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カテゴリ:変則書評:『ローマ人の物語』
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塩野七生著『ローマ人の物語』(9) ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)(新潮文庫) 読破ゲージ: ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ *********************************************************** ポンペイウス、ローマへ帰国。秘めた思いを胸に、クラッスス、ユリウス・カエサル手を結ぶ。世に言う「三頭政治(トリウンヴィラートウス)」、始まる。ローマでの元老院牽制は三頭政治で磐石、カエサル、ガリア戦役に赴く。時に、カエサル42歳。戦争は敵への不信だけでできるが、政治は敵でさえ信頼しなくては出来ない。なるほど。虚栄心とは、他人から良く思われることを喜ばしく思う心情。なるほど。そう、とも言えるし、そうとも言えないかも。カエサル以外の二頭の次代。カエサルの娘はポンペイウスの後妻に。中睦まじかったとか。でも、それでカエサルに牙を抜かれた感もある、昔日の栄光を懐かしむだけのポンペイウス。かつての、傲岸不遜なまでの才気は再起不能へ。クラッススの子は、なかなかの傑物。ガリア戦役でもカエサルの期待のこたえる。ガリア戦役はブリタニア遠征にまで拡大。ここで、私のケルトへの関心と接点が生まれる。青い悪魔がゲリラ戦を展開。ブリタニア遠征は、強大なローマの軍事力ので門ストレーションで決着。文化と文明の線引きに首尾一貫していたカエサル、共生社会の見直し迫られる現代を、黄泉からどう想う?ガリアが勝てなかったゲルマン人への重ねての勝利に、カエサル、プロパガンダを利用。「人間とは、噂の奴隷であり、しかもそれを、自分で臨ましいと思う色をつけた形で信じてしまう」。身辺雑記。賢母アウレリア、逝く。この時期、カエサル、借金体質から脱皮。懐具合が大幅によくなる。他人のお金と自分のお金を区別しない肝の太さは、いつしか、“カエサル経済学”としてゆく先々に豊かな金庫を創り出すことに。磐石のはずの三頭政治は鬼のいぬ間に、元老院派とのにらみ合いへ。ローマがどうあろうと、カエサルの進軍は続く。 『ガリア戦記』。著者。ユリウス・カエサル。文筆家としても天才だった、とはよく聞くが、著者もまた絶賛。Puri sermonis amator.つまりピュアな文体を愛した人。完結・明晰・エレガンスを備えた文筆家。後代の名文家・大作家も、カエサルをモチーフにするにあたっては恐れをなしたというから、これまた重ねて恐れ入る。(了) ローマ人の物語(9) ■「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/10/03 05:05:26 PM
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