825549 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

快筆紳士

快筆紳士

Calendar

Recent Posts

Category

Archives

2024/06
2024/05
2024/04
2024/03
2024/02
2024/01
2023/12
2023/11
2023/10
2023/09
2008/10/14
XML
***********************************************************
塩野七生著『ローマ人の物語』(10)
       ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)(新潮文庫)

読破ゲージ:
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

***********************************************************
ガリア戦役佳境に。復讐の二文字を持たないカエサルは、復讐心ある大軍を入手。これを活用するものは醒めていなければならない。ガリア、ゲルマンの制覇にあたって、カエサルは自著で両民族の比較文化論まで展開。簡潔だが十分である。「三頭政治」の一角、“経済人”クラッスス、初戦闘。パルティアの貴公子・俊英スレナスに大敗。嘱望された息子も失い、最後は自滅的な死を遂げて「三頭政治」のバランス危うし。巻き返したい「元老院派」は、牙を抜かれた狼・ポンペイウスに接近。なお、この「カッレの敗北」は、ローマ人にとって、「ケルト人のローマ占拠」「カウディウムの屈辱」「カンネの会戦」と並んで、忘れがたき教訓に。一方のカエサル、敵ながら天晴れ。ガリアはオーヴェルニュの若きリーダー・ヴェルチンジェトリックスと対峙。まとまらない性分のガリアをまとめ、反カエサル・ムードで抵抗。散々に苦しめられてカエサル、リーダーとして一枚上手なところを発揮。部下のやる気を何にでも使うのは並のリーダー。いなし、なだめ、蓄えて爆発させる。あるときは叱りながら褒める。自軍に多大な損害を与えた戦闘の後、浅慮にてカエサルの指揮を無視した兵士たちの傲慢を叱りつつ「その勇気と誇り高さを望むと同じく、謙虚さと規律正しい振舞いを望む」。ガリア団結を成すヴェルチンジェトリックスと、カエサルのリーダーシップが火花を散らす戦いは、頭脳戦、肉弾戦を超えたカリスマ・レベルの戦いに。著者によれば、戦闘はオーケストラに似ていると。舞台に上がる前に結果の7割は決まっており、残りは本番で決まる。事前に10割決めていないと安心できないのは指揮者としては十人並み。なるほど。囲うことが勝ち戦の定石なら、相手に囲わせる逆転の発想で、カエサル、ヴェルチンジェトリックスを破る。軍配は百戦錬磨のカリスマに上がる。幾重にも障害や罠を設けた布陣は、囲う側が消耗する羽目に。強力な外敵を破った軍人カエサルは、さらに手ごわい強敵=内なる敵「元老院派」と、政治家カエサルとして戦うことに。ポンペイウスを手中にし「三頭政治」を完全解体した「元老院派」の“カエサルはずし”は執拗さを増す一方。エピキュリアンになりきれなかった輝けるポンペイウス、もはや傀儡状態。政治戦略上ローマに入れないカエサル、ピンチ。敵の最強カードであるクリオを篭絡、護民官に仕立てて拒否権を発動させ、「元老院派」の足元を掬って封じ込める。クリオの後にもアントニウスを送り込んで時間稼ぎ。このアントニウス、クレオパトラと将来あんなことに…。とうとう、カエサルを標的にした「元老院最終勧告」、印籠登場。もはやその越権的な効力や拘束力に対して、真っ向からノーを言うべき時、とカエサル判断。「勧告」を旗印にしたローマ正規軍は、英雄から逆徒にされたカエサルの軍団を迎え撃つ形に。なお工学部的才能も持つ建築家にして発明家であるカエサルの偉業は、1800年後、オタクな敏腕プロデューサー、ナポレオン三世によって再発見。本巻では、スッラとカエサルの比較が巻末にあって面白い。決戦前夜。全幅の信頼を寄せる副将・ラビエヌス、カエサルを慕いながらも、出自のゆえに、恩義のためにポンペイウスの元へ離脱、信頼しあった男同士の無言の別れは、痛切也。なお、「正規軍」を前にして離反したのは仁義に殉じたラビエヌスただ一人であったとか。ユリウス・カエサル。負けて国賊となるか。旧弊を革めて新秩序樹立の覇業を成すか。答えを出す為に、ローマへ向けて目の前のルビコン川を渡る。賽は、投げられた。(了)


ローマ人の物語(10)

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008/10/14 10:12:54 PM
コメント(0) | コメントを書く


Comments

プラダ バッグ@ gpzqtt@gmail.com 匿名なのに、私には誰だか分かる・・・(^_…
バーバリーブルーレーベル@ uqafrzt@gmail.com お世話になります。とても良い記事ですね…
バーバリー マフラー アウトレット@ maercjodi@gmail.com はじめまして。突然のコメント。失礼しま…

Favorite Blog

ヌメ革のスリッパを… New! 革人形の夢工房さん

「#楽天スーパーSAL… 楽天アフィリエイト事務局スタッフさん

新・さすらいのもの… さすらいのもの書きさん
価格・商品・性能比較 MOMO0623さん
抱きしめて 愛の姫.さん

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.