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わたしのブログ

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続きです。

船が静かに岸壁を離れた。私は何かが噴出してきて、いきなり「ソ連兵の馬鹿野郎。」と何度かどなった。すると皆も釣られて口々に「中国人、馬鹿野郎。」と続けた。
 その時、突然、船が止まった。心配になって通りかかった船員に何で船が止まったのか?と聞くと、「ハイ、今、水先案内線が来るまで停船せよ。との信号です。繰れば直ちに出航します。」「ああ、良かった。」悪口が聞こえて止められたのか?悪口が聞こえて止められたのか?と心配になったのだ。しばらくして船が出た。
 ソ連の将校たちがまだ桟橋で白いものを降りながらなにやら叫んでいる。きっと、私たちの叫んだことを「ロスキーッ、ドスピダーニャ」(ロシア国人、さようなら)とでも聞こえたのだろう。馬鹿な話だ。
 船が港外に出た頃、北村の小額三年生だった哲ちゃんと言う子が「ネー。片山さん、あの子が僕の上着を取ったんだよ。」と言いつけに来た。「コラー、貴様らこの子の上着取ったのかぁー。取った奴。前に出ろ。素直にしないと海に放り出すぞ。」と怒鳴ると「おじさん。ごめんなさい。」と上着を脱いで返してよこした。「こんなこと二度とするな。良いか。」と嚇していると親らしい女が「勘弁してください。」と頭を下げほうほうの態であった。哲ちゃんはこのことを今でも覚えているそうだ(今、彼は海上自衛隊の一尉になっている。)。
 「片山さん」と言う女の声がした。広子ちゃんであった。「よおー。一緒だったかね。よかったなぁ。」と手を取り合って笑いながら色々話をしていると
「片山さん」と言って私の手をとり無理やり離れた所へ連れて行かれた。すぐ後ろに千鶴ちゃんがいたのだ。可愛いヤキモチである。私は見張られているようだ。これには参った。


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