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【ついき秀学のMirai Vision】「コンクリートから人へ」の誤り 2011.3.18 05:00フジサンケイビジネスアイ □幸福実現党党首 このたびの東日本大震災における犠牲者の皆様に衷心より哀悼の意を表しますと共に、被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、被災地の最前線で救援活動などに従事しておられる、自衛隊や消防、警察、海保、行政、電力、医療関係の皆様、米軍兵士の皆様、諸外国からの救助隊の皆様に心より感謝申し上げます。 現時点では、被災者への救援活動や福島第1原子力発電所の放射能漏れ事故、そして東京電力による計画停電など、喫緊の問題が山積しており、これらにしっかり対処し、乗り越えていくことが真っ先に求められます。菅直人首相以下、政府関係者の方々にも全力で問題解決に当たってくださることを期待しています。 ◆火事場泥棒的な増税論 さて、震災後の復興については、上記の緊急課題がひと段落してから本格的に取り組まれるとは思いますが、既に注意を要する動きも現れています。 13日に自民党の谷垣禎一総裁は、菅首相との会談後に「(復興の)財源を国債発行だけで賄うことができるのか。復興支援税制のようなことを考える必要があるかもしれない」と語って、増税の必要性を示唆。これを受けて枝野幸男官房長官も「あらゆる可能性を否定しない」と、含みを持たせました。 復興事業に巨額の資金が必要なのは確かです。とはいえ、もともとデフレで消費や投資が活発でない経済で、景気を下押しする増税はそれだけでも「あり得ない」政策であるのに、さらに震災によって家計や企業が深刻なダメージを受けている中で増税を検討するというのですから、経済への無知は度し難いものがあります。 増税の動機は善意からだろうと推測しますが、与野党政治家の経済リテラシーの欠如が、結果として、震災という"火事場"で、増税という"泥棒"行為を導こうとしています。 しかし、正しくは復興事業の財源はすべて国債でも構いません。基本的な発想としては、直近のデフレギャップは20兆円と推計されているので、震災により供給力が多少落ちているとはいえ、20兆円分の国債を発行し日銀に直接引き受けてもらえばよいのです。これによって復興事業が進むと共に、デフレ脱却で景気も良くなるのですから一石二鳥です。財政状態も景気回復による税収増で、結果的に改善します。 ◆防災のための大胆な公共投資を 復興事業の内容としては、もちろん被災者への救済措置的な施策も欠かせませんが、それと並んで大胆な公共投資も必要になるでしょう。 今回の震災で明らかになったのは、民主党政権で掲げられた「コンクリートから人へ」という考え方の誤りです。端的に言って、防波堤の高さが20メートルあれば、10メートルの大津波が来ても、今回のような被害はほとんど出なかったはずです。また、大津波の被災地では木造家屋は見る影もなく消え去り、鉄筋コンクリートの建物のみが残存して、これが事実上の避難所となり多くの人々の命を救いました。コンクリートに象徴される堅固な建造物には、人の命を守る機能があるのです。 したがって、国民の生命・安全・財産を守るためには、防災への投資が欠かせません。この震災を機に、政府は徹底的に防災投資を行うべきです。 特に津波対策については、防波堤の大規模化に取り組むべきです。あるいは、和歌山下津港で建設予定の世界初の「浮上式防波堤」は、平時は海底に格納され、津波発生時に海面に現れるという優れもので、通常の防波堤よりコストも抑えられます。もっとも、防波堤は完成までに年数がかかるため、早急な対策として「津波避難タワー」の建設促進なども必要でしょう。 防災のための公共投資はムダ金ではありません。その過程で多くの雇用が生まれ、景気も回復し、結果として地域の安全性が高まります。ケチな発想でダムや堤防の建設を止めてきた民主党政権が、今後正しく復興事業を行うか、厳重な監視が必要です。 ◇ 【プロフィル】ついき秀学 ついき・しゅうがく 1971年、大阪府生まれ。東京大学法学部政治コースを卒業後、宗教法人幸福の科学に入局。財務局長、専務理事などを歴任。2009年、幸福実現党に入党。10年7月、幸福実現党党首に就任。妻と2男の4人家族。趣味は読書と散歩。
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最終更新日
2011.03.22 08:47:18
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