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紅萌ゆる

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2011年08月31日
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カテゴリ:時事ネタ
『ひとつくらい良いことも…』

 ここ暫く、昨今の目を覆うばかりの悲惨な我が国の政治・経済状況をこのコラムでコメントしてきた。今回の#38が出る頃には『新しい首相』も決まっているだろうが、この2年間を見てきた一庶民としては、今の民主党に期待するモノはほとんどない、という諦観の境地だ。

 尤も、批判ばっかりでは建設的でないので、現政権の『仕事』で一つくらいは褒めてみよう。なかなか難しいのだが、まぁ、強いて言えば、昨年12月の#29で採り上げた、次の一節あたりだろうか。早速、引用してみよう。

 『去る12月16日に平成23年度税制改正大綱が決定された。新聞では『国と地方を合わせた法人実効税率を5%幅引き下げ、所得税と相続税の見直しにより高所得者を中心に増税を実施』と報道された。結論から言うと『非常に出来の悪い代物』という印象だ。昨年、政権交代時に打ち出された新機軸はごく一部を除きすっかり陰を潜め、『財源漁りに終始した』、税に対する理念のかけらもみられない酷い『大綱』になってしまった。』

 この『奇跡的に』生き残った『ごく一部の新機軸』こそが今回のお話である。実は、この話、更に遡ること1年、つまり今から2年前の政権交代時直後の『平成22年度税制改大綱』に高らかに謳われていた内容である。詳しくは#20で採り上げているが、紆余曲折を経て漸く日の目を見ようとしているのである。 

 残念なことに、『総論』としての平成23年税制改正は『落第点』なので、未だ税制改正法案(マスコミでよく採り上げられる『予算関連法案』のひとつ)が成立していない、という極めて異常な状況が続いている。尤も野党も今回採り上げたこの論点に関しては反対しているとは思えないので、仕切り直し後の国会での一日も早い法案の成立を期待している。

 具体的に税制改正大綱から抜粋しよう。

(1) 納税者権利憲章の策定 納税者の立場に立って納税者権利憲章(以下「憲章」といいます。)を策定します。憲章については、複雑な税務手続を納税者の目から見て分かり易い形でお知らせするため、1納税者が受けられるサービス、2納税者が求めることのできる内容、3納税者に求められる内容、4納税者に気をつけていただきたいことを一連の税務手続に沿って、一覧性のある形で、平易な言葉で簡潔・明瞭に示すとの考え方に沿って策定します。
※(2)は省略

(3) 税務調査手続 調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を高め、調査に当たって納税者の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と、申告納税制度の一層の充実・発展に資する観点から、税務調査に先立ち、課税庁が原則として事前通知を行うことを法律上明確化します。ただし、悪質な納税者の課税逃れを助長することのないよう、課税の公平確保の観点を踏まえ、一定の場合には事前通知を行わないこととします。また、調査終了時の手続について、課税庁の納税者に対する説明責任を強化する観点から、法律上明確化します。なお、現行の調査実務上行われている物件の預かり・返還等に関する規定を法律上明確化します。

(4) 更正の請求 納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」については、法定外の手続により非公式に課税庁に対して税額の減額変更を求める「嘆願」という実務慣行を解消するとともに、納税者の救済と課税の適正化とのバランス、制度の簡素化を図る観点から、更正の請求を行うことができる期間(現行1年)を5年に延長し、併せて、課税庁が増額更正できる期間(現行3年のもの)を5年に延長します。これにより、基本的に、納税者による修正申告・更正の請求、課税庁による増額更正・減額更正の期間を全て一致させることとします。また、当初申告時に選択した場合に限り適用が可能な「当初申告要件が設けられている措置」については、事後的な適用を認めても問題がないものも含まれていることを踏まえ、更正の請求を認める範囲を拡大します。


 この大綱を受けた『税制改正法案』はすでに国会に上程されている。これまでの『国税通則法』は、名称をあらたに『国税に係る共通的な手続き並びに納税者の権利及び義務に関する法律』(国税手続法)として生まれ変わる。
 同第4条では(納税者権利憲章の作成及び公表)として、『国税庁長官は、次に掲げる事項(※本コラムでは記載省略)を平易な表現を用いて簡潔に記載した文書(以下、「納税者権利憲章」という)を作成し、これを公表するものとする。』と宣言している。

 又、従前より長年にわたって極めてアンフェアーな『規定』として問題視されてきた『更正の期間』が今回5年で統一されることになった。

 これにより本当に、初めて、課税庁と納税者が同じ土俵にたてることになった。内容を具体的に説明しよう。

 ここに所得税の確定申告をしている個人事業者がいるとしよう。この人が確定申告書を提出した後、当初の申告の計算ミスに気付いたとする。例えば、経費を少なく計上してしまい、結果として税金を多く支払っていたというケース。

 この場合、『更正の請求』という手続(減額更正)で、当初申告の法定申告期限から1年以内であれば多く支払った税金は還付してもらうことができる。しかし、1年を過ぎてしまうと、もはや『更正の請求』はできない、と法律上規定されている。ところが課税庁による減額更正は法定申告期限から5年となっており、極めてアンバランス(アンフェア)になっている。納税者は申告期限から1年を超えた時点で、それ以前の申告に関するミス(減額更正ができる事由)を発見したとしても、何ら打つ手はない。 

 実務の世界では、法律的な根拠が全くない『嘆願書』という、それこそ『江戸時代』の様な『お上へのお願い文書』を提出して、ひたすらお願いするしか方法がないのだ。『減額更正』するのも、しないのも課税庁の裁量次第である。こんな大時代的な裁量行政が未だに跋扈しているのは税務行政の現場ならではであり、今回の改正で、諸悪の根源とも言える同規定が、漸く是正されることになる。今までどれだけ長い期間、納税者に不利な状況が放置されてきたことかを思えば、本当に感慨深い。『よくぞやってくれた』と一専門家として大いなる拍手を送りたい。

 また、同じく大綱(4)の後段に記載されている『当初申告要件が設けられている措置』について大幅に廃止されることになったことも評価できる。これは租税特別措置法ではなく本法(法人税法とか所得税法など)に記載されている規定(優遇規定が多い)のうち、当初の申告時に適用を受ける旨の『手を挙げた場合にのみ』適用される措置のことをいい、事後的には適用を受けることは出来ない、という厳しい規定であったが、今回の税制改正で見直されることになった。
 そして、話は前後するが、大綱の(3)。一般の読者には馴染みがないかもしれないがこの項目の明文化というのも非常に意義深い。国税手続法の第74条の9で(納税義務者等に対する調査の事前通知等)として税務調査に関しての書面による事前通知手続が規定されることになった。

 もちろん、これには例外規定として第74条の10で悪質な課税逃れを企てる輩には事前通知なしの税務調査が実施される旨を規定している。但し、この規定には、事前通知をしない場合として『税務署長等が調査の相手方である納税義務者等の申告若しくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁若しくは税関が保有する情報に鑑み、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合』を規定している。

 納税者側としてはもし仮に事前通知がない税務調査が行われる場合には上記記載の要件のどれに該当するのか、具体的に確認するのも一法である。何故なら前述の記載事項に該当しない場合は、かかる手続は違法となるからである。

 以上の通り、平成23年度税制改正法案の中で、2年前の政権交代時の国民との約束で、まさに『奇跡的に』生き残っている内容を紹介した。今回の改正は、実務家の視点からいうと決して100点満点ではないが、最初の大きな第一歩としては極めて有意義である。尤も、下駄を履くまで、即ち、法律として成立するまではキッチリとフォローしなければならない。いつ、ぬか喜びとなるかもしれないほど、この国の政治状況は混沌としている。今回指摘の事項が廃案となることは是非とも避けて欲しい。(続く)

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最終更新日  2011年08月31日 09時57分44秒
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