になぞらえた ビターな味わいのサスペンス・ドラマです >>『マッチポイント』関連 原題:MATCH POINT ジャンル:ドラマ/サスペンス 製作年度・国:2005年・英/米/ルクセンブルグ 上映時間:124分 監督:ウディ・アレン 出演:ジョナサン・リース・マイヤーズ 、スカーレット・ヨハンソン 、エミリー・モーティマー 、 マシュー・グード 、ブライアン・コックス 、ペネロープ・ウィルトン 【ストーリー】 アイルランド人のクリスは、英国の上流階級に憧れる野心家。 高級テニス・クラブのコーチになり、金持ちの息子・トムと親しくなる。 ある日トムに誘われてオペラに行くと、トムの妹・クロエに気に入られる。 やがて交際が始まり、クリスはクロエの父親の会社の社員になり二人は結婚、 クリスの人生は前途洋々に見えた。 しかしクリスはトムの恋人・ノラとも浮気を続けていた。 ノラを愛しているが、クロエが与えてくれるリッチな生活も手放せない。 自分の人生を完璧にするため、クリスは殺人を思いつく…。 ここから先はネタバレを含みます。ご注意を ニューヨークとジャズのイメージが強いウディ・アレン監督ですが、 舞台をロンドン、音楽をオペラ、珍しくご本人のご登場なしにすると こんなにも奥の深い作品が出来上がるんですね。 あっぱれです 冒頭の”マッチポイント”の説明から、主人公クリスが読んでいる ドストエフスキー『罪と罰』の本、オペラ『椿姫』など、 なるほどと思える演出の光る作品でもあります。 序盤から中盤にかけては、 何不自由なく贅沢三昧している上流社会のお坊ちゃまトム(兄)と お嬢様クロエ(妹)、元テニスプレイヤーで野心家のクリス、 女優志望のアメリカ人ノラの4人の恋愛模様が絡み合う恋愛ドラマから 昼ドラマ的なドロドロストーリーへ。 妻の隣で愛人となるノラに電話番号を聞くという大胆行動など、 若干の緊張感があるけど、新鮮味のない展開。 う~ん、こんな作品なのかっと諦めかけてきた後半、 サスペンス要素がぐんと加速して、ハラハラドキドキモードへ ”金と社会的地位=妻クロエ”と、”愛欲=愛人ノラ”を天秤にかけたクリスが下した決断は、 おいおいそんな決断しちゃうのか~って思わせる最悪な決断 頭がいいのか悪いのか?ある意味思い切りが良いのか? クリスの立場になれば、今まで追いかけ続け、やっと手に入れた愛欲の対象ノラが 妊娠を機に豹変し、「妻と離婚しろ」と迫り続けてくるという、 立場逆転の展開になったら、他の欲望の方が優先し、 失いたくないものばかりで怖くなってしまったよ~ってことなんでしょう 「贅沢はクセになる」なんて言っておりましたし ”運”を見方にのし上がってきたクリスが、いよいよ”運”尽きて、 法のお裁きを受けるのかと期待させられた”橋の欄干から川に落ちなかった指輪”には、 見事に予想を裏切られちゃいました クリスの人生においての”マッチポイント”が、 あの時、川に落ちなかった指輪だったのだとしたら、 彼は人生の勝者なのだろうか?敗者なのだろうか? 罪の重さを生涯抱えながら、生きて行く事が幸せなのか? 生まれてきた子供を囲んでの一家団欒の場面に一人混ざる事のできない 暗い表情のクリスを観ていると、その後の彼の人生を覗いてみたくなるような そんなダークなサスペンスドラマでした。 主人公クリスを演じたジョナサン・リース・マイヤーズのどこか影のある雰囲気と、 艶っぽいノラと激情したノラを見事に演じ分けたスカーレット・ヨハンソンの好演が 光ってました それにしても、生まれてきたばかりのクリスとクロエの赤ちゃんに対して、 お坊ちゃまトムが 「立派じゃなくとも、”運”が良ければそれでいい」 とさらっと言っちゃうことが意外に怖かった お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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