059040 ランダム
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初冬




ざわめきの渦が巻く 午後七時のコンコース

白い紙袋を抱えて 泳ぐように歩く君 

手を振りながら こちらに近づいてくる

「コート、買っちゃった」

悪戯をした子供のような 瑞々しい笑顔 

「もう少し寒くなったらね」 

口に手をやりながら くすっと笑った



柔らかく君を包む 淡いブルーのコート

白い息を吐きながら 毅然と歩く枯葉の道

二人の足音は 壊れたメトロノーム

北風のスケルツォが 冬の訪れを告げる





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