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tkokon

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2007/05/10
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カテゴリ:カテゴリ未分類

前回の続き。

歴史人口学を読んで、意外な「へぇ」がいくつかありました。
トリビア・雑学みたいな話ですが、ぼくの持っていた直感と違う発見も多かったです。


特に面白かった発見は、以下。



○貧乏人の子だくさんは、統計的には誤り。むしろ、貧乏人のほうが(主に経済的な理由から)人口調整が働く。

現在、発展途上国が人口爆発に悩む姿を見ると、むしろ「貧乏人の子だくさん」は正しいようにも感じますが、少なくとも同じ時代の同じ場所の中で見ると(例:江戸時代の日本だけを取り出すと)統計的には、貧乏人の子だくさんではないようです。

むしろ現在の途上国の人口爆発の方が「特殊」なようです。途上国の人口爆発の大きな要因は、「多産多死」を前提とした途上国の家族・仕事の持ち方・ライフスタイルが維持されたまま、突然医療・社会インフラが整備されたため、「多産」が改善されず「少死」になったため。そのため「亡くなる」ことが前提の人が生きられるようになって、今は人口が爆発していますが、早晩それでは生活がもたなくなる。
で、歴史人口学的に言えば、数世代をまたぐ間に調整が働き、自然に「少死」を前提とした家族・仕事・ライフスタイルに改善することを余儀なくされ「多産」も改善されるはず(少なくとも過去の人類の歴史はその繰り返しであった)とのことです。

事実、国連が発表する「2100年の世界人口予想」は、予想をするたびに下方修正されているようです。(もちろん、今の人口爆発のペースは、「数世代をまたぐ」なんて悠長なことを言っていられないほど緊急性の高い問題ですから、「人口爆発」が大きな問題ではない、と言うつもりは全くありませんが)


○人口増加の抑止になるのは、「食えなくなるから」ではない。むしろ「今の生活水準を維持できなくなるから」

江戸時代後期には、実は人口は増えていませんでした。ではその頃、人びとの生活水準が下がったか?というとNoでむしろ個別個別の家庭で見た、生活水準は維持・向上していたようです。
つまり「本当に飢え死にしてしまう」から、人口増加が抑制されるのではなく、「このまま子供を産み続けると、家族・コミュニティー全体で、一人当たり『取り分』が減ってしまう」ということが実感されるから、人口が抑制される、というのが実態に近いようです。
現在の少子化の原因に通じるものがあるように感じました。


○江戸時代までの日本で子供を「間引いた」のは、「殺人」ではなく現在の「避妊」の感覚に近い

江戸時代までは、生まれた子供のうち7歳まで生きられるのは、わずか50%とのことです。つまり「基本的に子供は死ぬかもしれないもの」という前提があります。(そう考えると七五三の意味もわかる気がします)ですので、「7歳までは神様」という考え方をとり、子供を「人間ではなく、人間になる一歩手前の状態」と考えていたようです。
で、現実的に避妊・堕胎の方法が殆ど存在しなかったこともあり、7歳までの子供を「調整」することは、「人を殺す」こととは、全く別のものと考えられていたようです。
現在であれば、どうしても子供を持つ事が許されないカップルが子供を堕ろすように、(もっと極端に言えば、子供を持てない・持ちたくない人が性欲を抑えるのではなく、避妊するように)子供を間引くということが行われていたようです。

このように、その時々の医療状況・人の寿命・結婚年齢・平均出産人数の変化に応じて、実に柔軟に「風習」や「命に対する考え方」が変化し、それが結果として人口をバランスさせていた、ということがわかります。人の知恵は偉大だなぁと思いますし、今の生活スタイル・医療水準を前提とした「道徳」でもって、昔の習慣を「野蛮」とか「人権を無視した」と言うことの無意味さを感じます。


次回は、過去の人口増加期と、人口停滞期の特徴などについて書いてみようと思います。





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Last updated  2007/05/10 11:31:01 PM
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