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医療報道を斬る

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2009.04.10
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カテゴリ:医療
 私は麻酔科医なので、麻酔のミスを認めた最高裁判決となれば放ってはおけません。少し前の記事ですが、こんな報道がありました。

麻酔投与ミスで差し戻し 最高裁、死亡原因と認定
09/03/27記事:共同通信社

 新潟県立十日町病院で手術中に死亡した女性の遺族が「医療ミスがあった」として、新潟県に約4200万円の賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(古田佑紀(ふるた・ゆうき)裁判長)は27日、一部賠償を命じた2審東京高裁判決を破棄、損害額を算定し直すよう審理を同高裁に差し戻した。麻酔を過剰投与したミスと死亡との因果関係を認めた。

 2審判決も投与ミスを認めていたが、死亡との因果関係のある過失とまでは認めず「延命可能性を侵害した」として約1400万円の賠償を命令。遺族側が上告していた。

 判決によると、大腿(だいたい)骨を骨折した女性=当時(65)=は1997年6月、全身麻酔と局所麻酔を併用した手術中に心停止し、心臓マッサージなどの措置で一度は心拍が再開したが、死亡した。

 この事例はネット上で最高裁判決文(要PDFソフト)を読むことが出来ます。麻酔の経過が判決文の通りなら、麻酔そのものに問題があったことは否定できません。判決文から、経過の部分を引用します。
(2) 本件手術の経過
ア Aは,平成9年6月10日,麻酔前投薬として硫酸アトロピン(副交感神経遮断剤)0.5mg,ハイドロキシジン(抗アレルギー性精神安定剤)50mgの筋肉注射を受け,午後1時15分ころ,手術室に入室した。C医師は,硬膜外麻酔のための硬膜外カテーテルをAの第1腰椎と第2腰椎の間から硬膜外腔に挿入した後,午後1時25分ころ,筋弛緩薬であるベクロニウム4mgを静脈内注入して筋弛緩させるとともに,ラリンゲアルマスク(気道確保のための喉頭マスク)を挿入して人工呼吸し,全身麻酔薬である笑気(亜酸化窒素)60%(午後1時40分ころから70%)と酸素の混合ガスの吸入を行った。また,午後1時25分ころから約10分かけて,全身麻酔薬であるプロポフォール初回量80mgを静脈内に投与して,Aを就眠させ,午後1時35分ころから7.5mg/kg/時で静脈内への持続投与を開始した。C医師は,午後1時35分ころ,硬膜外麻酔として2%塩酸メピバカイン注射液2mlを硬膜外カテーテルから注入し,その後4~5分して,同液18mlを同カテーテルから注入した(注入された塩酸メピバカインの量は,合計400mg)。また,同時に,全身麻酔薬である塩酸ケタミン初回量45mgを静脈内に投与し,次いで0.75mg/kg/時で静脈内に持続投与した。

イ Aの血圧は,午後1時20分には収縮期血圧が152mmHg,拡張期血圧が86mmHg(以下,血圧については,収縮期血圧と拡張期血圧を/で区切る形式により,単位を省略して数値のみで示す。)であったが,午後1時37分に75/45,午後1時48分に80/50に低下し,C医師は,各血圧低下に対し,昇圧剤(循環増強剤)である塩酸エチレフリン(エホチール)2mgを各1回静脈注射して,その都度収縮期血圧が100を超える数値に血圧を回復させた。Aの血圧は,その後午後1時55分に82/35に低下し,C医師は,上記と同じ昇圧剤の静脈注射を行った。

ウ B医師は,午後1時55分に執刀を開始し,股関節関節包を切開して大腿骨頭を股関節臼蓋より取り出し,午後2時15分までに髄腔内を人工骨頭の大腿骨部分の形に合わせて削るなどの作業を行った。その間,Aの血圧は,午後2時に78/40,午後2時5分に90/42に低下し,C医師は,午後2時5分ころ,昇圧剤の薬効を長時間均等に安定させるため,昇圧剤(血管収縮剤)の塩酸メトキサミン10mgと塩酸エチレフリン10mgを水分電解質の補給維持のためのアセテートリンゲル液に入れ,点滴静脈注射を行った。Aの血圧は,午後2時10分に112/55に回復した。

エ ところが,Aの血圧は,午後2時15分に80/44まで低下した後,さらに急激に低下し,脈拍も午後2時18~19分ころにパルスオキシメーターで脈波を感知しなくなり,これを認識したC医師が総頸動脈の拍動を触知しつつ血圧を確認したところ,午後2時20分には拍動を触知できない状態となり,自動血圧計も血圧の測定値を表示せず,心電図も異常パターンを示し,心室性期外収縮が頻発し,午後2時22分ころ,心室細動(事実上の心停止。以下「本件心停止」という。)となった。

オ 担当医師らは,午後2時20分ころから,血圧の異常な低下に対する措置及び心肺蘇生措置を講じた。すなわち,C医師は,異常を認識した後,まず気道の確保を確認し,上記のとおり持続投与していたプロポフォール及び塩酸ケタミンの投与を中止して,純酸素の吸入を開始し,昇圧剤の点滴を速めた上で,強心薬の静脈注射を行ったが,Aに反応は見られなかった。試用人工骨頭を挿入して関節の緊張度や可動域を確かめていたB医師は,C医師の指示で手術を中止し,手術創を縫合した。そして,気管内挿管を行った上で,手術創縫合後の午後2時30分近くに心臓マッサージを開始し,強心薬の投与,除細動,重炭酸ナトリウムの投与等を行ったところ,午後2時50分ころ,脈拍が触れるようになり,心臓マッサージを中止した。しかし,心電図上は心肺蘇生を行った直後に見られる異常波形が続き,血圧は60~40/20~10であった。その後,Aの血圧は,午後4時5分ころ以降80~70/20前後となって低いながらも小康状態を保ち,午後4時30分ころ自発呼吸が戻ったことから,担当医師らは,本件心停止の原因を探るためCT検査を行うこととし,午後4時35分ころ,AをCT検査室に移動させた。しかし,検査開始後間もなくAの血圧が低下し始め,再び心停止となり,アドレナリン等の投与,心臓マッサージ,除細動により心肺蘇生措置が講じられたが,功を奏せず,Aは,午後7時53分に死亡した。Aの遺体について病理解剖は行われなかった。


 次回に時系列に沿ってまとめてみます。





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Last updated  2009.04.10 16:17:49
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