あたしはあたしの道をいく

タロウのクラスで流行ってるコトバ、それが「ばか」。
タロウのクラスで流行ってる言葉なのか、
タロウの一番のお友達のコウちゃんのマイブームなのかは、
いまいちはっきりしない所だけど。

分かる気は、するのよねえ。
「バ」って、上唇と下唇ではじき出すような音で、
「カ」って、ノドの奥から湧き上がってくるような音で、
そんな面白い「音」が連続している「バカ」ってコトバが、
やっとコトバを操れるようになった幼児に面白くないわけが無い。
しかも、それを言われた相手は何らかの反応を返してくれるわけで、
これまた、面白くないわけが無い。
そりゃあ、言いたくもなるだろうなあ。

だけど、ちょっと気になるのはコウちゃん。
クラスで「バカ」を喧伝しているのがコウちゃんだけなのか、
他にも居るのか良く分からないんだけど、兎に角、コウちゃんは回数が多い。
ちょっと気に入らないことがあると、すぐに「ばか」を連発する。
たまに一緒に帰るのだけど、
家に着くまでの1時間弱で数え切れない回数の「ばか」が出る。
つられてタロウも「ばか」を連発。

なんでこんなに「ばか」が多いんだろう、と不思議に思っていたら、
コウちゃんのお母さんが、これまた「ばか」が多い。
コウちゃんのお母さん、ちょっと上手く出来ると「おりこうさんね」、
ちょっと出来ないと「バカねえ」。
常にこのどっちか。
お母さんも1時間弱で10回くらい「ばか」を言う。
これじゃあ、コウちゃんの口から「ばか」が出ないはずが無い。

やだなあ……。

昨日はタロウ、
「ねえおかーさん、バカって言って～♪」
ってあたしに言って来た。
甘い声で言ってくる位だから、意味なんてよく分かってないんだと思う。
だけどねえ。
イヤなのよ。

そのときの会話。
タロウ：おかーさん、「バカ」って言って～♪
あたし：いやだよ～。
タロウ：ねえ、「バカ」って言って～♪
あたし：タロウくんはバカって言うのが、楽しいのね。
タロウ：うん。
あたし：コウちゃんがいっぱい言うんだもんね、面白いね。
タロウ：うん。
あたし：だけど、おかーさん、「ばか」ってコトバ、キライなんだよ。
タロウ：うん？
あたし：おかーさんはね、「ばか」ってコトバ、キライなのよ。
タロウ：なんでー？
あたし：タロウくんは、「ばか」って言うの面白いし、好きなんだね。
タロウ：うん。
あたし：おかーさんはタロウくんのこと、大好きだし、大切なの。
　　　　それでね、おかーさんはタロウくんが「ばか」だって言いたくないの。
タロウ：えー？
あたし：おかーさん、「ばか」って言われるの、イヤなんだもん。
　　　　大切なタロウくんに「ばか」って言えないよ。
タロウ：（無言）
あたし：おかーさん、タロウくんのこと、大好きなんだもん。
　　　　「ばか」じゃなくて、「大好き」って言っても良い？
タロウ：良いよ～！
あたし：タロウくん、だーいすき！（hug）
タロウ：タロウくんも、おかーさん、だいすき～！（hug）

って、これ、もしかして、「わたしメッセージ」になってる！？？
うわー、昨日話してるときには全然意識して無かったヨ！