カテゴリ:ひとりごと
これはとてもやっかいな問題である。
化学の実験で「A液とB液を混ぜるとC液ができる」という仮説をたてたとする。しかし実際できたのはD液。こんな日常のよくある光景を例に考えてみる。この場合、たいてい失敗だと判断することが多いはずである。では、この事象を多角的に捕らえてみることにする。 「仮説」から見れば実験は明らかに失敗したと言える。しかし、D液からすれば当然のことが当然のように執り行われ、当然のように出来上がったのだから成功である。さらにC液から見れば、失敗にも成功にもからめなく呼ばれ損である。さらにいうと、果たして本当にA液(またはB液)だったのか。もとより、実験は行なわれたのか。混ぜなかった可能性すら生まれてくる。 このように、こんな単純な問題も多角的に見れば一意的に言い表わせないのである。つまり、成功したか失敗したかはほとんど決められないはずなのである。 にも関わらず、「私はこうして○○に成功した」なんて本は腐るほどある。なかでもダイエット本は、目に余るほどだ。 「一週間で3kg痩せに成功!」こんなフレーズをよく目にするだろう。ダイエッターにはなんとも耳障りのよいフレーズだが、注意すべき点が二つある。 1.期間や目標値などが勝手に決められていること。 一週間で5kgはイケるはずなのにマージンをとっている可能性がある。それで本当に成功といえるのか。また、痩せることが目的でない人にとっては、明らかに失敗なのである。 だから、この場合「○週間で△kg□するのに成功した」とすべきであり、○△□には好きな言葉を当てはめさえすればよいのである。 ちなみに私の場合は「55週間(1年間)で3kg増量するのに成功した」となる。 2.これを成し得るには並大抵の努力ではムリということ。 「たった10分のエクササイズを朝昼晩(3回)やるだけ!」 毎日続ける難しさは周知のうえ、こういったエクササイズはほとんど、部分痩せのためのものなので、全身をくまなく痩せさせるには、およそ一日では足りなくなる。(二の腕、太もも、ウエストの3箇所だけでも、30分ずつとられてしまう。朝の忙しい時間に30分なんてとてもじゃないけど無理である。) 以上を踏まえると『成功』なんてものは存在しないのでは、とさえ思えてくる。 しかし、なんらかの事柄で成功したと言っている(言われている)人は五万とい る。 そこで、種々の事柄について「成功した」「達成した」と思われる満足ポイントを考えてみる。 a.巨万の富を得た人 (巨万の富)-(数億円)=(巨万の富) なわけで、数億円手前でも巨万の富を得ている。しかし、それでもなおお金を得ようとしているのだから、満足ポイントではないのである。つまり、成功していないのだ。 b.スーパーアスリート すばらしいスポーツ選手ほど「自分にはまだまだ上手くなる余地がある」と思い、向上心が尽きない。イチロー選手やタイガーウッズ選手がいい例である。逆に素人であればあるほど、自分は上手いと思い込むものだ。プロには目標地点が驚くほど上にあり、素人のそれは驚くほど下にあるのだ。 プロの場合、満足ポイントには到達はしないのである。 c.ダイエット 目標を決めた時点で、達成した気分になっていることが多い。 しかし、ほとんどが自分の体重には満足していないのである。 このように考えると、やはり『成功』の存在を否定せざるを得ない。しかし、上記事例には共通点があることが分かる。それは「自分では満足していない」ということである。言い換えると、自分が満足しない限りは成功ではないのだ。 (自分の)成功体験などという場合は、自分が満足した時点のことで、それは向上心がなくなっているともいえる。よく「向上心なくして上達なし」といわれるが、こうなってくると果たして成功がすなわち善事であるかは疑問である。 逆に、成功したと言われている(思われている)人の場合、この限りではなく、ほとんどが他人の評価でしかない。これは各人が立っているフィールドの違いからくるもので、例えば、野球少年のフィールド1(リトルリーグ)から見て、イチローのフィールド2(メジャーリーグ)は階層が違うもので、フィールド1の最高地点はフィールド2の最下点(以下)であるから、野球少年にとってイチローは成功者(目標となる者)となる。 このようにそれぞれのフィールドの違いがあるので、他人からの評価が世間的な評価となりうるのである。 また、先の満足ポイントについても、あるフィールドについてそれを随時クリアしていくごとに次フィールドを想定していれば、成功も向上心も失われなくなるのだ。 私も、まず300gの減量の成功をつかむことにしよう。次の300g減量をも視野に入れて、である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.06.19 12:50:48
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