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カテゴリ:変則書評:『ローマ人の物語』
塩野七生著『ローマ人の物語』1巻~31巻(新潮文庫)
ひょんなことから手を出してしまった。幸か不幸か、実にひょんなことからだ。ひょんなことから、だから、当然必然的に読み始めたのではない。今私が掘り下げているテーマとは、厳密には(あるいは将来的には)関係があっても、まだ手を出すルート上にこの作品集はない。 もともと私は、シリーズものを読むのが得意でない。好きでない、というのが正直なところだ。私は、シリーズ物ではない、一見まったく関係のない本を、自分なりの興味関心の軸を立て、それを追いながらあたかもシリーズを編集するように読むのが好きなのだ。 シリーズものを読み始めると、もともと没頭してしまう性格もあるが、一通り読み通さないと気が済まないこともあって、それが結局縛りとなって、目の前を浮遊する、本来ならば今その瞬間に手にすべき知識を掴み損ねることが嫌なのだ。単に、タイミングを逸する、ということではない。私の軸が、その機会損失によって途中で修正を迫られると、それはまた再編集に大きく手を入れなくてはならないことが厄介なのだ。 とはいえ、いかなる理由であれ本シリーズに着手してしまったのも縁だろう。かつて遠い昔、恩師に「塩野七生を歴史として読まないように」と注意を受けた同門がいたが、歴史なんてみんなフィクションじゃないか、などと嘯いたのは若気の至りゆえの難癖。塩野七生は歴史家じゃない。小説家だから、それをフィクションとして読むのが当たり前なのだ。とにかく小説として、ローマ人の壮大な歴史と作家の一大作業を読んでみようというわけだ。 もともと書籍版は15巻となっており、 1巻:ローマ人の物語I ローマは一日にして成らず 2巻:ハンニバル戦記 3巻:勝者の混迷 4巻:ユリウス・カエサル ルビコン以前 5巻:ユリウス・カエサル ルビコン以前 6巻:パクス・ロマーナ 7巻:悪名高き皇帝たち 8巻:危機と克服 9巻:賢帝の世紀 10巻:すべての道はローマに通ず 11巻:終わりの始まり 12巻:迷走する帝国 13巻:最後の努力 14巻:キリストの勝利 15巻:ローマ世界の終焉 という、それぞれタイトルになっていた。これを分冊にして文庫化したのだから、ほぼ倍の冊数になるのも仕方がない。 今回、シリーズものを延々と読みふけることになったが、ただ労力に任せて読破するのも興がない。そこで、自分の苦手なシリーズものを読むにあたって、そこに、大きく歴史の潮流を体感する=苦手で、かつ膨大な読書時間に歴史の重さを重ねてリアリティを我が身に叩き込む、という仕掛けを頭に描いて読むことにした。 しかし、その一冊一冊について書評をアップするのも骨が折れる。いちいち立ち止まって熟考していては、歴史の疑似体験のリズムも狂う。そこで、書評はアップしないが、達成度を実感・告知する方法はないかと考えあぐねていたが、フォームを作ってそれを備忘録的にアップすることにしたい。特に、読破進捗状況はゲージ形式にしてみた。 こうした形式を考えている間に、二冊を読み終えたわけだが、それを例にとって、下記に示す。 *********************************************************** 記事タイトル:塩野七生『ローマ人の物語』ゲージ 本文: 塩野七生著『ローマ人の物語』(1) ローマは一日にして成らず(上)(新潮文庫) 塩野七生著『ローマ人の物語』(2) ローマは一日にして成らず(下)(新潮文庫) 読破ゲージ: ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ *********************************************************** さてしかし、へんな例えではあるが、文庫シリーズ二冊読んだところで、果たしてスクラップ&デストロイド&ビルトの繰り返しをその宿命=歴史としてきたローマという都市および国家は、まさしく昔あったゲーム『ポピュラス』や『シムシティ』と同じだな(いや、むしろこれらゲームが歴史や神話に範を取ったのではあるが)、と感じてしまった。ローマも読破も、一日にして成らず。さぁ、次の一歩である。(了) ローマ人の物語(1) ローマ人の物語(2) ■「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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