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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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 『ローマ人の物語』、思案。なのである。同作品を文庫版で一気に読破する。そう決めて2008年8月21日にスタートしたこの目標も、現在文庫化されている34巻を読み終えて、さる2009年1月26日に達成されてしまった。そこで思案、なのである。つまり、文庫化されている同作品34冊は読み終えたが、シリーズはそこで終わりではない。すでに書籍で刊行されている13巻『最後の努力』、14巻『キリストの勝利』、15巻『ローマ世界の終焉』の分はまだ文庫化していないのである。予想でしかないが、おそらく上記3章分が、このあと10冊程度の文庫となって刊行されることだろう。
 だから三たび思案なのである。このまま一気に、文庫化されていない分は書籍で読みシリーズを読破するか。はたまた、続刊されるのを待って、順次文庫版で読破を完了するか。
 そんなことをボンヤリ考えながら、幾分逃避気味に、唐突に司馬遼太郎『風神の門』(霧隠才蔵を主人公とした歴史小説)を読んだり、これまた脈絡もなく『ローデンバック集成』(ベルギーの詩人・小説家。「死都 ブリュージュ」が白眉)などを繙いたりなどしていた。
 ところで、厳密に言えば一般的に書籍と文庫は違う。体裁だけの話ではなく、ワンクッション置かれて世に出る文庫には、書籍の迫力を補うさまざまな“手”が加わっているものだ。『ローマ人の物語』も例に漏れない。そしておそらく、文庫版で読み進んで来た私が、シリーズ読破のためだけに書籍で読み進もうとすれば、何か、本質的な点とは関係ない、つまらない違和感を覚えるに違いないのだ。
 もともと、この読破行を思いついたのに、動機は皆無だったが明確な目的ならあった。つまり、一人の小説家によって綴られた、長大な歴史を読み、味わい、噛み締めて読破するという、膨大な読書時間を通じて、

1:あくまで「私自身」が、何を感覚するか、の把握
(当然そこには、恣意的な情報抽出もあるし、主観的な読解もあるにしても)

2:ローマ史の重さの、身体感覚として体感

をすること。この二点に絞って、目的とした。だから、すでに綴って来た書評の記述には、統一感の欠如や事実関係の誤解もあるだろう。あるいは、これだけの時間をかけて、歴史的事実のディティールについて掘り下げることをしなかったのは惜しいことだが、それを捨てても、上記の二つの目的に集中し、全速力でローマ史を駆け抜けたかったのだ。この方針に立ち返って、ようやく頭がハッキリとしてきた。
 ローマ帝国も、正直「いい時代は終わったな」、という気がしている。キリスト教の行方は非常に気になるにしても、煌めいていた時代は、文庫版34巻にしていよいよ過去のものとなった感が強まった。
 そう、私は「飽きた」のだ。筆者なら許されない感傷だが読者にはそれが許されるとすれば、長い時間を割きながら古代ローマの歴史を追いかけてきて、美しいものがつまらない小者たちの手で壊されてゆくのに、もう飽き飽きしたのだ。それが文庫版34巻を読み終えた時点での率直な私の心情。哀しくて、呆れて、もう付き合いきれない。それが本音だったのだ。
 そうであればなおさら、諦めながら、引っ張りながら、ダラダラ(これは、悪意ではなく、悶えながら、延命しようともがきながら衰退していく帝国の歩みを指しているのだが)と、読んでいく方が、目的に掲げていた体感の追求としてはよりリアルなのではないか。
 これで決まった。先を急ぐこともない。読破のための読書ならば意味もない。書籍と文庫のニュアンスの違いにも気を遣いたくもない。やはり、ここで一区切りとし、未刊分についてはその刊行を待ちながら、都度読み進め、文庫版での読破をする。そこで初めて、所謂達成感のようなものが、正確に立ち上ってくるのではないかと、今は確信しているのである。(了)


風神の門(上巻)改版


風神の門(下巻)改版


ローデンバック集成


塩野七生『ローマ人の物語』スペシャル・ガイドブック


塩野七生『ローマ人の物語』の旅

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2011/04/18 04:13:41 PM
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