|
カテゴリ:音楽
01.正しい街 02.歌舞伎町の女王 03.丸の内サディスティック 04.幸福論(悦楽編) 05.茜さす 帰路照らされど… 06.シドと白昼夢 07.積木遊び 08.ここでキスして。 09.同じ夜 10.警告 11.モルヒネ ■DON'T THINK,FEEL! 考えるな、感じろ!この気の利いたスローガンは時代を超えてあらゆる傑作に対して有効である。たとえば、この作品の帯にこのフレーズが載っていたとしたら、あと一割は購買率は上がっていたかもしれない。言葉に敏感な人たち、登場する固有名詞に適度な思い入れがある人たち、そんな人たちがこの作品の評価を後押しするに違いない。 ■昨日までの三人の女性たちとの違いは、情報量の違いによるところが大きい。80年代の音楽事情と20年後のそれとの大きな差は基本的な音楽摂取量の違い、つまり、日常レベルであらゆる種類の音楽が耳に入り、手に入るという環境の進化に他ならない。街を歩けば大規模なCDショップが存在し、ネットに繋げれば膨大な楽曲が紹介され、学生の携帯とヘッドフォンはマストアイテムである。 ■もちろん、椎名林檎というアーティストのオリジナリティは強烈で、抜きん出ているのだが、それを彩る装飾的要素が20年前とは較べものにならないくらいに豊富なんだ。きっと、カート・コバーンやトム・ヨークやシド・ビジャスが好きなんだろうな。全楽曲を通して彼女の好きなもの、影響されたものが、直接的、間接的に反映されている。 ■歌詞のかっこよさと歌の乗せ具合が桑田佳佑登場時の驚きとダブる。直接的な言い回しは中島みゆき全盛期を彷彿とさせる。A2は帰ってきた「店の名はライフ」だ。グランジっぽいバックなのに歌謡曲的で下世話なメロディだったりもする。言葉選びが巧みだ。日常レベルの会話語と抽象レベルの文化語がごちゃ混ぜになって独特なワールドを作り上げちゃっている。にしても、「グレッジでぶって」だもんなぁ。 ■小説なんかでは処女作に作家の全てが詰まっているって言うじゃないですか。これを発表する前に捨てられたモノがたくさんあったってことなんでしょうか。捨てたのに処女作!(惑)とりあえずアルバムができるだけの曲が集まったという感じではないですね。かなり選ばれた11曲、そんな感じがします。捨て曲無し。それぞれの楽曲が本当に良くできています。 ■モラトリアムという言葉に対する思いは十代の時のそれとはずいぶん異なってきている。若い頃はそれはひとつの手段、方法と考えていた。それが今ではひとつの生き方となってしまった思いだ。「あー、しくじった、しくじった。」(笑) 同じようにこのアルバムを聴き取る感受性は十代の人と、ひとつ上の世代とでは若干異なるんじゃないか。それは「ここでキスして。」に共感するのか当惑するのかの違いなのかな。え、私?頭らへんではよくわかるよ、って言っておこう。へへへ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[音楽] カテゴリの最新記事
|
|