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わたしのブログ

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続きです。

ある日、近所の満人から・・・ターピーズ、ライラ・・・と知らせが入った。女子供たちは納屋に隠れた。お爺さん、お婆さん、病人と私だけが外を見ていると。ソ連兵が一人台所から入ってきた。銃を私に向けて「マダーム、ダワイ。おんなをだせ。」と言うことだ。その時お爺さんはソ連兵に向かって(その銃口を私に向けてくれ。片山さんにもしものことがあったら、私は生きていけない。早く向けてください。」と懇願したが・・・・「ハイ、そうですか。」とおいそれとは出来ないだろう。ソ連兵は酔っているいるのでうかつなことは出来ない。私は「ウォッカ、ウォッカ。」と飲む真似をして外へ連れ出し「少し待て」と軽く肩をたたいてなだめると「ハラショー」と言ったので,すぐ下にある交番に行き保安隊に告げた。二人居たひとりが「バッ、バッ、これをもっているか?」銃のことだろう。「持っている。」「それじゃ、駄目だ。」と言い出した。仕方なく二、三百円出して「何とかしてくれ。」と頼んだ。満人はお金に弱い。私は銃を収めてきてくれたソ連兵のところへ行き、なにやら話していたが皆身振り手振りである。何とか通じたらしい。農園の裏手へ連れ出してくれた。
「ああ、良かった。」と思いながらも、後を付けて見届けにいくと間違いなく山の下へ連れて行ってくれた。緊張の糸が切れたのだろう急に小便がしたくなった。納屋の隅で立小便をして帰ってきた。「もう大丈夫だ。」と声を掛けたが 、中々出てこない。納屋の戸をあけて覗いてみると奥さんが「まだ、ソ連兵が小便している。」と青くなっているので「あれは、俺が立ちシンベンしたのだ。」というと、安心したのだろう。笑いながら出てきた。私は笑うに笑えなかった。


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