テーマ:今日のワイン(6005)
カテゴリ:カテゴリ未分類
歴の長いワイン通なら知っているが、このドメーヌは女史の買収により1988を最後に消滅してしまった。最終VTから四半世紀が経ち、もう流通しているのは殆ど無く、歴史になりつつある。89の引退後も細々と作っていた故H.Jayer氏とは違いワインが作られておらず、当時は日本ではワインは主としてボルドーであったため、まず入っていない。スタイル的には現在楽天を見ると天文学的な値段がついている。まあ、H.Jayer氏のワインと違って偽物は無いだろうが、飲み物の値段を超えている。 H.Jayer氏のRichebourgはマスキュランだが、こちらはあくまでもフェミナン。軽やか(軽いとは違う)で優雅。タンニンは細かく、擦過感は殆ど無く、シルキー。40年を経てしかもかなり悪いVTなのにきっちりと果実が残っている事に驚く。フィニッシュも長く、何よりもフィネスがある。 ワインは基本的には農作物であるが、ブルゴーニュにあっては、VigneronはTerroirを具現する芸術家であるとも言えると思う。優れた作曲家の作品が異なる演奏家により異なる解釈、スタイルで演奏されるように、同じTerroirであってもVigneronによりスタイルが違うのが普通であるが、ここまで違うとはやはり驚きである。 余談であるが、(これも歴の長いワイン通なら当たり前の話であるが)女史がこの畑を買収した背景として、バブル期にRC以外のMix Caseに入っている11本を米市場でダンピングしたことにある。更に女史が日本資本の助力で彼の姉のDRCの持分を買い取ろうとしたが、仏政府の許可が下りず、その資本でこのドメーヌの土地を買収し、自分のドメーヌを確立した事がある。このドメーヌが消滅した遠因が日本のバブル、そして私が買えた理由もやはりバブルが主因であったことを考えるとちょっと感慨深い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013/01/10 02:31:20 PM
コメント(0) | コメントを書く |
|