059049 ランダム
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つくつく法師


「つくつく法師」

秋の夕暮れに、法師が鳴く

こわばる身体をよじらせて

血を吐きながら、法師が鳴く


しがみつく褐色の腕は、まだ動くか

透きとおった翼は、風を切るか

緑色に濁った目には、忍び寄る季節が、見えている


あと少し、もう一度だけ

光がほしい

残さなければならない

伝えなければならない


私の中に刻まれた、小宇宙を






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