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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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テーマ:お勧めの本(7254)
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塩野七生著『ローマ人の物語』(36)
       最後の努力(中)(新潮文庫)

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正帝(アウグストゥス)、副帝(カエサル)各二名合計四名による「四頭制」第二期は、北方で蛮族撃退の指揮を執る正帝コンスタンティウス・クロルスの病死でスタート。ディオクレティアヌス時代と違って、四つの頭がほぼ横並び、傑出したリーダー不在。クロルスの後を、継いだコンスタンティヌス、後のマーニュス「大帝」、その皇位への階段をスタート。父の軍隊をそのまま引き継いで、四頭の一人に。兵站を、「ロジスティクス」ではなく「アルス」と考えるリーダーの誕生。いま一つの不安の種は、帝位継承コースを外れた先帝・マクシミアヌスの子、マクセンティウスの存在。すでに、「四頭制」は、外的に対して広大な帝国を防衛するためのシステムに非ず、権力闘争の場と変じていた。マクセンティウスは、一度はディオクレティアヌスとともに引退した父を担ぎ出して、四頭に伍しクーデター。ここで、事実上は六人がリーダーを争う形に。この事態に正帝セヴェルスが当たるも、支持を得られぬセヴェルス、無惨な戦死。代わるガレリウス戦上手も教養なし。内乱とはいえ、敵はローマ人。そのローマ人に、お得意の蛮族掃討で望んだから、その政治的態度も非ローマ的。各地で反対の気運を誘い、力勝負はお預け。そこで、首脳会談開催。議題はセヴェルス亡き後の帝国の行く末。そして、ディオクレティアヌスとは異なり、頑迷さからくる四頭制の維持。意地。この会談でも、マクセンティウスは蚊帳の外。ライン河の防衛線の危機に馳せ参じたコンスタンティヌスの不在を衝いて、マクシミアヌスが襲う。しかし、周到な男・コンスタンティヌス、その動きを知らぬでもなく、大返しをして先の皇帝を撃退。マクシミアヌス自決。今度はガレリウスが不治の病で逝去。繰り上がり当選の嵐。マクシミヌス・ダイア、コンスタンティヌス、ラッキー当選リキニウス、の三頭に、パブリック・エネミーになったマクセンティウスの四人で、国家を望む。間もなく決戦の場は訪れた。古の合戦に範を採る敵将の策を逆手に取って、精強な軍団でマクセンティウスと衝突。筆者曰く、戦闘(バトル)と戦争(ウォー)は違う、と。戦闘は点、戦争は線。そして、戦闘は歴史を変える。点が線をコントロールし、線を形成し、あるいは曲げ、壊す。「イッソスの会戦」、「ザマの会戦」らに比肩したか、コンスタンティヌスVS.マクセンティウス「ミルヴィウス橋の戦闘」。確かに歴史は作ったが、その実態は大混戦。戦術を駆使した「歴史的一戦」には及ばず。しかしともかく戦に勝ったコンスタンティヌス、元老院の承認を得て正帝に昇格。ただし、このコンスタンティヌス、凱旋する皇帝ではなく、征服者であって、つまりは強大なる専制君主として新しいローマを作るために皇位への階段を駆け上がってきた男。彼の首都入城で、事実上初代皇帝アウグストゥス以来の習いはことごとく廃止され、ここに大革命が起こった。その証左の最たるものこそが、史上名高き「ミラノ勅令」による、キリスト教の公認(キリスト教から見れば国教化したことになるが、あくまで公認したにとどまる。また地味ながら、この勅令は、同じ正帝格にあったリキニウスとの共同勅令である)。この勅令、信教の自由を謳って、あたかも18世紀の啓蒙思想・ヴォルテールやディドロの先取りの如し。にしても、ディオクレティアヌスの弾圧から実に、わずか十年後の大転換。キリスト教とコンスタンティヌスの関係は後に措いて、いよいよただ一人の皇帝へと向けてコンスタンティヌスの周到なる仕上げがスタート。自ら二つの刎頸をした迷える帝国の「二頭制」二年続くも益はなし、不祥事を突かれたリキニウスの傲慢が大義名分となって、コンスタンティヌス、リニキニウスに宣戦布告。圧倒的な戦上手コンスタンティヌスも、折悪く防衛線付近の不穏な動きに阻まれ、追い込んだリキニウスと一旦和睦。外敵侵入には、先妻の子なれどコンスタンティヌスの力量を存分に受け継ぐクリスプス。頼りになる我が息子。ゴート族を撃退するや、もはや大義名分はいらぬ、再びリキニウスに矛先は向かう。この天下分け目の一戦では、戦局を左右する海戦においてもクリスプス、見事な采配。美しい父子鷹となるのか???追われたリキニウス、逃げおおせて余生を授かるも、一年を俟たず、ゴート族と反コンスタンティヌスの陰謀を巡らせたとして突然踏み込まれた兵士に襲われ絶命。ようやくコンスタンティヌス一人が、権力闘争の舞台に残った。リキニウスの妻はコンスタンティヌスの異母妹にて、後に災いありやなしや。なお、本巻には、コンスタンティヌス帝に急ぎ贈られた「パッチワークの凱旋門」について、興味深く詳述された箇所あり。様々な年代のレリーフで無理矢理に組み合わされて構成された凱旋門。時代を経るに従って稚拙になる巧みの技は、国家衰退の証と。(了)


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Last updated  2011/04/26 02:00:30 PM
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